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消費の高度化が進むのに伴い、中国では中古市場が活発になっている。中古品の取引は、従来型EコマースのB2Cモデルとは異なり、C2Cまたは中間に企業が介在するC2B2Cモデルがメインとなっている。商品規格はなく、サプライチェーンも分散されていることから、これまでとは異なる経営ロジックへの転換が求められる。
中国では中古品取引プラットフォームが数多く存在し、アリババ傘下の総合型フリマアプリ「閑魚(Xianyu)」のほか、特定カテゴリに絞った垂直型の中古品取引プラットフォームにも出資が相次いでいる。ラグジュアリーブランドを扱うリセールECアプリ「紅布林(PLUM)」を運営する「致美生活科技(Zhimei Life Technology)」と「心上(xinshang)」を運営する「屹品文惠科技(Yipin Wenhui Technology)」はそれぞれシリーズB+、シリーズCで資金調達を完了している。
36Krはこのほど、古酒(長期熟成酒)を専門に取引するECプラットフォーム「麦麦酒市(Maimai Jiushi)」を取材した。特化型プラットフォームを世に出すことで、中高価格帯の古酒が取引できる新たなビジネスモデルを構築する狙いだ。
麦麦酒市の創業者、Andy Liu氏本人が無類のお酒好きだ。中国国内の古酒取引市場については「今の状態は無秩序」と指摘する。「真贋の定かでない品が出回っているうえ、本物であっても販売チャネルが違えば値段も数倍変わってくる」と語った。
一方、古酒の市場規模はここ数年拡大を続け、酒類業界の中でも重要なカテゴリに成長した。2018年の古酒取引の市場規模は500億元(約8000億円)、直近3年間の年平均成長率(CAGR)は50%に迫る勢いだ。古酒の主要消費者層は35歳以上だが、この年齢層はインターネットを頻繁には利用しないため、古酒取引のEC化率は10%にも届いていない。だが、消費の世代交代が進めば、EC化率は今後大きく向上するとみられる。
こうした現状を踏まえ、麦麦酒市は古酒専門の取引プラットフォームを通じて販路の一元化や業界情報の非対称性の解消、取引効率の向上を図りたいとしている。
麦麦酒市で取り扱う酒類は、ブランドの白酒(中国の蒸留酒)のほか、ウイスキーやブランデーなどの洋酒がメインとなっている。Andy Liu氏によると、1970~80年代生まれの中高年層は、宴会用や贈答用として白酒を選ぶ傾向があり、1990年代生まれの若年層は、新し物好きで海外に留学する人も多いため、洋酒が好まれるという。
プラットフォームはC2B2Cモデルとする。売り手と買い手がそれぞれ希望価格を提示し、合意すれば売り手は商品をプラットフォーム側に送り、プラットフォーム側で鑑定を行うという方式だ。鑑定はすべて酒類に詳しい専門スタッフが行い、品質を保証する。価格設定については「株取引」のルールを模し、透明な価格制度で合意するまで何度でも間を取り持つ。
また、売り手、買い手とも希望価格の提示後に一定額の保証金を払うことで取引の進行を保証する。このほか、酒類専門の消費者コミュニティを立ち上げる計画で、専門知識の発信や愛好家同士の雰囲気づくりなどを通じて顧客の囲い込みに繋げる考えだ。
麦麦酒市の売り手は個人や小規模店主がメインとなっているが、今後は中間流通業者を省くため、大手酒類メーカーと直接提携することも視野に入れる。麦麦酒市のアプリはiosとAndroidでダウンロードでき、初期ユーザーの客単価は1000元(約1万6000円)以上となっている。
創業者兼CEOのAndy Liu氏は、浙江大学を卒業後、南カリフォルニア大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得。十数年にわたってビッグデータ関連の業務に携わった経験を持つ。
同氏は、中国国内の消費者はこれまで価格に敏感だったが、徐々に価値を重視するようになってきていると指摘。酒類という性質上、コミュニケーション用途としての価値やブランド価値、コレクション価値にも重きが置かれるようになってきたという。また、消費やニーズの多様化も進んでいることから、バーティカルな取引プラットフォームを通じて商品の差別化を図り、きめ細かなサービスを提供することで成長に繋げたいとしている。なお、同社は現在、エンジェルラウンドで資金調達を進めている。
(翻訳・北村光)
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