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中国および東南アジア市場から相次いで配車事業を撤退させたシェアリングエコノミー大手の米「Uber Technologies(以下、Uber)」が、今度は最も有望視されているフードデリバリー事業「UberEats」の売却に乗り出した。今回の売却劇の舞台はインドだ。
米テクノロジーメディア「techcrunch」は3人の消息筋から得た情報として、Uberが現在、インドのグルメサイト運営企業「Zomato」にUberEatsのインド事業を売却する交渉を進めていると伝えた。
消息筋によると、UberEatsのインド事業の評価額は約4億ドル(約440億円)とされる。Uberは売却取引の一環として、Zomatoに1億5000万〜2億ドル(約160〜220億円)を出資するほか、Zomatoの株式を大量に取得する可能性もあるという。Uberの広報担当者は、この件に関するコメントを避けている。
Zomatoは昨年、中国ネット通販大手のアリババから1億5000万ドルを調達しており、評価額は10億ドル(約1100億円)以上とみられる。同社の創業者で現CEOのDeepinder Goyal氏は今月、間もなく6億ドル(約660億円)の資金調達が完了すると明らかにしている。また、アリババ傘下の金融関連会社アント・フィナンシャルがZomatoに対して新たに6億ドル(約660億円)を出資するという報道もある。
Zomatoは2008年に設立。一方、UberEatsのインド進出は2017年中旬。UberEatsはインドでの足場を固めようと資金を投入し続け、大幅割引を実施しているものの、Zomatoやフードデリバリー大手「Swiggy」のシェアを脅かすには至っていない。
Uberの評価額は2018年、1200億ドル(約13兆円)に達するとみられていた。このうち、UberEatsの評価額が6分の1を占めていた。UberEatsの注文数は現在も増え続けてはいるが、現在のUberにとって大幅割引を継続するリスクは大きい。
Uberの2019年度第3四半期(7~9月)決算は、純損失が11億6200万ドル(約1270億円)と、赤字幅が前年同期比18%拡大した。Uberの共同創業者トラビス・カラニック氏も、同社株式の売却を加速している。
ロスカットはUberの戦略だとも考えられる。UberEatsがインドに進出したのは、現地市場の「兄貴分」Zomatoの株式と影響力を獲得し、より多くの資金を調達するためだったのかもしれない。
Uberが海外市場でシェアを縮小しているのも、現時点で市場におけるポテンシャルが最も高いUberEatsに有効な投資を行うためだ。Uberは現在、欧州や中東、アフリカなどの新興市場への投資を拡大している。加えて、Uberは「エアタクシー」や金融事業、自動運転技術の向上など、新たな成長分野を探し、新たな事業を開発する取り組みも継続している。。
(翻訳・田村広子)
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