北京発人型ロボット「天工」、実用化の壁を次々突破:134段の階段を登破、配電盤操作も可能に

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人型ロボット「天工」は、中国北京市のロボット開発研究機関、北京人型ロボットイノベーションセンター(北京人形機器人創新中心=国家地方共建具身智能機器人創新中心)が開発し、2024年4月に発表された。純粋に電気で動く世界初の等身大の人型ロボットとされている。

天工の身長は163cm、体重は43kg。人間のように歩行・走行(最高時速6km)が可能で、階段の昇降や障害物を飛び越えることもできる。デビュー以来、業界内外から高い注目を集めている。

最近、天工は再びアップグレードされ、運動時のバランスなどを制御する「小脳」の能力が大幅に向上した。視覚に基づく歩行を実現し、段差を正確に認識してつまずいたり段を踏み外したりすることなく、連続して複数の階段を飛び越えることができるようになった。また、高さ35センチの段差もクリア可能で、走行速度は時速12キロにまで向上。さらに、妨害に対応する身体能力も強化され、強い衝撃を受けてもバランスを維持できる。

屋外テストでは、天工は134段の階段を連続で登り、北京市通州区の海子墻公園の頂上まで到達した。これにより、天工は屋外で連続階段を登ることに成功した世界初の人型ロボットとなった。さらに、天工は雪上での走行能力も示した。

開発チームによると、現在市場に出回っている多くの人型ロボットは視覚認識能力を持たず、事前のプログラムと固定手順に頼って動作する「盲目的」のものが多い。そのため、不慣れな状況ではつまずいて転倒することはよくある。

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天工は、主に新しい視覚装置と高度なアルゴリズムの最適化により、優れた移動能力を実現した。 天工の頭部に取り付けられたLiDAR(ライダー)と腹部のカメラは統合視覚システムを形成し、周囲の環境情報をリアルタイムで取得でき、ロボットにより正確な視覚認識機能を提供する。高頻度(50ミリ秒以内)の視覚更新とシミュレーションによる訓練を繰り返すことにより、複雑な環境下でも素早く判断し、動きを調整することができる。さらに、カメラの位置の設計と動作アルゴリズムの進化により、限られた情報からでも周辺状況を推定・補完し、安定した歩行と登坂動作を実現している。

ロボットの動作には極めて精密な制御と高度なバランス能力が求められる。砂漠や雪上での歩行、走行やよじ登る行為は一見、単純な動作のように見えるが、ロボットの「大脳」と「小脳」の協調動作が必要だ。大脳はマクロな計画と環境認識を担当し、小脳は動作の協調とバランス制御を司る。また、高精度センサーも地形情報をリアルタイムで感知し、動作を調整するには不可欠だ。

天工は機械構造と材料工学の組み合わせにより、高い剛性と柔軟性も両立している。転倒防止アルゴリズムと靴底のデザインにより、砂地や雪上といった不整地でも安定した性能を発揮できる。

応用面でも、天工は新たな進展を遂げた。2025年1月、中国の国営電力会社「国家電網」の子会社と協定を締結し、電力業界における人型ロボットを含むエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)」の産業応用を模索するプロジェクトが始動した。

配電室で天工が超音波・低周波の部分放電探知器を使って、複数配電盤の異常検知を行えるだけでなく、複雑な245マザー配電盤の操作にも対応し、回路の開閉などの切り替え作業をスムーズに実行する能力を備えている。

*1元=約20円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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