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2年間の開発期間を経て、アリババのIMサービス「釘釘(DINGTALK)」が手掛ける、大学生向けの新しいSNSサービス「Real如我」がローンチされた。現在中国の一部の都市で試験的にサービスを開始しているという。
リアルに基づくSNS
Realはリアルに基づいた、ストレスフリーのSNSだと宣伝されている。利用を開始するには、まず顔認識を行い、顔写真をアップロードしなければならない。
未登録者を招待する際も、招待される側の顔認証をしなければならない。しかし、この機能には疑問が残る。顔認証をさせてもらえるほどの関係なら、おそらく11億人以上ユーザ数を誇るテンセントの「WeChat」ですでに友人追加を済ませているはずだ。それなら、なぜ新しいアプリに移らなければならないのか、その理由がまだ見えてこない。
Realには位置情報に基づくジオフェンシングを応用した新しい友人を探す機能もある。例えばサービスが始まっている杭州市では、特定のエリアにいる状態でアプリを立ち上げれば、当該エリアのユーザーが公開した内容を閲覧することができる。
顔認証とジオフェンシングのSNSへの応用はReal独自の試みだ。Realには、この2つ以外にも中心的な機能として「イメージ」と「カメラ」がある。
「イメージ」は友人に自分についての印象を短い言葉で書いてもらう機能で、プロフィールページなどに表示される。「カメラ」は撮影をしようとする場所の環境に応じて、自動でフィルタをつけることができる機能だ。また、動物のアイコンを自分の顔のかわりに使って写真撮影することもできる。現時点ではカメラを使って新たに撮影する機能しかなく、スマートフォンに保存された画像をアップロードすることはできない。
テンセントがβテストを行っているアプリ「朋友(友達という意味)」にもスマートフィルタ機能がついているが、Realが撮影時に周辺環境をもとにフィルタをつけるのに対し、朋友の方は撮影された写真を自動的に修正する機能だ。
リアルに基づくことの矛盾
Realはローンチされたばかりのアプリとしては機能があまりにも多く、新規ユーザーがそのことを負担に感じることもあるだろう。こうしたSNSの機能は突き詰めれば2点に集約される、日々の暮らしの記録を残すことと、新しい友人を見つけたり、交友関係を維持したりすることだ。
しかし、日々の暮らしを記録することと、リアルに基づくことの間にはどうしても矛盾がつきまとう。たとえ顔認証機能が必須だとしても、他人に見せることを前提としたSNSのユーザーが、本当の自分を曝け出すだろうか。ましてやフィルタ機能付きとなれば、顔写真でさえも、本物かどうか判別しづらくなるかもしれない。
2019年以降、大学生を中心とした若者向けのSNSが相次いで誕生したが、どれも大きなインパクトを残すことができなかった。しかし、それでも孤独をまぎらわすというニーズが若者のなかに存在するのは確かであり、そのためテンセントの朋友、アリババのReal、そして復活した「中国版Facebook」と呼ばれている「人人網(renren.com)」が、繰り返しこのマーケットで攻勢を展開しているのである。
(翻訳:小六)
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