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中国ではここ数年、新エネルギー車の販売台数と保有台数が増え続け、充電インフラに対する需要が高まっている。今年から政府補助金の対象が新エネルギー車の「車両購入」から「運営(オペレーション)」へと変わり、充電インフラに補助金がつくことになった。これが充電インフラの開発・運営事業者を大きく後押し、世界の企業収益ランキング「フォーチュン・グローバル500」に名を連ねる大手企業も巨額の投資を行っている。
10月28日、電動化などを手掛けるスイスのABBは微信(WeChat)の公式アカウントで、中国の電気自動車(EV)充電ソリューションサプライヤー「上海聯桩新能源技術股份有限公司(聯桩新能源、Chargedot)」の株式67%を取得すると発表した。買収は数カ月以内に完了する見通しで、同社は向こう3年でさらに持ち株を増やす可能性を示唆している。
聯桩新能源は2009年に設立され、資本金が1250万元(約1億9000万円)に上る。EVメーカーやEV充電インフラオペレーター、不動産開発業者などに交流・直流充電ステーションとそれに付随するソフトウエアプラットフォームを提供している。浙江省平湖に面積36ムー(約2.4ヘクタール)に上る生産拠点を建設し、交流スマート充電設備の自動生産ライン10本、直流スマート充電設備の自動生産ライン5本を設けた。
ABBの発表によれば、聯桩新能源は従業員185人を抱え、中国自動車大手の上海汽車集団(SAIC Motor)の子会社「安悦充電(Anyo Charging)」も株主となっている。企業情報サイト天眼査によると、聯桩新能源は2015年9月に「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉中国)」からシリーズAで数千万元(数億円)の資金を調達している。
聯桩新能源は、新エネルギー車を製造する上海汽車集団乗用車分公司、北京新能源汽車(BAIC BJEV)、東風日産(Dengfeng-Nissan)、上汽大通汽車(SAIC Maxus)、上海申沃客車(SUNWIN)と戦略的提携パートナーシップを結び、充電製品を供給している。また新エネルギー車のカーシェアリング業者にスマート充電設備とプラットフォーム管理システムを提供し、充電ネットワークとコネクテッドカーのシームレスな連携を確保しているほか、安悦充電などの充電インフラオペレーターとも提携し、オーダーメイドのスマート充電ソリューションを提供している。
今回の投資についてABBエレクトリフィケーション部門プレジデントのタラク・メータ氏は、「未来のサスティナブルな交通をリードすることに努めるABBのコミットメントを改めて裏付けるものだ。中国がエレクトロモビリティのエコシステム構築を進める中、今回の投資はABBが同分野で一層大きな役割を果たすことにつながり、上海汽車集団や他の中国自動車メーカーとの提携も深める」と説明した。
もちろん今回の投資はABBにとって重要だが、中国で手掛けるEV充電インフラ事業の一環にすぎない。ABBは2016年から中国のEV製造最大手「比亜迪(BYD)」、独ダイムラーと提携し、この2社による合弁ブランドEV「騰勢(DENZA)」向けに直流充電設備を供給。また中国の「蔚来汽車(NIO)」を含むEVメーカーや、エネルギー大手の英BPが充電インフラオペレーターの「66快充(66iFuel)」と共同で展開する中国での充電インフラ関連事業に直流急速充電ソリューションを提供している。ABBは、EV充電技術やエネルギー配置ソリューションなどのEV製品事業を世界的に展開し、世界76カ国で供給した直流急速充電設備は累計1万1000台を超える。
(翻訳・神戸三四郎)
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