モバイル見本市MWCが中止 海外市場を狙うファーウェイに手痛い打撃

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新型コロナウイルス肺炎の流行を受けて、世界最大のモバイル機器見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」の開催中止が決まった。

MWCは毎年10万人が参加する一大イベントで、業界内のみならずメディアや消費者からも広く注目を集めている。メーカーにとっては新商品を全世界に発表する絶好の機会であり、それぞれの自国市場に与える影響も大きい。

そのため、アマゾンやサムスン、ソニー、グーグルなど有力企業が次々に参加辞退を表明するなか、中国のスマートフォンメーカー大手のシャオミ、ファーウェイ、OPPOは参加する意向を崩していなかった。

中国メーカーが望みをかけていたMWC

新型コロナウイルス肺炎の影響で、今年第1四半期は中国メーカーによる新製品発表会の開催がほぼ絶望的だと言われてきた。メーカーにとってフラッグシップモデルの発表会はユーザー、メディア、市場にアピールできる非常に重要なイベントであり、中国四大スマホメーカーのファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivoはいずれも大々的に新商品をリリースする準備を整えていた。

新製品発表イベントが開催できないとなれば、舞台はオンラインに移すほかない。しかしオンライン限定の新商品発表では、思うほどの効果は望めない。加えて、消費者が新機種に触れることのできる実店舗も多くが閉鎖、営業中の店舗でも人影はほとんどない。

こうした背景のもとメーカー各社はMWC参加に意欲を燃やしていたが、非情にも中止の決定が下される。新製品を発表するこの上ないチャンスを失った中国スマホメーカーにはどんな策が残されているのだろう。

海外市場に活路を求める

市場調査会社ストラテジー・アナリティクスのリポートは、今年の中国メーカーのスマホ出荷台数が予想より5%減少し、中国市場に限っては第1四半期の出荷台数が30%以上落ち込むと予測している。

国内市場の落ち込みを埋め合わせるべく、海外市場に乗り出していくのは当然の流れと言えよう。この点でMWCのような大規模イベントは欧州市場の取引先と接触する貴重な機会でもあるのだ。

ファーウェイは米国の制裁対象リストに入れられた後、欧州市場で2桁の減少となった。欧州の事業者や消費者からの信頼を回復することが急務となっているなか、MWCで実力をアピールし、欧州市場に訴える算段だった。

シャオミ、OPPO、vivoは新型肺炎の影響だけでなく、中国国内市場でファーウェイ相手に苦しい戦いを強いられている。昨年は第2四半期以降、3社とも2四半期連続で出荷台数が2桁減少した。それもあって、海外市場の開拓に積極的だ。

インド市場で好調な業績を収めた3社が次に狙っているのは、消費水準が高く、巨大な欧州市場だ。

シャオミグループ国際部の周受資総裁は次のように語っている。「今年の海外市場は、すでに進出している国や地域で事業を展開していく。特に重点を置いているのがスペインやイタリア、フランス、ドイツなどの西欧諸国だ」。

OPPOは2018年に欧州市場に進出。調査会社カウンターポイント・テクノロジー・ マーケット・リサーチのデータによれば、昨年第3四半期のシェアで第5位につけている。シェアはわずか2%と上位4社に大きく水をあけられているものの、欧州市場で急成長を遂げたことが見て取れる。

vivoも今年、欧州市場に進出する準備を整えている。本来はMWCで欧州など海外市場進出の戦略を発表する予定だった。

新型肺炎収束の見通しが立たないなか、中国スマホメーカーは国内市場で苦戦を強いられるばかりか、海外市場への進出計画にも影響が及んでいる。MWCが中止になり、新製品発表会は開催不能、店舗にも人影はまばらという状況で、スマホメーカーの力量がさらに試されることになる。業界全体が一丸となって、この難局に立ち向かうことが必要だろう。

※アイキャッチはMWCの公式サイトより
(翻訳・畠中裕子)

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