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IT技術を活用したスマートな宿泊施設の運営管理を行う「OSTAY」がシリーズAで数百万ドル(数億円)を調達した。出資者は大和証券と不動産デベロッパーのサムティ、シンガポールの「ACA Investments」。資金はスマート機器のアップグレード、サプライチェーン管理、技術力の向上などに充てられる。これに先立ちOSTAYは、エンジェルラウンドで「点亮資本(DL Capitals)」、「知卓資本(Z Ventures Group)」から、プレシリーズAで「英諾天使基金(Innoangel Fund)」から資金を調達している。
OSTAYは2017年4月に設立され、IT技術を活用して既存の宿泊業のデジタル化を目指す。スマート機器によって低コストで効率の高い管理を行い、標準化された宿泊施設を提供する。
OSTAYの事業は日本からスタートした。2018年、日本で民泊が解禁されたが、マーケットには標準化された管理システムが欠けており、OSTAYはそこにビジネスチャンスを見出した。OSTAYはサブリースなどの形式で取得した物件を民泊やホテル向けにコンバージョンし宿泊施設としての運営までを一括して提供し、同様のビジネスをオーストラリア、タイなどへ拡大してきた。
OSTAYの共同創業者・姜顕恒氏は36Krのインタビューに対して、OSTAYは個人オーナーと直接契約はせず、開発業者や不動産業者などと契約をして物件を確保し、集中管理を行っていると説明した。
物件を確保した後は建物の状況、経営状況、オーナーのニーズに応じて一定のリノベーションを行う。コストはオーナー側が負担し、改装が完了した物件はOSTAYブランドの宿泊施設として供給される。姜氏によるとOSTAYはサービス開始までの時間が非常に短く、200室のホテルなら1カ月以内で開業でき、規模の小さい民泊であれば10日以内にサービス開始できるという。
インド発の格安ホテルブランドOYOのモデルと比較すると、OSTAYは包括的な運営管理サービスを提供しているため、品質管理が標準化されており、初期の立ち上がりは時間がかかるものの軌道に乗った後にもたらされる利益は大きい。
コスト管理においては、スマートロック、スマートチェックインなどの一般的なデジタル化の仕組みに加えて、運営プロセスとバックオフィス業務にさらに進んだ技術を採用し差別化を図っている。
OSTAYは独自開発したバックオフィス業務管理システムによって、物件の間取り、備品の配置などの情報を記録し、備品の損傷などに対して標準化した細則を作成し、フロントとバックオフィスのコミュニケーションコストを低減した。OSTAYの倉庫は画像識別技術によって備品の状態を正確に把握し、誰が備品を受け取り、どの部屋へ持っていき、どれくらいの期間使用されたかを追跡できるため、消耗による備品交換を適時行える。清掃についても同様の技術を採用し、抜き取りチェックをするコストを低減した。
収益の向上についてOSTAY はOTA(オンライン旅行会社)のトラフィック獲得の仕組みを熟知しており、順位を最適化しながらできる限り手数料を圧縮できる。また、システムが宿泊価格を自動設定するため収益マネジメントの業務量を削減した。システムは予約状況に応じてリアルタイムで価格を調整しこれによって高い稼働率を確保できる。
現地での運営業務を担当するのは1都市ごとに1~3人程度に限られ、清掃などはクラウドソーシングで外注されている。OSTAYは現在すでに1室あたり0.07人の管理工数を実現しており、これは100室を管理するのに7人しか必要としないということである。中国の大手ホテルチェーン「華住酒店集団(HUAZHU Hotels Group)」でも1室あたり0.17人の管理工数がかかっている。OSTAYは将来的に技術の更新によってこの数字を0.05人まで下げようとしている。
OSTAYは現在4カ国8都市で1000室あまりを運営し、1軒のホテルの投資回収にかかるのは2~3年だ。平均客室稼働率はオーストラリアが97%、日本が85%、タイが95%となっている。
OSTAYの収益モデルは利益から15~30%を差し引くもので、オーナーの利益が保証されるため信用度も高いと姜氏は考えている。2018年のGMV(総流通額)は1億元(約15億円)に達し、売上高は約3000万元(約4億5000万円)。今年末までに損益分岐点に達する見込みだ。
OSTAYと似たビジネスモデルとしては「路客(Locals)」、「城宿(Cityhome)」などの民泊ブランドがある。しかし、姜氏は中国国内市場の短期賃貸業務は規範化に関する多くの問題がまだ解決されていないと考えている。今回の調達後、OSTAYは中国国内市場の開拓を進める計画だが、それは民泊業務ではなくホテルの委託管理を主としたものである。
(翻訳・普洱)
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