無人で駐車・充電・決済⋯EV充電ロボ「SmartLink」が示す未来

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中国の電気自動車(EV)設備メーカー「摯達科技(Zhida Technology)」がこのほど、上海市で新製品発表会を開催し、次世代の自動充電ロボット「SmartLink」をお披露目した。同社の黄志明会長も登壇し、「自動充電ロボットの登場によって、人・EV・充電スタンドの関係性が大きく変わる」と語った。

摯達科技は2010年に設立され、現在では世界有数の家庭用EV充電スタンドメーカーに成長した。中国では国内最大の充電スタンドサービスネットワークを構築し、自宅への設置からアフターサービスまでを手がけている。これまでに170万台以上を出荷し、世界20余りの国や地域にも輸出している。米フロスト&サリバンによると、24年1~9月には世界市場でシェア9.5%、中国市場ではシェア15.6%を獲得した。

公表データによると、摯達科技は2022年の時点で60社以上の自動車メーカーと提携を結んでおり、うち新エネルギー車(NEV)メーカーが80%以上を占める。近年の主要取引先の上位5社には、長城汽車(Great Wall Motor)、比亜迪(BYD)、広汽集団(GAC Group)、東風汽車(Dongfeng Motor)、長安汽車(Changan Automobile)といった自動車大手が並ぶ。

加速するEV充電の“無人化”

現在のEV充電スタンド市場では、手動で充電コネクタを抜き差しする方式が主流となっている。これからのスマート時代に向けて、この充電プロセスをいかに無人化するかが重要なテーマとなっている。

摯達科技は2016年から自動充電ロボットのコア技術の開発に取り組み、これまでに発明特許を40件近く取得した。同社の製品は、フレキシブルアーム型、関節アーム型、交流用、直流用、固定型、移動型など8タイプを展開し、ほぼ全てのEV充電シーンをカバーしているほか、大規模導入にも対応できる体制を整えている。

今回発表された「SmartLink」は、ジャバラ構造のフレキシブルアームを持つ第6世代の充電ロボットだ。世界初となるケーブル駆動型アーム構造を採用し、低コストながら環境への適応性が高く、充電コネクタの脱着も正確に行え、安全性や信頼性に優れている。

自動充電ロボット「SmartLink」

自動運転技術の普及に伴い、充電自動化のニーズも増加すると同社は見込んでいる。目下、高速道路のサービスエリアや無人駐車場、スマートコミュニティーなどで、運転から駐車、エネルギー補給までを完全に自動化する試みが進んでいる。目的地に到着した車は駐車スペースまで自走し、スマート充電設備が充電コネクタの自動脱着や充電状況の監視、安全確保など全てを行うという具合に、自動運転と無人充電を組み合わせた新たな構想が実現しつつある。今後、この分野が同社の第二の成長の柱になると期待されている。

発表会では、電子決済サービス大手のアリペイ(支付宝)や、高級EVブランドZeekr(極氪)などのパートナー企業が登壇し、それぞれの業界における自動充電ロボットの活用事例などを紹介した。アリペイと共同で進める「タッチ式AI自動充電+非接触決済」プロジェクトは、スマートフォンをかざすだけで充電を開始でき、駐車からコネクタの脱着、充電、決済まで全てが自動で完結する。運転支援機能の普及が進むにつれて、こうした自動充電サービスが本格的に浸透していくとみられる。

同社の自動充電ロボットはすでに、香港国際空港や北京近郊のスマートシティー雄安新区、カタール科学技術パーク(QSTP)などに導入されているという。現在はグローバル展開を重点的に進めており、すでに欧州および米国の認証制度に準拠した体制を整え、アフターサービスネットワークも標準化した。タイに生産拠点を建設したのに続き、今後は中東や南米などほかの地域にも生産能力の拡大を図る方針だ。

摯達科技は2024年に香港証券取引所に上場申請書を提出し、中国証券監督管理委員会への届け出も済ませている。目論見書によると、株主にはBYDも含まれており、3.55%の株式を保有している。

(翻訳・畠中裕子)

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