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近年、メディカル(医療)AIが放射線医学の分野で注目されている。2017年に国務院が公布した「次世代人工知能(AI)発展計画」がワンヘルス産業全体にとって好材料となり、医療用AIは徐々に勢いを増している。
スクリーニング、診断、フォローアップ、科学研究などの分野で臨床研究が進み、メディカルAI製品は臨床医の優れた助手、「第2の頭脳」となりつつある。この分野で研究を進めてきた「上海依図網絡科技(YITU Technology)」が運営するトータル医療ソリューション「依図医療(YITU Healthcare)」は11月中旬、複数の分野を組み合わせたスマート科学研究プラットフォーム「care.ai(ケアAI)」を本格的にリリースするとし、また商用化に成功した製品「AI Map of Cancer Screening(がんスクリーニングAIマップ)」の1年間の成果について発表した。
がんスクリーニングAIマップ
同社はAI画像認識の技術を使った医用画像分析に強みをもつ。このAI医用画像システムは既に国内300以上の病院に導入されており、肺がん、乳がん、子宮頸がん、胃腸の疾病などに対応している。このうち4Dの胸部CT画像システム「胸部CT智能4D影像系統care.ai®(Intelligent 4D Imaging System for Chest CT)」は、病巣の検出から管理まで全てのフローにおけるスマート化を実現した。
これらの技術をもとに同社は2018年11月、「がんスクリーニングAIマップ」プロジェクトを始動。5年間で1億元(約15億円)を投じる計画だ。この1年間で累計数十万人を対象にサービスを提供、5000件ものAI早期スクリーニングを実施し、50人を超えるハイリスク患者を検出した。
依図医療副総裁の方驄博士は早期スクリーニングの普及活動について「最初の頃は苦労した。病院と協力して各地域に合わせたPRを進めた」と語った。現状では、同プロジェクトの受け入れは一部の発展した都市・地域に限られている。今後は西北部あるいは「一帯一路」構想のエリアへも普及させたいという。
また、がんスクリーニングAIマップの目標は徐々に細分化してきている。具体的には医療の現場で患者を長期的にフォローアップし、肺がん患者のデータファイルを作成、地域のサンプルセンターを構築し、腫瘍の管理モデルを最適化することで、CTC(循環腫瘍細胞)、ctDNA(循環腫瘍細胞DNA)などを用いた早期スクリーニング技術により、肺がんの検査体系を構築するという。
そのため同社は、政府や医療機関と協議し、また企業との協働も進めている。
商用化には、技術・製品・市場戦略がポイントとなる。依図医療は優れたAI技術をもち、中国で最高等級となる「三級甲等医院」300カ所でも認められているため、この強みを生かしたワンストップ型のトータル医療ソリューションを展開している。
臨床研究と科学研究に役立つAI
依図医療は、医療の現場で肺がんの早期スクリーニングを支えるほか、マルチオミクス科学研究プラットフォームcare.aiも運営している。
科学研究プラットフォーム自体は新しいものではない。メディカルAIの開発を行う大部分の企業にあるものだ。電子カルテに基づいてテキスト情報を抽出し、テキストデータまたは画像データのタグとフロー化したトレーニングを通じて一定の成果を得ている。
しかし副総裁の石磊氏は、「このようなプラットフォームはデータの管理プロセスのみに関与しており、画像だけでは臨床情報に関連付けができず意味がない」と語る。専門分野を超えたマルチモーダルなデータの統合こそが、AIに基づく科学研究のトレンドだとの考えを示した。
では依図医療のプラットフォームにはどういった特徴があるのか。
石氏によれば 同社のcare.aiは「マルチオミクス(複数の分野を組み合わせた)」概念を取り入れているのだという。ディープラーニング(深層学習)技術の前提となる高次元情報によって、専門家がより高い次元の医学情報領域を探究、最終的に小さなサンプルでビッグデータを実現させる。また画像、テキスト、遺伝子、病理などのマルチモーダルな情報を取り入れることで、より多くの臨床研究の進展にAIが一役買っているという。
現状、医療データの情報密度は高くなっており、サンプルの量だけで医療データの価値を決められなくなっている。情報密度が臨床研究の価値をはかる新たな尺度となった。また、AI技術の精度とデータ解析能力については、限られたデータの中に含まれる膨大な情報を完全に処理してこそ「小さなサンプル」を「ビッグデータ」に変えることができる。
同プラットフォームはこれまで多くの科学研究プロジェクトに携わり、四川大学華西医院(WCH)や浙江省肺がん診療医学センターで少しずつ成果が出始めている。
(翻訳:貴美華)
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