「生存率1割」のミルクティー市場 地方への拡大とデリバリーサービスが次の一手

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「生存率1割」のミルクティー市場 地方への拡大とデリバリーサービスが次の一手

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巷でブームのミルクティー店だが、経営するのは難しい。昨年に中国のインターネット上で出回ったミルクティーに関するホットワードで上位10位に入ると予想される言葉に「九死一生」がある。「ミルクティー店の9割は倒産し、生き残るのは1割」という意味だ。

バイドゥの検索トレンド調査ツール「百度指数」が割り出した「ミルクティー」に関する2019年6月のデータ

実際、ミルクティー業界は頭を冷やした方がいい。「ミルクティー店を開けば月収10万元(約160万円)も夢じゃない」などというのは、フランチャイズ本部が描く絵空事に過ぎないからだ。

無論、いかなる分野でも成功を掴める事業は一握りしかない。「九死一生」はオーバーな表現ではないだろう。しかし成功の確率が低いからといって、参入の価値がないかといえばそれはまた別の話だ。

新興ブランド、成功の勘所

ミルクティー店の経営が難しいという声は以前から聞かれたが、その厳しさが「九死一生」といわれるまでに深刻になったのはここ数年の話だ。

生活関連O2Oサービスを展開する「美団点評(Meituan Dianping)」の統計データによると、中国全土でドリンク店の数が爆発的に増えたのは2015年後半から。しかしそれに伴って、閉店数もうなぎ登りとなる。2016年後半から2017年前半にかけては、閉店数が新規開店数を上回るまでになった。2017年4月以降の状況を見ると、一級都市(北京・上海・広州・深圳)や新一級都市と呼ばれる国内15都市では店舗数の増加が鈍っており、前者は6%増、後者は1%増にとどまっている。これに反して、二級都市では茶飲料販売店の店舗増加率が29%に達している。一級都市は二級都市よりも早く市場が飽和を迎えたということだ。

市場が分岐点を迎えたのが2016年。創作系の茶飲料を世に出した新興ブランド「喜茶(HEYTEA)」が8月にIDGキャピタルやエンジェル投資家らから1億元(約16億円)の出資を受けたほか、「奈雪の茶」が年末にシリーズAで「天図投資(Tiantu Capital)」から資金を調達、「因味茶(inWE)」がシリーズAで京東集団(JD.com)を率いる劉強東氏から5億元(約80億円)を調達するなど、新しいブランドとその創業者たちが頭角を現した1年となった。

これら新興ブランドが示した方向性は、潤沢な資金を用いて牛乳や新鮮なフルーツをふんだんに使ったハイクオリティな商品展開や、注文を受けてから淹れる丁寧なオペレーションなどを実現し、市場競争のハードルを大幅に上げたことだ。健康的かつ鮮度にこだわり、個性を重んじるお茶のカルチャーを理念とし、商品でそれを体現している。

直営一辺倒で店内体験にこだわり、製品開発に多額のリソースを割く新興企業によるブランド力構築は目に見える成果を出した。彼らは市場における価格決定力を握り、これを引き上げたと同時に、従来のフランチャイズ型企業によるディスカウント合戦という悪しき習慣を断ち切った。消費力の高い顧客群を引き寄せることにも成功したため、その出店場所も従来のアーケードや地下街などから、大手商業施設の1階という最高クラスの立地へ移った。

だからといって、従来型のミルクティー店が肩を落とす必要はない。

新興企業の多くは市場を補完する存在であり、従来型企業に成り代わる存在ではない。そもそも両者は価格帯や消費シーンが異なる。

新興ブランドはまず一級都市から攻略し、大都市で先発優位の地位を固めている。従来型の店舗には勝機はなく、店舗賃料も人件費も高いうえに機会にも恵まれない状況だ。しかし、新興ブランドは二級以下の地方都市を攻めるすべがない。

地方市場を攻めよ

中国全土の茶飲料専門店は2018年第3四半期時点で41万店。1年で74%増加した。地方都市に行くほどその伸びは速く、二級~三級都市あるいはそれ以下の都市での店舗数は2016年第3四半期から2018年第3四半期の間に倍以上となった。

一級都市で実践する直営型ビジネスモデルと異なり、地方都市ではブランド運営力を比較的発揮しにくいが、低価格帯では従来型の店舗がやはり競争力を持つ。

36Kr傘下の研究機関が発表したリポートによると、新興茶飲料ブランドに関して消費者が最も重視するのは「口当たり(88%が「重視する」と回答)」「メニュー(同74%)」「品質・安全(同71%)」が上位3項目だという。反対に、商品価格やパッケージデザイン、販促イベントなどの注目度は高くなかった。つまり、ミルクティー店は発想を転換しなければならない――顧客を惹きつけるのは値下げやクーポンでもなく、見栄えのする外観でもなく、安定した口当たりと商品開発能力なのだ。

デリバリーにも商機

近年盛り上がっているオンライン経由のデリバリーサービスも茶飲料ブランドにとって見逃せない市場だ。

前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)のリポートによると、2016年から2018年第3四半期までの間、オーダーを受けてから淹れるスタイルの茶飲料のデリバリー受注件数は平均38%(四半期ベース)で伸びている。2018年の1年間、美団点評は合計2億1000万回以上もミルクティーを受注した。デリバリー業界でもミルクティーは注目株なのだ。

中国の商業データプラットフォーム「CBNData」の2018年の調査によると、上海市内の五大商業エリアではミルクティーやコーヒーなど飲料のデリバリー受注件数がファストフードや軽食、食事の総受注件数を上回っている。

デリバリーサービスはすでに好むと好まざるにかかわらず飲食事業が挑戦すべきサービスであり、それは新興茶飲料ブランドにとっても同様だ。市場が持つパイは大きいが、新参プレーヤーが続々とニッチなシナリオを編み出そうとしている。経営者にとっては企業の価値や立ち位置を見直す好機になるだろう。

作者:零售老板内参 揚亜飛
(翻訳・愛玉)

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