中国生鮮ECが相次ぐ経営破綻 市場の未来は明るいか?

36Kr Japan | 中国No.1スタートアップメディア日本版

中国最大のスタートアップメディア、36Krの日本版です。先端企業の技術開発、業務提携、ファイナンス状況など中国の「今」を現地から届けるとともに、日本人向けの解説などのオリジナル記事を発信します。36Kr日本版を見れば、中国が分かります。

特集編集部お勧め記事注目記事

中国生鮮ECが相次ぐ経営破綻 市場の未来は明るいか?

原文はこちら

メールアドレスを登録して中国最新情報入手

続きを読む

中国生鮮EC業界のダークホースと呼ばれた「呆蘿蔔(Dailuobo)」が2015年の創業以来、最大の危機に直面している。昨年11月に「経営不振」を公表した直後から、路面店の閉鎖や加盟企業の資本引き上げができなかったり、ユーザーのチャージした金額が利用できなくなるといった問題が続出した。呆蘿蔔は段階的に運営を正常化していくと発表したが、現在も厳しい状況が続いている。

2019年、生鮮ECの未来は大きく開けているかに見えた。アリババ系次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」は4月、生鮮食品の量り売りに特化した小型スーパー「盒馬菜市(Hema Caishi)」の1号店を上海にオープした。続いて、家電EC大手「蘇寧易購集団(Suning.com)」とデリバリーサービス大手「美団点評(MeituanDianping)」が、それぞれ生鮮EC事業として「蘇寧菜場(Suning Food Market)」と「美団買菜(Meituan Grocery) 」を開始した。IT大手の参入で生鮮EC業界を活気づいた。

1兆元(約15兆円)規模に上るともみられる生鮮食品市場に参入した企業は、競ってシェアの拡大を目指した。だが、事業展開を急げば、ひずみが現れるのも早い。

生鮮ECで相次ぐ経営破綻

昨年、経営不振や経営破綻に陥った生鮮ECは呆蘿蔔だけではない。浙江省杭州市の「鮮生友請(MR PLEASE)」や「易果生鮮(Yiguo.com)」傘下の「安鮮達(ExFresh)」、福建省漳州市に拠点を置く「迷你生鮮(MINISHENGXIAN)」をはじめ、多くの企業が経営破綻に追い込まれた。これは生鮮EC業界の急成長期が既に過ぎ、企業を存続するのに相応しい成長モデルも見つからなかったことを意味する。

実は、2016年には既に生鮮EC業界に暗黒の時代が訪れていた。2014年から15年にかけて、多くの生鮮ECが設立されたが、翌16年には「美味七七(YUMMY77.com)」や「青年菜君(MR.FOOD)」をはじめ、多くの企業が倒産した。

中国電子商務研究センターが2016年に発表したデータは業界を震撼させた。生鮮EC企業約4000社のうち、4%は損益なし、88%は赤字、7%は巨額の赤字を出しており、黒字を出した企業はわずか1%だった。

2016年から19年にかけて経営破綻した生鮮EC企業

生鮮EC業界は甘くない

多くの生鮮EC企業が創業しては経営破綻していくのはなぜか。

生鮮EC市場そのもののポテンシャルは高い。生鮮食品は需要が多く、利用頻度も高いという特徴がある。生鮮食品を入り口にユーザーを別の商品にも誘導しやすい。

一方、生鮮EC運営のカギとなる鮮度を維持するためには、原価や在庫管理、オペレーション、物流、品質管理、技術投入など、サプライチェーン全体の統合が必要で、莫大なコストがかかる。生鮮ECでは、売上に占めるコストが30〜40%に上り、粗利は10〜20%に過ぎないことから、品質とコストのバランスを取ることが最重要課題となる。

生鮮EC企業同士の競争は事実上、資本力の競争となったが、資本力があったとしても事業がうまくいくとは限らない。高級食材を扱うEC「順豊優選(sfbest)」は、物流大手「順豊速運(SFエクスプレス)」の後ろ盾があるにも関わらず、期待通りの成果が上がっていない。騰訊(テンセント)が出資する「毎日優鮮(MissFresh E-Commerce)」も配送地域の近くに倉庫を建設する「前置倉」モデル構築などにコストがかさんでいる。アリババ系の盒馬鮮生も、急速な規模の拡大に伴い管理上の問題が続出している。

生鮮EC業界は甘くない。参入してはじめて生きるか死ぬかのゲームに参加していることに気付くのだ。

運営上の問題が続出した安鮮達(ExFresh)

生鮮EC市場は本当に1兆元規模のブルーオーシャンか

成長の分岐点を迎えた生鮮EC業界には、さまざまなビジネスモデルが誕生している。盒馬鮮生のような自社店舗運営モデル、毎日優鮮や「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」のような「前置倉」モデル、「京東到家」のような物流プラットフォームモデル、「超級物種( Super Species)」のように大型スーパーと提携するモデルなどがある。

「晚点LatePost」によると、アリババグループ傘下のフードデリバリー大手「餓了麼(Ele.me)」は、生鮮食品市場と共同運営するニューリテール「餓鮮達」を立ち上げた。また、先ごろ設立された生鮮食品の共同購入プラットフォーム「菜劃算」は、株式所有構造から背後にアリババの存在があることが確認できる。

新たなビジネスモデルには、いずれも大企業の後ろ盾がある。どのビジネスモデルも生鮮ECが最も注視する三要素「商品・ユーザー・物流」に存在する問題解決を目指す。

ただし、マクロ環境から見ると、上記三要素を解決するためにさまざまな取り組みをしても、コストの高さやロスの多さ、利益率の低さ、収益モデルの不安定さなどが生鮮食品業界の普遍的な課題として残る。これから生鮮ECに参入しようとする企業は、この業界が本当に1兆元規模のブルーオーシャンなのか考えてみるべきかもしれない。

(作者:「鋅刻度」)
(翻訳・田村広子)

原文はこちら

メールアドレスを登録して中国最新情報入手

関連キーワード

メールアドレスを登録して中国最新情報入手