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拡張現実(AR)の眼鏡型端末で世界トップシェアを誇る、中国発スタートアップ企業「XREAL(エックスリアル)」が7月24日に日本で最新モデル「XREAL One Pro(エックスリアル ワン プロ)」を発売する。それに先立ち、創業者の徐馳CEOが来日し、メディアのインタビューに応じた。
徐CEOは、米GoogleのXRデバイス向けプラットォーム「Android XR」に対応するARグラス「Project Aura」を、2026年に日本でも発売する意向を示した。この製品はGoogleとの共同開発によるもので、開発チームは両社合わせて1000人規模にのぼり、「双方が500人ずつ、全力を注いでいる」と述べた。日本初のAndroid XRデバイスになるという。
ほかにも、Googleは韓サムスン電子(Samsung)と進めるヘッドセット型端末「Project Moohan」に加え、ARやVRなども含めた次世代技術「XR」分野のプロジェクトも同時に進めている。すでに開発実績を持つXREALとの協業を通じて、過去に頓挫してきたXR端末開発を再始動させ、米Meta(メタ)や米Apple(アップル)などの競合を一気に突き放す狙いがあるとみられる。
One Pro
今回発売されるOne Proは、従来モデル「One」の視野角50度に対し、57度へと拡大してしたが、今後は70度を超える見通しだ。
日本市場でのOneの販売は、売り切れが出るなど好調で、米国、中国に続く世界3位の市場で、7割近いシェアを保っているという。徐CEOは「日本が一番シェアが高い」と話した。また、Oneの価格は6万9998円であるのに対し、One proは8万4998円に設定されたことについて、「日本市場はハイエンドのものを好むガジェット好きが多い。視野角などが向上しており、価格帯を気にせず購入される方が多いのではないか」との見方を示した。
また、6月下旬に発売された外付けカメラ「XREAL Eye」を装着すれば、これまで視線の向きに応じた「3次元体験(3DoF)」にとどまっていたARグラスが、画面の位置を空間内に固定し、ユーザーが体を動かして画面の裏側に回り込むといった、より没入感を実現する「6DoF」で使うことができるようになった。こうした取り組みにより、XREALは着実にイノベーションを進めている。
X1Sチップ
XREALは、自社開発の半導体チップ「X1」を最新モデルの「One Pro」や「One」に搭載しているが、Project Auraではさらに新型チップ「X1S」を搭載する予定で、処理速度が従来比で約25%向上した。
この新型チップはスマートフォンの半導体チップ「Snapdragon(スナップドラゴン)」とも連携できるほか、視野角が70度を超え、Googleの人工知能(AI)「GEMINI(ジェミニ)」にも対応して、一気に性能を引き上げる構えだ。引き続き、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が製造し、回路線幅は12ナノメートルになる予定だ。徐CEOは「まだ公表していないが、次のX2からより微細化する」と見通しを語った。
独立系保つ
Googleとの関係をここまで深めると、気になるのは統合を含めた両社の資本関係だが、徐CEOは「独立を保ち、Appleのような企業になりたい」としたうえ、XRという「新しいプラットフォームで優位に立ちたい」と語る。一方で、AppleのiOSのようなクローズドのプラットフォームを築くのではなく「システム面もしっかりオープンでやりたい」と強調。多くの企業と連携しながらXRの普及を促進し、人々の暮らしをより便利にするとともに、市場を拡大していくことを目指していくと決意を表明した。
Googleについては「AIのプラットフォームにすごく強みを持っている」と説明し、十年ほど前に開発を進めていていた「Google Glass(グーグルグラス)」のプロジェクトが頓挫した中で、XREALとサムスンの製品開発の強みを取り込もうとしているとの見方を示した。
米中AI
GoogleのAIを活用していくが、気になるのは中国市場での対応だ。これについてAppleが中国大手のアリババグループと提携を明らかにしており、Googleも中国市場向けにそのような協業を打ち出す可能性があると示唆した。さらに、「私は米国で学んだ。グローバル化を信じている」と述べ、AI分野でも米中デカップリングではなく、世界的な協業が進んでいくことに期待感を示した。
米国のトランプ関税について、徐CEOは「ほかの企業も同じ状況に直面している。サプライチェーン(供給網)は基本的に中国国内でまかなっているので、正直理想的ではないが、うまく対処していくしかない」と述べた。
ARグラス市場を巡っては、米中の大手企業による製品強化も相次いでいる。6月26日に「Xiaomi AI Glasses」を発表し、Metaは次世代ARグラス「Hypernova」を出す方向だ。こうした動きに対し、徐CEOは「競争が激化し、製品の質が上がることは良いことだ」と前向きな姿勢を示す一方で、「われわれは大企業に追いかけられる中で、独自チップを開発した。常に革新し続けることが大事だ」と強調した。
(取材:36Kr Japan編集部)
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