新型コロナ、出かけずに宅配を頼む人が急増 フードデリバリーのスタッフが買い物の代行も

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新型肺炎の感染拡大で、普段の買い物が中国の各家庭にとって大きな問題となった。感染のリスクを下げるため、出かけずに宅配を頼む人が増え、買い物代行サービスが急成長している。

デリバリースタッフが買い物代行

各地の交通規制や移動制限で、「オンライン買い物」が最も合理的な方法となった。そのため、平時はデリバリースタッフとして店舗と顧客をつないでいる人たちが、一気に重要になったのである。

3年前から上海でデリバリーの仕事をしている朱会恵さんは、アリババ傘下のデリバリー専門プラットフォーム「蜂鳥(Fengniao)」にスタッフとして登録している。今年の春節は帰省せずに仕事を続けたが、感染が拡大するにつれ、買い物代行の仕事も入るようになった。

アリババのパートナー(アリババには功績ある関係者がパートナーとして経営に意見を出せる制度がある)で、地域密着型生活サービス会社の総裁を務める王磊氏によると、デリバリースタッフが1日働けば、25人分の外出を減らすことができるという。したがって、蜂鳥のスタッフは単にライトワンマイルを担うだけではなく、ある意味感染症対策にも従事しているのである。

朱会恵さんによると、春節の頃から野菜や食品の買い物代行の注文が増え、続いて日用品と薬品の注文が増えたという。注文された品が近くの店舗で売り切れのときもあるが、苦しい時期だからこそお客様にがっかりさせたくないと話す朱会恵さんは、何軒か回ってできるだけ品物を揃えるようにしている。

デリバリースタッフが買い物代行をするのは上海ではすでに日常になりつつある。この2週間、朱会恵さんは毎日午前8時から深夜12時まで、上海の各住宅地とGMS(総合スーパー)、野菜市場を往復している。

住宅地に近いスーパーの解決策

大都市のGMSと同様に、二級、三級都市では、より住宅地に近いスーパーマーケットが「オンライン買い物」の対象店舗となっている。

2016年に設立された「雲菜園」は山東省で展開する生鮮コンビニエンスストアのスタートアップで、直近の資金調達は2019年10月だった。現在山東省済南市を中心に、月7〜10店舗を新規出店する速さで成長している。

住宅地に近いとあって、平時は来店し購入する顧客が中心だったが、新型コロナウイルスの感染が拡大すると、オンラインの注文が急増した。

雲菜園の総経理・于得禄氏によると、感染症が発生してから、注文はすでに3倍に増えているという。同社は中国でも指折りの農業規模を誇る山東省にあるため、生産地から直接仕入れることができ、野菜の供給を十分保証できるのが強みだ。

仕入れた野菜を迅速に各店舗に配送するため、雲菜園は各都市に800〜1000平米のハブ店を出店している。これらの店は住宅地周辺にある店にある程度商品を融通することができ、ロス率を下げることもできる。

ここまでのサプライチェーンは自社で構築できるが、最終的に商品を顧客の手に届けるには、デリバリープラットフォームに頼るしかない。現在同社の配送はすべて蜂鳥のスタッフが担当し、配達所要時間は平均で30分から1時間である。

こうしたサービスを実現できたのは、デリバリープラットフォームが迅速に現在の情勢に対応したためだ。1月26日、アリババはオフライン店舗向けのデリバリー代行サービスの申請を加速させ、早ければ申し込んだ当日からデリバリーに対応できるようになった。

アリババはまた、「優鮮菜場」、「菜文基」、「菜公社」などの生鮮スーパー6万店と提携し、全国で買い物代行サービスを展開している。アリババの買い物専用ページにアクセスすると、近くの生鮮スーパーの情報を閲覧することができ、食品類をワンストップで購入できる。

多様なサービスを展開するエコシステム

今回の感染症は、デリバリープラットフォームにとって新たなチャンスとなった。感染症によってプラットフォームのエコシステムの範囲が拡大すれば、感染流行が終息したあとでも、顧客はすでにオンラインでの購入に慣れ、利用を続ける可能性があるためだ。そうなれば、デリバリープラットフォームとGMS、生鮮スーパーは互いにトラフィックを誘導しあうようになり、顧客、店舗、物流がつながることになる。これは、サプライチェーン全体をカバーする多様なサービスを提供できるエコシステムであり、それが2020年にも形成される可能性が出てきたのである。

(翻訳:小六)

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