新型コロナウイルス肺炎の流行を受け、ダイソンがウエアラブル空気清浄機の開発を加速

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新型コロナウイルス肺炎の流行発生以来、個人防護用品や各種消毒薬の需要が急増している。中でもマスク、アルコールなどは既に生活必需品となった。加えて、殺菌機能を持つ小型家電の売上が顕著に増加しており、とりわけ空気清浄機に関心が集まっている。

最近、英国知的財産庁が、大手家電メーカー「ダイソン(Dyson)」のウエアラブル空気清浄機の特許情報を発表したとブルームバーグが報じている。空気清浄システムとヘッドホンを組み合わせ、細菌や汚染などが充満する環境の中でもユーザーの健康を守る。

この製品は音がでる耳当て部分にフィルターが装備されており、ろ過した空気をノズルで口元に噴出させる。ダイソンの広報担当者はメールの中で「ウエアラブル空気清浄機」構想は2018年からあり、「製品の準備が整えば喜んで発表内容に応じ検討を行うが、それまでは当社の特許についてコメントできない」 と述べた。

画像提供:ブルームバーグ・ニュース

特許出願資料によると、ヘッドホンの左右のイヤーカップには35〜40 mmのスクリュープロペラと接続したモーターが装備されており、毎秒約12,000 rpmで回転し、各フィルターを通して約1.4リットルの空気を吸引する。ろ過された清潔な空気は両側のノズルを通じて循環し、排気口から装着者の口元に毎秒約2.4リットル噴出される。

ダイソンはウエアラブル空気清浄機の製造に着手した唯一の会社でない。今年1月のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で、米スタートアップ「Aō Air」がウエアラブル空気清浄機「Atmos Faceware」を初リリースした。従来のエアフィルターマスクより効果的に粒子状物質を捕集し、口元を密閉することなく効果を発揮する。また、このデバイスは部分的に透明なデザインになっているため、着用時にユーザーの顔を完全には覆わない。

新型コロナウイルス肺炎の感染が広がる中、健康家電は消費停滞の流れに逆らって成長した。

中国大手ECサイト「京東商城(JD.com)」が発表した春節の消費ビッグデータでは、同社プラットフォームの健康家電の出荷台数が急増しており、旧暦1月4日(新暦1月28日)までに、空気清浄機の売上高は前年比で300%以上増加した。一部地域では人気モデルの空気清浄機が売り切れるほどだ。家電大手EC「蘇寧易購集団(Suning.com)」では、空気清浄機の売上が前年比83%増になったという。

某ECプラットフォームの室内消毒殺菌専門コーナー

家電市場調査会社「奥維雲網(AVC)」が最近公表した予測によると、2020年第1四半期の中国家電市場はネットを通じた販売が70%を占め、健康家電の売れ行きが良くなるだろうとのこと。

報告書は、オートソープディスペンサー、除菌モップ、除菌食洗機などの新興カテゴリーが、感染防止対策としての手洗いや消毒などの課題を効果的に解決し、急速に発展したと述べている。さらに、従来の除菌洗濯機、消毒キャビネット、空気清浄機の売れ行きも好調で、湖北省の一部では品切れ状態だ。

数日前、中国電子商会(CECC)副秘書長の陸刃波氏はインタビューに答えて、新型コロナウイルスは中国国民の健康家電への消費意識を育てるだろうと述べた。家電メーカーはこのビジネスチャンスをつかみ、より高度な殺菌・除菌・消毒機能を持つ家電機器を多数研究開発する必要があるが、このような機能ばかりを強調して、見かけ倒しの製品を発売してはならないだろう。

新型コロナウイルス肺炎との戦いは佳境に入り、空気清浄機メーカー各社は次々と感染症対策に協力を表明している。

大手家電メーカー「格力電器(グリー・エレクトリック)」が寄贈した200万元(約3100万円)相当の空気清浄機は既に武漢市金銀潭医院に届けられている。英家電メーカー「IAM」も鐘南山医学基金会を通じて武漢市に抗ウイルス空気清浄機を寄贈した。「A.O.スミス(AOS)」は全国の新型肺炎指定病院へ1000万元(約1億6000万円)相当の空気清浄機と業務用浄水器を寄贈した。

今回の危機は家電業界にとって1つの試練であり、偶発的なものではない構造的な成長の機会も含んでいる。消費者の健康意識の向上は、製品技術の研究開発に対してより高い要求を生み出し、必然的に業界の再編を加速すると考えられる。
(翻訳・永野倫子)

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