ロボット関節の零差雲控、資金調達 ヒューマノイド向け中核部品の量産強化へ
ロボットの中核部品を手がける「零差雲控(Zero Err)」(広東省深圳市) がこのほど、シリーズCの追加ラウンドで華控基金(TH Capital)と創東方投資(CDF Capital)から数千万元(数億円規模)を調達した。資金は主に、研究開発への投資、生産能力の拡大およびグローバル市場の開拓に充てられる。
零差雲控は2016年に設立され、高精度で標準化されたロボット部品の開発・製造に注力してきた。主力製品はロボット関節の「eRob」シリーズと磁気式エンコーダの「eCoder」シリーズで、人型ロボット(ヒューマノイド)や産業用ロボット、手術用ロボットのほか、物流や交通輸送などの分野で広く活用されている。現在の顧客は顧客数は2000社を超え、ロボット関節モジュールの売上高では中国国内でトップクラスのシェアを誇る。
高信頼性用途を前提に設計思想を確立
創業者の賈璽慶氏は、産業用途では塗装や溶接など危険度・負荷の高い作業を代替し、医療用途では手術精度の向上や回復期間の短縮に寄与するなど、ロボットには高い信頼性が求められると指摘する。こうした用途を前提に、「性能面で妥協しない」という同社の設計思想を確立してきたという。
eRobシリーズは、モーター側と減速機出力側の2カ所に絶対値エンコーダを搭載し、繰り返し位置決め精度±7角秒、絶対位置決め精度±15角秒を実現した。いわゆる「ダブルエンコーダ構成」により閉ループ位置制御を可能とし、減速機の長期使用によって生じるバックラッシュ(隙間)や摩耗、加工誤差などをリアルタイムで補正できる。
「零差雲控」が手がけるモーターの中核部品
ロボット関節の開発では、負荷・重量・発熱・効率・サイズ・コストといった複数要素のバランスが求められる。例えば軽量化は構造強度に影響し、小型化は発熱増大につながる可能性がある。同社は信頼性を優先した「段階的改良」を基本方針とし、出力密度の向上や振動・騒音の低減、剛性や耐久性の強化を進めている。
新技術の採用は慎重に見極め
ロボット関節の減速機方式については現在、波動歯車(ハーモニックドライブ)方式と遊星歯車(プラネタリギヤ)方式の選択を巡る議論が続いている。賈氏は両方式が今後も用途に応じて併存するとみる一方、同社は小型・軽量で高減速比と高精度を実現できる波動歯車方式に注力する方針を示す。ヒューマノイド用途との親和性が高いと判断したためだ。
ロボット関節分野では近年、新たな技術路線も相次いで登場している。ただ同社は、アキシャルフラックスモーター(軸流モーター)など検証が十分でない技術については当面採用を見送り、「実用性を優先する」方針を維持する。賈氏は、競争力は製品価格そのものではなく、顧客の総保有コスト(TCO)をどこまで低減できるかにあると説明する。
同社はモジュール化設計を通じて既存アーキテクチャの性能向上にも取り組む。最新設計では7自由度ロボットアームの構成部品数を従来の約40点から約10点へ削減した。組立工程の簡素化やコスト低減につながり、将来的なヒューマノイド量産への基盤整備にも寄与するとみられる。
AI・ヒューマノイド向けが成長の柱に
調査会社の共研産業研究院によると、中国のロボット関節モジュールの需要は2024年の224万セットから30年には482万セットまで増加し、市場規模は689億元(約1兆6000億円)を突破する可能性がある。
こうした市場拡大を背景に、零差雲控の2025年の売上高は前年比100%増を超える伸びを示した。現在は産業用・医療用ロボット向け事業が収益基盤を支える一方、ヒューマノイド・AIロボット向けも売上高の3割を超えるまでに成長しており、2026年はこの新事業分野がさらなる拡大を牽引する主力となるとみられる。
*1元=約23円で計算しています。
(36kr Japan編集部)