中国漫画業界は大手独占状態、若者によるUGC漫画コミュニティの構築を狙う「触漫」の試み

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2019年11月26日〜27日、スタートアップやIT業界に特化した中国の最大級メディア「36Kr」は、北京国際会議中心(China National Convention Center)において「2019WISE 新商業大会」を開催した。本大会では13会場に100人以上のニューエコノミー関連企業の代表者を招き、新たな技術、新たなシナリオが既存産業を根本から覆し、再構築する様子に注目している。同時に、世界のスタートアップ・大手IT企業・投資機関・地方政府・既存型企業など、未来に向かって着実に歩み続ける各当事者の成長や実績にフォーカスしている。

現在、漫画業界は「騰訊動漫(TENCENT ANIMATION & COMICS)」「快看漫画(Kuaikan Manhua)」「微博動漫(manhua.weibo.com)」などの大手企業が市場をほぼ独占している。そのような中、「夢映動漫(Guangzhou Dreampix Innovation Network Techology)」は「創作ツール」を着眼点とし、作品のインタラクティビティを強化することで、「00後」と呼ばれる2000年以降生まれの若者によるUGC(ユーザー生成コンテンツ)漫画コミュニティの構築を試みる。同社の手掛けるアプリ「触漫」について創業者の一人、張鈺婷氏が語ってくれたエピソードを以下に紹介する。

中国の漫画作成数は毎年爆発的に伸びているが、コンテンツ作成効率は市場の成長スピードから大きく遅れを取っている。このため、私たちはテクノロジーと既存の漫画産業をいかに融合し、コンテンツ創作効率を引き上げるかを考え続けてきた。

長年の模索の結果、漫画創作ツールにより創作のハードルを下げるという手段を選択し、漫画創作アプリ「触漫」をローンチした。豊富なテンプレートや使いやすいエディターにより、多くの人に創作の楽しさを届けている。

このアプリを使用することで、1ページの平均制作時間は5時間から3分にまで劇減し、創作効率は160倍にまで上がった。登録ユーザー数は4000万人、作品数は9000万本以上に達し、国内最大級の00後2次元創作コミュニティーとなった。

だが、00後市場を狙う企業として、私たちは既存の方法を覆すだけでなく、各方面での融合が必要だと考える。漫画業界の当事者また推進者として、以下で三つの「融合」に関する考えとその成果を紹介したい。

ツールとコミュニティーで共同制作を実現

一つ目の融合とは、ユーザー同士の融合だ。私たちはツールとコミュニティーを掛け合わせ、UGCを通じてユーザー同士の融合と共同制作を実現している。マンガ創作のハードルを下げ、エンターテインメント性のあるコミュニティーを構築することで、2次元創作手段によるコミュニティプラットフォームを創り上げているのだ。さらにユーザーの技量不足を補うため、プロの漫画家がオンラインで指導する「触漫学院」を設立したほか、MCN(マルチチャネルネットワーク)と共同でオリジナルコンテンツを開発し、作者のさらなるマネタイズも支援している。

中国にいる1億5000万人の00後世代の5人に1人は私たちのアプリ使用しているほか、1日の平均作品登録数は30万本と国内漫画市場トップとなっている。閲覧数は100億回を超え、「哔哩哔哩(Bilibili)」や騰訊動漫にも大量のファンが存在する。さらに有名IPコンテンツとの積極的なコラボレーションも行っており、「第五人格(Identity V)」や「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」などのゲームがその一例だ。当社はバーチャル素材の販売や会員に対する付加価値サービス、ライブ配信などの方法を収益としており、創業から3年あまりが経過した今、すでに黒字化を達成している。

テクノロジーと漫画の融合

第二の融合は、テクノロジーと漫画の融合によるイノベーションだ。私たちは2次元コンテンツをほんの数十秒で3次元に変換する技術や、実際の光景を漫画に変換する技術、またAIによる自動彩色など複数の技術を実現しており、AIが主導する次世代型の漫画制作プロセスを構築することで、漫画創作時間の大幅短縮に成功した。

さらに3Dモーションキャプチャルームも設置し、CGキャラクターやバーチャルアイドルのライブ配信、ミュージックビデオ、オフラインライブ、ゲームなど他社との協業にも活用する。昨年発表したバーチャルアイドル選抜番組のワンシーンで、アイドルの動作を全てモーションキャプチャによって作成したが、スムーズで非常にリアルだ。今後もより多くの成果を市場に発表していきたい。

漫画教育も推進

第三の融合は漫画と教育との融合であり、これにより持続可能な発展を目指している。アニメや漫画は現在、次世代の若者がこの世界と関わりを持ち、自己表現する一種の方法となっている。現在は漫画教育の模索と実現を進めており、今後は大学や有名漫画制作会社と協業し、オンラインとオフラインを融合させたクリエイティブ教育を実施する予定だ。触漫学院での興味深いカリキュラムのほか、オフラインの親子イベントも開催していく。

今後も単なるテック企業としてではなく、次世代の若者にエネルギーと創作の楽しさを伝える使命を胸に、あらゆる人々の2次元創作を支援し、若者と共に美しい未来を築いていきたい。
(翻訳・神部明果)

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