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テスラがいよいよライドシェア市場に参入する。EV専門のニュースサイト「Electrek」は、テスラがライドシェア用アプリケーションのリリースを計画していると報じた。同社がすでに発表している自動運転車によるライドシェアではなく、まずは有人の車両での相乗りサービスを始める。
先月末の決算会議で、イーロン・マスクCEOは「テスラ・ネットワーク」と名付けられたこのサービスについて再度言明し、「完全自動運転のロボタクシー立ち上げより前にライドシェアを始めることには大きな意義がある。自動運転に対する当局の承認を待たずにライドシェア事業を開始できるからだ」と述べた。
テスラは昨年4月の投資家向けイベントで、早ければ2020年にロボタクシーを投入すると発表している。マスク氏の構想では、完全自動運転機能(FSD)を搭載した車両をテスラ・ネットワークに登録した上で、専用アプリを使いロボタクシーとして稼働させるというものだ。テスラ車のオーナーは自分が運転しない時間に車を無人で走らせて収益を得ることができ、利用者はアプリを使って近くの車両を呼ぶことができる。
2018~2019年、WaymoやLyft、Uber、バイドゥのアポロなどが続々と自動運転サービスの商用化に乗り出したが、実際の運用ではセーフティードライバーが不可欠であり、規制の枠内で限られたユーザーにサービスを提供するにとどまっている。法規制や安全面でのリスクを考えると、完全に無人化したロボタクシーの商用化はなかなか進んでいないのが現状だ。
今回テスラが有人運転でライドシェアを実施することに決めたのは、市場進出のための折衷案だといえる。しかし、ライドシェア大手のUberや「滴滴(Didi)」にとっては大きな脅威となるだろう。
テスラはさらに、ライドシェア事業と保険事業を連携させる考えだ。
昨年からサービスを開始したテスラの自動車保険は、他社に比べて保険料が30%安いという触れ込みだ。現在は米カリフォルニア州でのみ提供されている。ライドシェア事業においても、ドライバー向けに保険サービスを提供していく。
テスラは自動車メーカーの強みを生かして詳細な車両情報を把握することができ、保険料率も実際の運転状況と連動させることが可能だ。加えて、カリフォルニア州では自動車の維持費のうち保険料が大きな割合を占めている。テスラ・モデル3のリース料が月額400ドル(約4万4000円)であるのに対し、毎月の自動車保険料は100~200ドル(約1万1000~2万2000円)と高額だ。テスラにとって、この保険事業も自動運転技術の普及を進めるために欠かせない分野であり、将来的に同社の主力商品に成長する可能性もある。
マスク氏が明らかにしたところでは、カリフォルニア州以外でも保険事業を行えるよう行政機関への届出を試みているほか、テクノロジーを活用してさらに保険料を抑えたいとしている。
ただ、保険事業のエリア拡大やテスラ・ネットワーク用アプリのリリースに関して、具体的な時期は明らかにしていない。
過去最高を更新し続ける納車台数や斬新なイマジネーションが好材料となり、テスラ株は流通市場で有望視されている。2月4日の米株式市場では同株が急上昇、立て続けに800ドル(約8万8000円)、900ドル(約9万9000円)の大台に乗り、時価総額は一時1700億ドル(約18兆6600億円)を突破した。この時価総額はフォード、GM、ホンダの合計を上回るもので、世界の自動車メーカーの中でトヨタに次ぐ第2位だ。その後、株価は700ドル(約7万7000円)台で推移している。
(翻訳・畠中裕子)
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