アリババも参入を急ぐ「漢服」ビジネス、人気商品は転売過熱状態

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中国の漢民族の伝統衣装を模した「漢服」が、新たなトレンドとして認められつつある。愛好家の人数が増えただけでなく、大手インターネット企業に注目されるまでに至ったのだ。アリババは2019年7月にアプリ「古桃」、ゲーム動画配信サービスの「虎牙(HUYA)」は2019年11月にアプリ「花夏」をそれぞれローンチした。どちらも、漢服をテーマにしたソーシャルアプリで、人気店の漢服商品や漢服に合うアクセサリーなども販売している。

現時点で、この分野でもっとも人気のあるアプリは「漢服薈(hanfugou)」で、すでに479万ダウンロードを誇る。このアプリの人気により、アリババや虎牙も漢服愛好家の購買力に一目を置くようになった。愛好家が増えるに連れ、マイナーな趣味だった漢服が、大衆に受け入られつつある。

170億円規模の漢服市場

2003年、漢服を着て街を歩く愛好家たちが好奇の目で報道されてから十数年が過ぎた。最新の漢服産業に関するレポートによると、2018年末の時点で、中国の漢服愛好家は200万人以上になり、漢服産業は10.87億元(約170億円)の市場規模を持つまでに成長したという。

アリババ傘下のECサイト「淘宝(タオバオ、Taobao)」で漢服を販売する店舗は2005年の7店から2018年の815店に急増。ともにアリババ傘下の淘宝と「天猫(Tmall)」の2018年の漢服に関連する売上高は9.21億元(約150億円)に上り、2019年の「双11(ダブルイレブン)」では午後2時時点で漢服の売上高が1.8億元(約29億円)を超えた。そのうち、1990年代生まれの若者の購入金額は9065万元(約15億円)以上に上る。

市場の成長に伴い、漢服の高級ブランドも出現した。現在は1着数百元(約数千円)のものから、数万元(約数十万円)のものまで販売されている。

漢服を買い求める人が増えてきたため、それをめぐる新たなビジネスも台頭してきた。

漢服の転売

漢服の転売に商機を見出す人が増えている。現在漢服を販売する店舗の多くが有料のVIP会員制度を設け、購入のハードルを上げている。人気店では一般ユーザーが商品を受け取るのに1年以上待ちというケースも見られるが、VIPなら同じ商品を1~2カ月で入手することができる。

また、期間限定販売で、完売後すぐに廃番にするという品薄商法で価格を釣り上げる店舗もある。このような商品は転売業者にとっても売りやすく、定価1099元(約1万8000円)のものが5000元(約8万円)で売られたケースもあるほどだ。

転売業者にとって、VIP会員の会員料は投資のようなものだ。十数のVIPアカウントを押さえていれば、1カ月で服を数十点購入することができ、それを転売すれば、簡単に月数万元(約数十万円)の利益が出る。

漢服産業は期待できるか

これまでにも、若者がスニーカーの転売や、箱を開けるまで何が入っているのかわからない「ブラインド・トイボックス」の転売で巨額な利益を挙げたという報道が相次いだ。漢服の転売もこの風潮の中で生まれたものだ。今後市場がさらに拡大すれば、より高額な転売が出てくるだろう。

漢服の購入者の購入動機アンケートを見ると、「漢服文化が好き」と答えたのは47.2%、「流行っているから」と答えたのは40.3%だった。漢服の愛好家たちは購買意欲が高く、ロイヤリティが強いため、今後消費はさらに伸びると予想される。漢服がマイナーからメジャーになるのは間違いないだろう。

漢服市場は、今後2~3年の間は成長が続くと予想されている。2019年の売上高は14.1億元(約230億円)になると見られる。

ニューエコノミー専門のコンサルティング会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」のアナリスト・王清霖氏によると、目下の漢服産業は特定の人たちがターゲットで、商品の制作期間が長く、価格が不安定といった課題があり、産業チェーンがまだ未成熟だ。そのため、転売が過熱状態になっているという。しかし、ソーシャルサービス、サブカルチャー、伝統文化的な要素などが複合的に作用してくるため、今後漢服市場は成長期に入り、産業化・ブランド化されていき、業界基準も制定される可能性がある。したがって、漢服産業の見通しは明るいと言える。

作者:「Tech星球」(Wechat ID:tech618) 馬微氷、陳橋輝
原文: https://mp.weixin.qq.com/s/wnqb5hK3lD2O3FUGq_UguQ

(翻訳:小六)

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