TikTok中国版「抖音」がカラオケミニプログラムをリリース、次なる大ヒット製品になるか

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中国のショート動画共有アプリ「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」という)」がこのほど、カラオケミニプログラム「抖唱」をリリースした。

「抖唱」の主な機能は合唱だ。インフルエンサーが合唱用ミュージックビデオ(MV)を抖唱に投稿すると、フォロワーはそのMVに自身の声やパフォーマンスを加えて新たな動画を作成、投稿することができる。

ミニプログラム「抖唱」の合唱用MV一覧画面のスクリーンショット

抖音は今年2月、ゲームミニプログラム「音躍球球」を皮切りにミニプログラムの本格展開に乗り出した。だが、現時点で抖音のミニプログラムはデイリーアクティブユーザー数(DAU)、成熟度ともに冴えない。特筆すべきはモバイルOSのiOSとAndroidで扱いが異なる点だ。iOSを搭載する米アップルのモバイル端末の場合、抖音のミニプログラムは機能カテゴリー内にある音躍球球の1種類しか出てこない。一方、Android端末ではミニプログラム専用のカテゴリーが設けられ、コンテンツも豊富だ。

Android端末向け抖音にはミニプログラム専用カテゴリーが設けられている
iOS端末向け抖音では機能(効能)カテゴリーの中にミニプログラムが追加されている

今回リリースされた「抖唱」は、音楽でミニプログラムの発展にアプローチするもので、抖音の動きに沿った選択と言えるだろう。音楽と映像をシンクロさせるという抖音の特徴は、楽曲を流行させる上で強みを発揮する。抖音を通じて無数のヒット曲が誕生していること、昔の曲がリバイバルヒットしていることがその証拠だ。

ミニプログラムはインターネット大手各社が事業を拡大し、ユーザーの価値を高める上で避けては通れない道となっている。中国の調査会社「QuestMobile」のデータによると、今年上半期は中国のモバイルインターネットユーザー数がピークに近づき、11億3400万人前後で推移した。各プラットフォームのユーザーの伸びも最終段階を迎えつつあり、SNS中国最大手の「WeChat(微信)」では単月でマイナス成長となる動きも出ている。ユーザー数の増加が頭打ちとなったことで、インターネット大手は既存ユーザーの価値向上へと舵を切り始め、テンセント(騰訊)傘下のWeChatやメッセンジャーアプリの「QQ」、アリババ傘下の電子決済サービスのアリペイ(支付宝)やEC大手のタオバオ(淘宝網)、検索大手のバイドゥ(百度)らが次々にミニプログラム開発に乗り出した。さらに中国のスマホメーカー9社も共同でミニプログラムと同様の機能を持つ「快応用(Quick App)」をリリース。同アプリは9社のスマホに標準搭載されている。

ミニプログラムで音楽の需要を掘り起こす

抖唱はミニプログラムの力作というだけでなく、ユーザーの音楽に対する需要を掘り起こそうとする試みでもある。

ショート動画共有アプリにとって合唱機能やMVには何の新鮮味もない。抖音のライバルである「快手(Kwaishou)」は昨年すでにカラオケ機能をリリースしており、ユーザーは独唱、合唱するショート動画を投稿できるようになっている。また、オリジナル曲を制作するミュージシャンへの支援も強化しており、快手の認証ミュージシャンの多くが素人出身だ。

快手のカラオケ機能と音楽関連のライブ配信機能「快手音悦台」

ユーザー側からみれば、動画で音楽を聴くことは新たな習慣になりつつある。国際レコード産業連盟(IFPI)がまとめたリポートによると、2018年は世界で86%の消費者がストリーミングで音楽を聴いており、うち52%は動画ストリーミングサービスを利用していた。ショート動画プラットフォームは音楽配信サービスに力を入れ、音楽配信プラットフォームも積極的にショート動画を取り入れている。抖音が今この時期に、ユーザーの音楽に対する需要とミニプログラムを結びつけたのは悪くないタイミングだと言える。

抖唱に投稿できる動画の長さは15~30秒前後に抑えられている。楽曲のサビの部分だけを歌うようにすることで、ユーザーが気軽に参加できるようにとの配慮かもしれない。最も耳に残るメロディーに繰り返し触れさせることで、楽曲の拡散を後押しする狙いもあるだろう。

ミニプログラムは新たな戦場になりつつある。抖唱が抖音と同系列の各プラットフォームのミニプログラムを差別化し、競合を追い上げることにつながるかどうか、検証するにはしばらく時間が必要とみられる。
(翻訳・池田晃子)

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