可視光通信技術を実用化 各種認証や買い物一瞬で

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現在主流となっているIoTの通信技術には、QRコード、NFC(近距離無線通信)、Bluetooth、NB-IoT(ナローバンドIoT)があるが、効率や安全性に難があり、コストが高いといった難題がある。実際の「ニューリテール(新小売り)」のシーンでは、既存の自動販売機の場合、1度につき1人の顧客しか買い物ができず、購入にかかる平均時間は最短でも1分と「回転率」の面で支障がある。この処理能力は現在、ニューリテールの最終段階での集客における一般的な課題ともなっている。これに関し、「光芽科技(Guangya Keji)」は自社開発した可視光通信(LED通信)技術で、より高効率で安全な情報通信を実現し、同社の技術は決済、エントランスセキュリティ、交通、宅配・物流、ニューリテールなどのシーンで大規模に活用されている。

光芽科技は2018年に設立され、同社の可視光通信技術およびソリューションは親会社の「閃易科技(Robooot)」から受け継いだものだ。光芽科技はニューリテール分野に向けた可視光通信技術および関連製品の提供を事業の重点としている。現時点では、可視光通信技術を搭載したハードウエア製品、同技術をベースとしたソフトウエアのアップグレードや改良、ユーザーデータの管理および技術プランのサポート、ニューリテールのプラットフォーム向けソリューションという4つの事業を展開している。

同社の製品はハードウエア・ソフトウエアに二分され、ハードウエアに関しては、可視光通信技術を搭載した入退室管理やドアロック、セキュリティーゲート、エレベーターセキュリティー、宅配ボックス、自動販売機などがある。消費者は携帯のフラッシュライトまたは可視光ID通信技術搭載のハードウエアを使用し、生活の中で発生する各種認証や通信プロセスを一瞬で完了できるため、非スマートフォンユーザーの間にも利用を広めることが可能だ。

同社の技術は決済、エントランスセキュリティ、ニューリテールなどのシーンで大規模に活用されている

光芽科技の丁峨峰CEOによれば、同社の製品は主にニューリテール分野の一部の特殊なシーン、例えば閉鎖的で携帯電話の利用に差し支えがあるような産後ケアセンター、学校、工場、老人ホームなどで活用されているという。こうしたシーンでは、可視光通信の優位性が最大限に発揮される。利用者が携帯電話を所持していなくても、キーホルダーほどの大きさのデバイスさえあれば通信ができる。また携帯電話を使用する場合は、可視光通信技術に対応したソフトウエアにより、既存の通信方法の数十倍の速度で通信が可能だ。

可視光通信の安全かつ高効率という特性により、同社の生産する自動販売機ではわずか1秒で買い物ができ、列に並ぶ必要もない。また複数の消費者が同時に商品を購入することもでき、効果的に購買体験を高め、商品販売数を引き上げている。

市場に目を向けると、国内の産前産後ケアサービス機関は4000カ所超、各種学校の在校生は約3億人、65歳以上の高齢者は約2億人に達している。可視光通信技術の活用に関しては、人数が多く、商品のピックアップ速度に対する要求が高く、かつ携帯電話が使えない小中学生が通う学校でのニーズがとりわけ大きい。さらに可視光通信技術は利用者のロイヤリティを高め、データの空間的分布を管理することもできる。

光芽科技は現時点で複数の銀行や公安部第一研究所、また自動販売機メーカーの「富士冰山自動售貨機(Fushibingshan)」「易富(Easivend)」、ハイテク企業の「新元科技(Beijing New Universal Science And Technology)」などと提携している。自動販売機による収入が同社のハードウエア製品事業の主な収入源となっており、同事業の売り上げが売上高全体に占める割合は3~4割となっている。

同社の自動販売機では複数の消費者が同時に商品を購入することもできる

ソフトウエア関連の製品・サービスは主に特定の場所での可視光通信技術を利用したソリューションや光芽科技のニューリテールプラットフォームなどであり、これらによる収入が売上高全体の3~4割を占める。客単価は5万~100万元(約78万円~1600万円)と幅広く、現在はホテル、地下鉄、「園区」(物流園区など特定産業の集中エリア)、生鮮市場など1000社以上の顧客にサービスを提供している。その他の売上高は、可視光通信デバイスのユーザー情報管理や技術プランのサポートといった付加価値サービスによるものだ。

収益に関しては、同社は昨年に損益分岐点に達しており、現在は主に製品開発やPRに費用が充てられている。同社の社員は約60名で、そのうち8割を技術者や開発者が占めている。

光芽科技は中国国内市場に加え、日本、ブラジル、中東、タイ、米国、マレーシア、シンガポール、ロシア、ドイツといった国でも事業に乗り出しており、海外向け製品では顧客の具体的なニーズに基づいた製品のカスタマイズが中心となっている。
(翻訳・神部明果)

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