自動車産業で昨年10万人以上のリストラ、EV化を迎え業界再編が加速

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36Krの自動車関連メディア「未来汽車日報」による概算統計によれば、2019年に自動車大手企業が公表したリストラは少なくとも10万人に上り、2008年の金融危機を上回った。

これは始まりにすぎないという。自動車業界の痛みを伴う構造転換について、専門家の予測はさらに悲観的だ。

図表はブルームバーグやロイター社のデータに基づいたもの。

米投資銀行モルガン・スタンレーのアナリストは、電気自動車(EV)へのシフトにより必要な労働力が大きく変化するため、今後3~5年で300万人が失業すると予測する。

米FTIコンサルティングのリポートでは、純電気自動車(ピュアEV)は生産に必要な部品数が少ないため、部品の供給量が38%ほど減少し、自動車部品のサプライヤーに大打撃を与えると指摘されている。

大手企業もリストラを断行

中国汽車工業協会(CAAM)のデータによれば、2018年に世界の乗用車販売台数は2.84%減少した。米国に限っては12.77%減と大幅に落ち込んでいる。

データ出典:中国汽車工業協会 図表作成:未来汽車日報

影響は業界全体に及んでいる。2018年末、ゼネラルモーターズは世界にある工場7カ所を閉鎖し、1万4000人を削減すると発表した。さらに2019年6月にはフォードが1万9000人のリストラを発表。快進撃を続けてきたテスラでさえ、2019年1月に7%の人員削減を行うことを公表した。テスラのイーロン・マスクCEOは社内メールで、前年の増員が経営を圧迫しており、生き残るためリストラに踏み切ったと述べている。

業界全体に広がる構造転換の痛み

米国自動車工業会(AAMA)のデータによると、米国の自動車産業は国内で990万人の雇用を創出し、9530億ドル(約105兆円)もの経済貢献をしているという。

出典:米国自動車工業会

このような背景から、自動車業界のリストラは一筋縄ではいかない。ゼネラルモーターズは米国内での工場閉鎖とリストラを進め、生産拠点を中国へと移しているが、トランプ米大統領は「中国での生産を撤収し、米国に回帰するべきだ」と不満をあらわにし、補助金の削減もちらつかせている。

とはいえ、電気自動車の生産という差し迫ったニーズと高騰する人件費を考えると、ゼネラルモーターズも背に腹はかえられない。代償を払ってでも現行戦略を貫く考えだ。

欧州市場では状況がいくらか異なっている。欧州では二酸化炭素排出規制が強化されており、業界全体で数十億ユーロ(数千億円)とも試算される罰金を回避するため、EV化による構造転換が急務となっている。

EUのデータによれば、EU内の就業者のうち6.1%が自動車業界で働いており、自動車製造業に直接関わる就業者は製造業全体の8.5%を占める260万人に上るという。

英PAコンサルティング・グループの調査によれば、2030年には欧州市場でピュアEVが30~40%、ハイブリッド車が15~25%を占めるようになるという。統計によると欧州の自動車企業16社で84万人が就業しているが、2030年には14万1000人の配置転換が必要になり、26万7000人が失業すると予測されている。

歴史的な変革期

EV化の流れは世界的なうねりとなっており、それに逆行することはもはや不可能に近い。

2015年に開催された国連気候変動会議で、ドイツ、英国、オランダ、ノルウェー、米国の18の州などが、排出ガスを一切出さないゼロエミッション車(ZEV)を推進する「ZEVアライアンス」を立ち上げた。加盟国は2050年までに従来型のエンジン車の販売を終了することに同意している。

この流れはいずれ中国市場にも波及する。米会計事務所デトロイト・トウシュ・トーマツが昨年6月に公表したリポートでは、今後2年で中国の新エネルギー自動車産業は政策主導型の構造転換から市場主導型へと移行し、2030年には新エネルギー自動車の販売台数が1700万台に達すると見込まれている。また業界再編の波が押し寄せ、6~7割の企業が姿を消すとの予測もある。

「変化しなければ誰も生き残れない」と語るのは米ベインキャピタルのアナリストRalf Kalmbach氏だ。独ダイムラーもリストラに伴う声明の中で「自動車産業は現在、歴史的な変革期にある」と述べている。

とはいえ、この大きな変化も見方によっては千載一遇のチャンスとなり得る。うまく商機をつかめば自動車産業の新時代を切り開くことができるだろう。

作者:「未来汽車日報」(Wechat ID:auto-time)、程瀟熠
(翻訳・畠中裕子)

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