新型肺炎で一網打尽の観光業界 OYO、Airbnbに起死回生の策はあるか

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新型肺炎で一網打尽の観光業界 OYO、Airbnbに起死回生の策はあるか

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新型肺炎という想定外の災禍に、観光業界が大打撃を受けている。

中国では新型肺炎の流行と春節(旧正月)の大型連休が重なった。中国文化観光部は当初、今年の春節期間中に延べ4億5000万人が旅行すると予想し、うち700万人が海外旅行に出かけるとしていた。しかし新型肺炎が全国的に拡大したことにより風向きは一変し、今回の大型連休は「自宅で引きこもり」がトレンドとなった。飲食業、小売業はもとより、交通や人の移動と密接な関連を持つホテル・旅行業界は最も大きなダメージを被った産業の一つだろう。

オンライン旅行代理店(OTA)各社は事態を受け、キャンセルポリシーの適用範囲を変更したり、予約キャンセルに対する返金に対応したりと奔走している。大手企業は新型肺炎に関連する予約取消しに附随して発生した損失について、OTA側が全面負担するとしているケースが多く、Trip.comやアリババ系の「Fliggy(飛猪)」、テンセント系の「同程芸龍(Tongcheng-Elong)」などはこうした対応を採っているようだ。

また、各国では一部で中国人旅行客の受け入れ拒否が始まっているようだ。

OTA世界最大手のBooking.comは先月末に中国のユーザーに向け、予約済みのホテルに予定通り宿泊できない可能性を通知していた。実際、それは現実のものとなった。ホテル側の説明では、Booking.comから中国人旅行客の予約をキャンセルするよう通達があったとしている。Booking.comは払い戻しには対応するが、替わりの宿泊先手配は行っていない。

Booking.comからの通知

観光業界全体で事業計画の変更などが迫られているが、以下ではOTA、民泊、ホテルの三業種に分けて代表的企業の対応を追った。

OTA業界:Trip.comの対応

Trip.comのトップの1人が36Krの取材に答え、今後の長期的見通しについて「海外市場および海外ユーザーの予約状況は現段階ではほぼ変動はない」と述べた。中国旅行を計画していた海外顧客は目的地を中国周辺国に振り替えるケースが多く、東南アジア市場に強いTrip.comにとっては損失の食い止めにつながっている。

譚煜東COOは航空券予約事業について、全予約の30%を国際路線が占め、うち3割ほどの出発地は海外だと説明した。

中国国内については地方戦略に焦点を当てているようだ。地方支店では、1回あたりの取引額で北京・上海などの大都市在住者を上回る富裕層の顧客が散見される。彼らはOTAに安定した質のサービスを求めている。これまでは一級都市をメインに中間~高所得層をターゲットとしてきたTrip.comだが、今後は地方都市在住者や若年層に照準を定め、地方への出店も進めて成長を図っていく。

民泊業界:Airbnbの対応

Airbnbも先月21日、新型肺炎に関連するキャンセルポリシーを発表した。

Airbnbにとって昨年は中国事業が大々的に加速した1年だった。昨年第1四半期、中国事業は3倍近くも業績を伸ばし、地方都市の顧客獲得にも動き始めた。また、多くのゲストを抱える中国から豪州、タイ、日本などへの宿泊客も増えている。中国事業を統括する彭韜総裁はさらに、年内には中国がゲスト数最多の市場になるとみている。

そこへ新型肺炎の影が忍び寄っている。中国国内では予約取り消し・変更が相次ぎ、空き室率が急上昇した。民泊はホテルと違い物件を一括管理するのが難しく、感染症対策を難しくしている。ただし、ホテルと異なり大勢の宿泊客が一カ所に集まることがなく、物件はそれぞれのホストが個別に管理しているので、宿泊の受け入れはホスト個人の裁量に任せられる。中国人旅行客を受け入れるホストが多ければ挽回の余地はあるだろう。Airbnbにとってはこの逆境がむしろ商機となるかもしれない。

ホテル業界:OYOの対応

OYOにとっての2020年は、新型肺炎が拡散しなかったとしてもそもそもが波乱含みだ。

米ニューヨーク・タイムズは今年年初、OYOは宿泊できない客室もサイトに掲載し、提携客室数を水増ししていると報じた。これに続き、本国インドや中国で数千人規模のリストラを断行したとも伝えられた。リストラの背後にあるのはあまりに急過ぎた事業拡大だ。

昨年のOYOの成長はすさまじかった。10月にはインド市場の客室数は20万室、中国市場の客室数は59万室に達している。しかし、量に質が追い付かない現状が明らかになってきた。

新型肺炎の感染が拡大し、OYOはさらに大きな壁にぶつかった。客足が急激に弱まっているのだ。中国交通部の発表では、中国全土における民間航空機の利用客数は春節前半では1日延べ190万人だったが、2月に入って延べ60万人以下にまで減った。もちろん宿泊施設の客数も影響を受けているだろう。こうした状況がいつまで続くのかは分からない。

「モビリティ業界よりもホテル業界の方が悲惨だ」。ある業界関係者は36Krの取材にこう答えた。需要が減り、賠償負担額は増え、物件賃料や人件費、光熱費など経営コストへの重しも深刻だ。

OYOは存続の危機を回避するために、OTAとの関係づくりも欠かせない。昨年は「美団点評(Meituan Dianping)」やTrip.comといった予約サイトからの締め出しに遭ったが、ホテルの宿泊予約業務はすでにこうしたOTAの独壇場だ。ホテルが生き残るには彼らに取り込まれるしか方法がない。かくしてOYOは高額な「賃料」を払い、こうした予約サイトに居場所を確保した。
(翻訳・愛玉)

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