「産業用インターネットは5Gで実現」、ファーウェイが思う実用シーンとは

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中国では昨年以降、産業用機器とインターネットの融合を意味する「インダストリアル・インターネット(産業用インターネット)」という言葉を頻繁に耳にするようになったが、実現には5Gの普及を必要とする。インダストリアル・インターネットは、5Gにおいて最も重要な活用シーンの一つとなる見通しだ。

2019年11月に中国で開催された「第1回世界5G大会(World 5G Convention)」で、ファーウェイ(華為技術)AI製品・サービス部門CTO、インダストリアル・インターネット産業連盟(AII)副理事長の張順茂(パトリック・チャン)氏は、「5Gがインダストリアル・インターネットを実現する」というタイトルの講演を行った。同氏は、4Gが人々の消費と娯楽のスタイルを変えた一方、5G技術は生産方式を変えると説明。産業分野には4Gで解決できなかった問題が数多くあるものの、5Gが普及すれば新たな活用シーンが生まれるとの見方を示した。

同氏は、産業の生産プロセスではヒトとヒト、ヒトとモノ、モノとモノを含む全ての要素の接続が必要となると指摘。ただ現時点では、製造分野で使用される通信技術が多すぎる上にそれぞれが性能不足かつ閉鎖的なため、産業用設備の相互接続は工場内ですら難しいと話した。

しかし、この現状は5Gの普及で変わる可能性がある。同氏は、5Gは4Gに比べ通信速度が上回るだけでなく、各種性能も大幅に向上すると説明した。例えば、5Gの遅延時間は1ミリ秒レベルに抑えられ、性能が4G比で10倍向上するため、これだけでもインダストリアル・インターネットを実現する十分な価値がある。産業用ロボットの操作では遅延時間を1~10ミリ秒程度に抑える必要があるものの、4Gはこれに全く対応することができなかった。また、5Gの接続可能デバイス数は1平方キロメートル当たり100万台と、4Gに比べ10倍となっている。

こうした5Gによる各種性能の大幅な向上によって、インダストリアル・インターネットは真の意味で実現されることになる。同氏は、自動運転が導入された鉱山の例を紹介した。

中国の内モンゴル自治区にあるレアアース鉱山は自然条件が厳しく、複雑な環境下の現場では事故が多発したため、作業効率が下がり、鉱山トラックのベテランドライバーでもぜいぜい時速10キロほどしか出すことができなかった。人件費が高止まりする中、鉱山トラック1台には4人のドライバーが必要で、1人当たり年間25万元(約400万円)、合計100万元(約1600万円)の費用が発生する。

中国通信大手の中国移動(チャイナモバイル)とファーウェイは昨年5月、5Gベースの無人運転鉱山トラックの導入プランを発表。ドライバーが不要となり、責任者1人のみで遠隔操作と管理が可能となったため、安全性が向上しただけでなく、経済的な総合効果も10%向上したという。

これは5Gが産業に活用された一例にすぎない。中国通信大手の中国聯通(チャイナユニコム)の梁宝俊副総経理は、5Gが将来的に消費分野で20%、産業分野で80%の割合で活用される見込みで、製造、エネルギー、自動車などの産業における活用の余地は非常に大きいとの見方を示す。

5Gの高速かつ低遅延という特長は、インダストリアル・インターネットを通じた「IoE(すべてのインターネット)」の実現につながると期待される。しかし、IoEが十分な価値を生み出すには、リアルタイムで莫大な量のデータを処理する演算能力が必要だ。

ファーウェイがリリースしたインダストリアル・インターネットプラットフォーム「FusionPlant」は、5Gに対応すると共に、AIコンピューティングや汎用コンピューティング向けプロセッサ「Kunpeng(鯤鵬)」も導入されたクラウドサービスとなる。張CTOは、このプラットフォームを通じて低遅延性やセキュリティに対する産業界のニーズに応えることができると説明した。
(翻訳・神戸三四郎)

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