スマホとスマートデバイス、2020年の展望(後編)~「シャオミ」はIoT、ドローン最大手「DJI」は法人向けを強化

36Kr Japan | 中国No.1スタートアップメディア日本版

中国最大のスタートアップメディア、36Krの日本版です。先端企業の技術開発、業務提携、ファイナンス状況など中国の「今」を現地から届けるとともに、日本人向けの解説などのオリジナル記事を発信します。36Kr日本版を見れば、中国が分かります。

特集編集部お勧め記事注目記事

スマホとスマートデバイス、2020年の展望(後編)~「シャオミ」はIoT、ドローン最大手「DJI」は法人向けを強化

原文はこちら

メールマガジンに登録

続きを読む

中国の携帯電話業界では2019年、ファーウェイがほぼ一強体制を築き、業界勢力図が完全に書き換えられた。2020年は5G対応機種への買い替えが進むと予想されるため、各社とも奮い立っている状況だ。スマートフォンをはじめとするスマートハードウェア各社の今年の展望を以下にまとめた。

スマホとスマートデバイス、2020年の展望(前編)~ファーウェイ一強時代は続くか?>

スマート家電大手の「シャオミ」、隠忍自重と攻勢強化

「シャオミ(Xiaomi、小米科技)」は2019年、国内事業で大幅に減速した。雷軍CEOは、企業として日増しに大きくなる規模と厳しい競争に迅速に適応すべく、組織再編を繰り返した。

5G対応スマートフォンをリリースする直前、シャオミは堅実な経営へ舵を切った。その直接的な代償は出荷台数に出た。市場調査会社カナリスによると、シャオミの2019年第1~3四半期における国内出荷台数は前年同期比で22%落ち込んだ。また、携帯電話事業の売上高では第3四半期に前年同期比でIPO以来最大の落ち込みとなった。しかし同時に雷CEOの言うところの「健全な在庫状況」を実現し、今年の5G競争に向けて体制を身軽にした。

しかし、今年も引き続きこうした隠忍自重の姿勢を続けることはないだろう。5G対応機種「Redmi K30 5G」に1999元(約3万円)からという価格をつけている点から見れば、シャオミのサブブランド「Redmi」はハイコストパフォーマンス路線を継続していく心づもりだろう。Redmiがファーウェイのサブブランド「honor」、OPPOのサブブランド「realme」、 vivoの新ブランド「iQOO」など新旧のライバルの挑戦を真正面から受ける一方、メインのXiaomiブランドはRedmiとポジションを明確に切り離す必要がある。 Xiaomiブランドが今年、中国のハイエンドスマートフォン市場でシェアを獲得するには、「Xiaomi Mi Note10」をよりバランス良く、より魅力的にした新製品を打ち出すことが必要だ。

シャオミは海外市場とIoT市場では一転して積極的だ。昨年は攻めの姿勢が続いた。

インドのスマートフォン市場でシャオミは首位を維持し、欧州市場への進撃も開始した。先発優位のあるIoT市場ではスマート家電の自社ブランドを強化し、シャオミブランドによる消費者の囲い込みを狙う。

シャオミは今年もこの戦略を継続する可能性が高い。昨年は中国国内で出荷台数1000万台超えしたスマートテレビの大ヒットが売上高に貢献した。たが、今年も引き続き売上高を伸ばすには、これに続く大物家電のヒット商品が必要だ。まず、より多くの細分化された市場へ自社ブランドを進出させ、それから各製品ラインでより多くの品目を展開、市場シェアの獲得を狙う。

5Gの普及を控え、多くの携帯電話メーカーがIoTへと事業を拡張したのは、自社テリトリーの強化と売り上げ規模拡大のためだ。IoT各製品を自社スマートフォンと相互に連動させてより多くの価値を引き出し、自社ブランド製品の利用・定着率を上げることができる。

雷CEOは今年、社員宛ての新年のあいさつの中で、今後5年間で「5G + AI+IoT」プロジェクトに500億元(約7800億円)を投資すると述べた。この金額は1年前「All in AI+IoT」プロジェクトで打ち出した額の5倍にあたる。

ドローン世界最大手「DJI」、事業拡張と格安商品の投入で単独リード

大手ドローンメーカー「DJI(大疆創新科技)」は2019年末、社内向けに初めて自社ビジョンを明確に定め、「人類の進歩を促進し続けるテクノロジー企業となる」と謳った。

現在、DJIの売上高の大半を占めるのは一般消費者向けドローンだが、DJIにとっては単なるドローンメーカーとみなされるのは不本意だ。1月に開催された「CES 2020(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」では、DJIの社内インキュベーションで誕生した子会社「Livox Technology(覧沃科技)」がLiDAR(ライダー)製品をリリース、自動運転業界への参入を果たした。今後さらに多くの分野でDJIの姿が見られるようになるだろう。

しかし、法人向け市場でDJIは後発企業であり、細分化されたどのカテゴリに参入しても強力なライバルに遭遇する。自動運転の要となるLiDAR開発では、百度(バイドゥ)による自動運転プロジェクト「Apollo」のサプライヤー「禾賽科技(Hesai Photonics Technology)」が先発しており、さらにファーウェイも参入してくる可能性がある。DJIのLiDARは低価格で購入の簡便さでも勝っているが、DJIがライバルの実力を見くびることはできない。

写真提供はDJI
写真提供はDJI

法人向け事業では植物保護の分野も大きな市場だ。早々に参入した「極飛科技(XAG、旧XAIRCRAFT)」は、アフターサービスや販売スタッフによるフォローアップでDJIをリードしているが、技術とチャネルでは明らかに後発のDJIが優勢だ。森林保護の問題を解決し、柑橘類の防除などへも活用できる上、故障率と障害物回避性能でも上を行く。

しかし、長年にわたりテクノロジー重視でカスタマイズサービスには比較的無頓着だったDJIのエンジニア思考は、法人向け市場参入の障壁になる可能性がある。一般消費者向けとは異なり、法人相手のビジネスを行うには、さまざまな業界の顧客にきめ細かなサービスを提供する専任チームを育成する必要がある。技術の優位性だけでは人気は獲得できないのだ。 DJIの内部情報筋によると、管理能力の向上は同社の2020年における優先事項の1つであり、今後、業務プロセスや責任・権限はさらに集約され、より明確になるという。

一方で一般消費者市場で築いてきた強みも当然おろそかにはできない。 2019年、DJIは定価3000元(約4万7000円)以下のミニドローンと、アクションカメラ「Osmo Action」をリリース。後者は人気ブランド「GoPro」の約半額で、コンシューマー向け製品は低価格路線を走り始めた。この価格戦略は今年も続くと予想される。

業界関係者によると、DJIの販売戦略は2021年には中国国内や欧州により重きを置くという。 DJIは売上高のほとんどが実店舗での販売で占められており、今後も直営店や販売拠点を拡張してすそ野を広げる。今年は中国各地に直営店を開業し、店舗デザインやインタラクティブ体験の提供で試行を重ねる。

米 IT専門調査会社IDCの予測では、2020年のドローン市場成長率は北米と欧州が10〜20%増、中国全体では40〜50%増、そのうち一般消費者向けは30〜40%増になるという。 消費者向け市場ではDJIにはライバルがいないため、コストをより適切に制御でき、最も多くの利益を手にするだろう。
(アイキャッチ写真はシャオミより)
(翻訳・永野倫子)

原文はこちら

メールマガジンに登録

関連キーワード

メールマガジンに登録