配送料値上げで価格合戦を終わりにしたい物流業界 「双11」は体のいい口実

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配送料値上げで価格合戦を終わりにしたい物流業界 「双11」は体のいい口実

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物流業界にとっての収益は「集荷」のみにかかっている。集荷以降の配達プロセスというのは、単純に受注件数を増やすための付加サービスでしかない。

中国では毎年11月11日にネット通販業界総出で行われる特売イベント「双11(ダブルイレブン)」が開催され、この時期には物流企業に配送依頼が殺到する。こうした繁忙期は、物流網を構成する各集配拠点にとっては赤字必至となる。単刀直入にいえば、繁忙期の集配拠点は配達人員に割増賃金を支払わなければならず、その相場は通常のほぼ2倍だ。企業専属の配達員ではなく、臨時で採用した配達員に関しては通常の5倍になる場合もある。物流業界も例に漏れず、事業を維持するには一定の資金が必要なのだ。

つまり、双11シーズンなどの繁忙期には配送料を値上げしたいというのが物流企業の本音だが、これを実行するには考慮すべき点が多い。実際に値上げするにしても、利用者の反感を買わぬよう配慮する必要がある。

今年の双11シーズンに先陣を切って配送料値上げを宣言したのが大手の「中通快逓(ZTO Express)」だ。同社は双11の1カ月前、「配送の安全・安定を保証し、サービスのクオリティーおよび顧客満足度を維持することを目的に、11月11日をもって配送料の値上げに踏み切る」と発表した。

しかし、発表では値上げの実施期間や具体的な価格設定については言及していない。36Kr傘下の小売業界専門メディア「零售老板内参」が問い合わせたところ、中通快逓は「(双11の)繁忙期以降の配送費については、市場の具体的状況に合わせ改めて決めたい」と回答した。また、値上げ幅についても「各集配センターが本部からの提案内容と地域の実情を踏まえて独自に決定する」としている。

中通快逓が値上げを発表した4日後、「圓通速逓(YTO Express)」もほぼ同様の内容で値上げを告知した。

値上げの機会を探ってきた物流企業

業界を挙げて配送料を値上げしようとする物流企業の動きは過去にもあった。

2014年8月、前出の中通、圓通のほか「申通快逓(STO Express)」「滙通快運(現:百世快逓、BEST Express)」「韻達速運(YUNDA Express)」「天天快逓(TTK Express)」の6社が一斉に値上げを宣言したことがある。しかし、行政機関から「価格操作」との指摘が入り、実施には至らなかった。

物流企業が配送料の値上げを本格的に宣言したのは2017年の双11シーズンで、この時最初に声を挙げたのも中通快逓だ。EC業界の持続的成長という上昇気流に乗って物流業界の業績は好調だが、それでも値上げを急ぐのは、数年先をみての判断ではないかと業界関係者は推測する。

過去に宅配便事業に従事していた人物によると、2017年を境に、双11は物流企業にとって負担になり始めているという。殺到する受注に対応するための臨時増員や運搬車両の購入が損失の根源となっている。双11が過ぎればこれらは当然供給過剰となってだぶつくためだ。

配送料を値上げすれば当然、受注件数は減るだろう。しかし、限られた繁忙期に備えてのリソース確保は必要なくなる。現行のリソースだけを活かして運営すれば余分な業務や支出も削減でき、ピーク時のキャパシティ超過が予防でき、サービスの質も保てる。物流企業はすでに双11による過重負荷は望んでいないのだ。

双11以降も配送料は値上げしたままか

中通快逓による配送料値上げの発表は大きな反響を呼んだが、専門家によると、この値上げ分は消費者には転嫁されない。物流企業は配達員の報酬を引き上げることで繁忙期におけるサービスの質を維持するため、配送コストは確かに上がるが、その分は自社で負担するからだ。

物流業界全体を見渡すと、いずれの企業も独自の強みを確立できていないうえ、運輸インフラが整うことでサービス面での地域差がなくなりつつあり、各社は価格で勝負する以外に戦略がない状況が続いている。だが、その価格合戦もすでに限界点に到達しつつある。価格面で優勢を得るために、各社ともすでに最大限に利益を削っているうえ、集配拠点の運営費や家賃、梱包資材購入費、ガソリン代などの支出まで削っており、これ以上の値下げは不可能という状況まで来ている。

つまり、配送料を値上げせざるをえないことと「双11」との相関関係は実際は薄い。値上げを敢行すれば市場シェアを失う可能性もあり、各社とも判断に迷うところだ。双11シーズンの繁忙を口実に試験的な値上げを実施するのは、将来的に実施する本格的な値上げの前振りといえる。

消費者も値上げに全面的に反対しているわけではないようだ。零售老板内参の取材では、値上げそのものよりも、値上げ幅に見合ったサービスの向上がないことに反感を抱くとの声が聞かれた。消費者は、サービスの質も改善できるのかを疑問視している。
(翻訳・愛玉)

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