富士フイルムBI、中国で“脱・印刷機”加速 深圳でDXと脱炭素を両立

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日本の富士フイルムグループ傘下で文具・印刷機器の研究開発・生産を手がける富士フイルムビジネスイノベーション(BI)は今年、中国での事業開始から30年を迎えた。中国国内に12の支店と三つの全額出資子会社を展開し、現地化と事業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を着実に進めている。

富士フイルムBIはかつて「富士ゼロックス」の名で知られていたが、2021年に現在の社名に変更。これを機に本格的なDXの推進に乗り出した。同社(中国)の中村達也董事長兼総裁は「今後は『印刷機の会社』ではなく、信頼できるデジタルソリューションと業務刷新のパートナーとして認識されたい」と語る。

現在、中国では4千人を超える従業員が働いており、中でも広東省深圳市にある工場は世界の生産能力の約7割を担う同社最大の拠点だ。モノのインターネット(IoT)やビッグデータ、人工知能(AI)などの先端技術を導入し、生産性や品質、コストの大幅な改善を実現している。

デジタル印刷の分野では、AIを用いた画像補正や色校正、用紙管理などにより、印刷精度や色の安定性が格段に向上。かつては印刷機能に特化していたデジタル複合機も、現在ではスキャン、文書構造の認識、自動アーカイブ、企業システムとの連携など多彩な用途に対応している。

江蘇省蘇州市の工場は、業界でいち早く資源循環に取り組んだ先進拠点の一つで、生産工程での廃棄物ゼロを実現。工場で使用する電力の9割を太陽光発電でまかない、残りは再エネ証書付き電力を購入することで、22年には二酸化炭素(CO2)の直接排出ゼロとカーボンニュートラルを同時に達成した。

富士フイルムBIにとって中国は、研究開発から調達、製造、販売、サービス、回収、再利用、再生利用まで、バリューチェーンの全てがそろう唯一の海外拠点となっている。中村氏によると、中国で蓄積されたデジタル化の経験やソリューションは、グループの他の海外市場でも活用が始まっているという。

現在は、20社を超える中国のビジネスパートナーと提携し、印刷管理のデジタルワークフローや契約管理、AIを活用した知識共有などの分野で、ビジネスイノベーションを共同で進めている。

23年には深圳工場で3万平方メートルを超える新たなデジタル工場が完成し、稼働を開始。さらに今年10月には「富士フイルムビジネスオープンイノベーションセンター」の深圳分センターが、上海・北京・成都・広州に続き開設される予定で、研究開発、テスト、製品展示、トレーニング、イベント、インキュベーションなど多様な機能を担う拠点となる。【新華社深圳】

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