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自動運転技術を開発するスタートアップ企業「AutoX(裹動智駕)」が、昨年12月にプレシリーズBで数千万ドル(数十億円)を調達したと発表した。出資を主導した「深圳前海宏兆基金(Shenzhen Qianhai Hongzhao Fund Management)」のほか、深圳のファンドや「潮汕資本(Chaoshan Capital)」が出資に参加した。本シリーズで調達した資金は主に、中国市場での事業展開に充てられる。AutoXの創業者兼CEOの肖健雄氏が明らかにしたところによると、まもなくシリーズBでの新たな資金調達を開始するという。
AutoXは2016年に、もとプリンストン大学教授、コンピュータービジョンと自動運転の専門家である肖健雄博士がシリコンバレーで設立し、深圳に中国本社を構える。米カリフォルニア州当局から公道自動運転許可を取得した初の中国系スタートアップだ。昨年4月には中国の自動車メーカー「東風汽車(Dongfeng Motor)」などからも数千万ドル(数十億円)を調達している。
首尾良く資金を調達できているのは、ここ最近の順調な事業展開によるものが大きいだろう。
AutoXは2018年に深圳市の中心部で自動運転のテストと試験運用を開始、道路状況が複雑な市街地での自動運転を実現した数少ない企業の一つになっている。また東風汽車や「比亜迪(BYD)」、「奇瑞(Chery)」、「長城(Great Wall)」、「上海汽車(SAIC)」など複数の中国メーカーの車種に自動運転技術を提供しているほか、深圳最大のEVタクシー会社「鵬程電動(PengCheng Electric Automobiles)」やEV商用車を用いた物流ソリューションを提供する「地上鉄(DST)」とも提携して、無人の自動運転車を使ったサービスの展開を進めている。昨年には、上海市の無人運転モデル地区で自動運転タクシー100台を投入し、試験運用を始めると発表した。
今月初旬にラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、AutoXは欧州の自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との提携を発表、クライスラーブランドのミニバン「パシフィカ」をベースにした中国初となる完全無人運転のロボタクシーをリリースすることを明らかにした。このロボタクシーは今年、深圳や上海などで大規模に運用される予定だという。
自動運転車の大量投入と大規模運用を実現するには、地元投資家のバックアップが不可欠になる。AutoXはそれを見越して、深圳や潮汕(広東省東部地域)など地元のファンドから資金を調達している。今シリーズの出資を主導した深圳前海宏兆基金も、深圳に本社を置く大手投資ファンドだ。
この度の出資について、コングロマリット大手の宏兆集団の常務副総裁で基金投資事業部総経理を務める王珺氏はこう語る。「中国の無人運転市場は今後必ず1兆ドル(約110兆円)規模に成長する。この1年、AutoXは業界リーダーとしての地位を固めており、その急成長ぶりはめざましい。自動運転開発企業にとって自動車メーカーとの提携や政府との連携は非常に重要だが、AutoXはいずれの方面でも傑出している」
宏兆基金責任者で人工知能分野の投資ディレクターである李始華氏は次のように述べている。「レベル4の自動運転を商用化するためには、技術面とビジネス面どちらもトップレベルでなければならない。AutoXは技術だけでなく、中国の自動車メーカーの半数以上から信頼を勝ち得て提携に至っているなど、ビジネス面においても世界トップクラスだといえよう」(アイキャッチ写真はAutoXより)
(翻訳・畠中裕子)
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