下処理済野菜の無人販売機「新鮮到家」、調理の手間を省き若者の心を掴む

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下処理済野菜の無人販売機「新鮮到家」、調理の手間を省き若者の心を掴む

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近年、暮らしの質の向上や購買チャネルの多様化に伴い、中国の生鮮食品市場は大きな変化を遂げている。2013年以降、その市場規模は年間平均6%超の成長率で拡大し続け、2019年には2兆元(約31兆4000億円)を突破する見込みだ。中でも野菜に下処理を施した半加工品は、その利便性から若い世代に広く受け入れられている。

「新鮮到家」は、野菜を切り口として、オンライン・オフラインで半加工品の販売を展開する企業だ。2017年に自社のセントラルキッチンと研究開発センターを建設。今では研究開発から生産、販売に至るまで、全てのプロセスを網羅する総合食品企業に成長した。取扱商品は400SKUあまりにのぼる。

主なターゲットは、料理が不得意な人、健康的な食生活を目指す人、ホームパーティーを開く人等だ。当初は、WeChat(微信)内のECモールを通じて注文を受け、オフラインで配送するというビジネスモデルで市場を開拓した。現在ユーザー数は8万人を超え、デイリーアクティブユーザー(DAU)は5000人あまり、週に3回以上注文するユーザーは約2000人で、カスタマーレビューの高評価率も98%に達する。

今では一般消費者向けのサービスだけでなく、カルフールやテスコ等の大手スーパーとも提携を結んでいる。また、社員食堂や中華料理店にも野菜の半加工品を提供する。創業者の李志国氏によると、一般的な中華料理店では、通常10人前後のスタッフが必要だが、半加工品を使用することでその数を2~3人まで減らすことができる。さらに味のばらつきや食材の無駄がなくなり、衛生面も向上するため、商品の標準化や経営の軽量化を目指す飲食店にとって、革新的なモデルなのだという。

このほか、フランチャイズ店やフードサービス事業者向けのサービスも展開しており、開業ニーズに合わせて生産管理の業務フローやプランニング、セントラルキッチンの設計に関する研修を実施している。このように、新鮮到家は一般消費者、大型スーパー、フードサービス事業者など多様な顧客ニーズに対応することで、利益を生み出している。

新鮮到家のスマート野菜販売機

品質管理の面では、開発段階から栄養のバランスを重視し、さらに切断、計量、味付け等の項目に規定を設け、生産管理の業務フローの標準化を図っているほか、サンプリングによる簡易検査を行っている。また、QRコードから食品の産地や生産日時を調べられるトレーサビリティシステムも確立している。

新鮮到家のサプライヤーは農家と中小規模の飲食店をつなぐ「美菜(Meicai)」や老舗の調味料メーカー「李錦記(リキンキ)」等で、配送に関しては、自社の物流システム以外にO2Oプラットフォーム大手「美団(Meituan)」とも提携を結んでいる。同質化競争が激しく、値下げ合戦やポイント還元で生き残りをかけてきた生鮮食品市場において、標準化された野菜の半加工品は将来の持続的な成長エンジンになると李氏は語る。

李氏によると、同業他社と比較した場合、新鮮到家の優位性は、自社での開発能力、長年蓄積された膨大なデータや、仕入れや加工、生産における圧倒的なコストメリットが挙げられるという。プランニングの経験やブランディング戦略でも、他社を大きくリードしている。

2018年の総売上高は800万元(約1億3000万円)近くで、黒字化を達成した。2019年の総売上高は1600万元(約2億5000万円)を見込んでいる。上述したビジネスモデルはすでに河北省秦皇島市全域に浸透しており、2020年には河北省東部へと範囲を広げ、地域に根ざした事業パートナーを増やしていきたいと李氏は語る。

新鮮到家は河北省秦皇島市に本部を置き、現在100人近くの従業員が働いている。創業者の李志国氏は生鮮食品市場や野菜の半加工分野で豊富な経験を有し、COOの張占山氏は、バイドゥ(百度)やUbox(友宝)で長年販売管理業務に従事していたという。このほか、張秦鋮氏がCMO、李愛群氏がCTOを務める。

現在、新鮮到家は資金調達を計画している。資金はサプライチェーン構築や設備更新、チームビルディングに充てられる予定だ。
(翻訳・桃紅柳緑)

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