新型肺炎で動画配信による学習コンテンツが急成長、オンライン教育の転機が本当に来るか?

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新型肺炎の感染者は増え続け、中国全国で冬休み後の始業日が延期されている。

10以上の省と直轄市が始業を2月17日とし、感染がより深刻な上海、浙江、江蘇、重慶では、2月末までの延期が決まった。

しかし、学校に行けなくても、勉強はしなければならない。そのため、オンライン教育へのニーズが高まっている。

中国教育部のデータによると、2020 年 2 月 2 日までに、教育部は22のオンラインプラットフォームと協力しオンライン教育のソリューションを提供する。現在、大学の12の学科、専門学校の18の学科、計2.4万以上の授業を無料で受講することが可能だ。

オンライン教育を手がけるのは教育企業だけではない。「ビリビリ動画(bilibili)」、「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」、「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」、テンセント動画、「愛奇芸(iQiyi)」なども教育コンテンツの配信を開始している。こうした動画サイトは教育機関よりユーザーが多く、現在自宅から出ることのできない人なら、全員がターゲットだと言える。

大人はいつ教育コンテンツを視聴するか

ビリビリ動画を例にとってみよう。このサイトはエンターテイメントのコンテンツが中心で、教育コンテンツを視聴するのは、エンタメ動画を視聴した後、たまたまレコメンドに上がってきたものを見るというケースが多い。ビリビリ動画のデータによると、昨年同サイトユーザーの一人あたりの教育コンテンツ視聴時間は20分強だという。

このような視聴は気楽であり、若者にはより魅力的に映るだろう。同じくエンタメコンテンツを中心とする抖音と快手もこの点で強みを持つ。2月5日、清華大学と北京大学は抖音で授業を生配信し、第一回の視聴者数は19 万を超えた。快手も春節前に66.6億ものトラフィックを使い、教育コンテンツアカウントのサポートをした。

動画サイトのコンテンツは多種多様であり、教育コンテンツはここでより広い客層とタッチポイントを持つことができる。しかし、動画サイトの受験勉強コンテンツに期待するのはお門違いだ。こうしたプラットフォームに適しているのはエンタメと関係のあるものか、非常に興味深いテーマかのどちらかだ。

動画サイトにK12教育ができるか

始業は延期となり、塾に行くこともできない。学生と保護者の焦燥感は募るばかりだ。そのため、オンラインのK12(幼稚園から高校まで)教育を求める声が高まっている。

ニーズがあるため、動画サイトが名門校の有名教師の授業動画を提供するようになった。中には学校と契約し独占配信するものもある。しかし、どのサイトを見ても、サイトが独自で制作したものは非常に少なく、コンテンツは教育機関に頼っているのが現状だ。

今は、人気動画サイトの膨大なユーザー数という強みに惹かれ、オンラインK12教育のコンテンツが自然にこうしたサイトに集まってきている状況だ。しかし、この局面が長く続くとは思われない。感染症が終息すれば、無料配信が終わり、動画サイトと無関係な教育機関同士の競争に戻るだろう。動画サイト自身がK12 教育コンテンツを製作できなければ、この分野に本当の意味で参入することは難しい。

動画サイトにはほかの問題点もある。子供がこうしたサイトでエンタメコンテンツを全く視聴せず、授業だけに集中するとは考えられない。したがって保護者からの信頼も得られないだろう。教育機関のように教え方を工夫することもできないだろう。教育という専門性が求められる分野は、やはりプロに任せるべきだ。

画像はvisualhuntより

(翻訳:小六)

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