ブロックチェーンとIoT技術でデータ改ざんを防ぐ、サプライチェーン・ファイナンスに解決策 

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ブロックチェーンとIoT技術でデータ改ざんを防ぐ、サプライチェーン・ファイナンスに解決策 

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サプライチェーン・ファイナンスの大きな課題は、モノ、情報、ビジネスの流れを実務の中で一元的に管理できないことだ。チェーンの規模や複雑なプロセス、関係者の多さ、時々発生するデータ改ざんなどに対する効果的なソリューションが不足している。

マスデータストレージシステムを提供する中国の「物縁科技(Chaincomp)」は2018年5月に設立されたベンチャー企業。ブロックチェーン技術を用いた同社のマスデータストレージシステム「ImSQL」は、データの改ざんを防ぎながら、データへのアクセスおよびメンテナンスといった性能上の問題を解決すると共に、従来のブロックチェーン・ストレージシステムには無かったデータのプライバシー保護、効率的な検索、SQL対応などを可能とした。

ImSQLとその他ストレージ方式の性能比較

同社は、ImSQLというコア技術をベースに「ブロックチェーン技術とIoT(モノのインターネット)を融合した信頼性あるデータ管理技術」を開発。サプライチェーン・ファイナンスなどの分野において、データフローの信ぴょう性を確保するというニーズに応えている。

サプライチェーン・ファイナンスへの参入について同社創業者の焦臻楨博士は、その市場規模が非常に大きいことを理由に挙げた。従来の技術では「三流合一(モノ、資金、取引書類の一元管理)」のニーズに対応できず、多発するデータ改ざんによって企業データの信ぴょう性を確保できなかったため、金融機関側としても管理が難しく、サプライチェーン・ファイナンスの発展が抑制されていた。

ブロックチェーンとIoTを融合した同社の技術は、ブロックチェーン技術を使ったデータフロー管理、IoTによる物流のトラッキング、将来的に中央銀行発行デジタル通貨にも対応可能なスマート・コントラクト(契約の自動化)による資金フロー管理で構成される。実行可能な「三流合一」プランを提供し、サプライチェーン・ファイナンスの健全な発展と、中小企業の資金調達という難題解決につながるテクノロジーだ。

同社が提供する技術ソリューションは、三つの側面に分けると理解しやすい。

モノの側面では、同社開発の「Edge Trust」システムがモニタリング設備を動かし、設備ステータスの信頼性とデータの安全性を保証する。例えば、貨物の識別と監視において、タグの偽造やデータの改ざんなどのリスクを抑える。

クラウドの側面では、同社のクラウドサービスが、モノのサイドから送られる並行性が高く大量なリアルタイムデータのアップロードを支えると共に、データ収集時のセキュリティと改ざん耐性を確保し、データ送信中の窃盗や改ざんを防ぐ。

チェーンの側面では、ImSQLが全てのマスデータに対して信頼性ある保存を行うことで利用者のデータフローをつなぐと共に、モノのサイドが収集したマスデータを保存し、各プロセスでのデータの相互信頼性を確保する。大手企業やサプライチェーン関連企業、金融機関は、相互接続しているデータプールの中でデータのメンテナンスと共有を行い、データの改ざんを防ぐことができる。また、ImSQLが刷新したプライバシー保護技術によって、複数の利用者によるデータメンテナンスが可能な上、権限の無いデータアクセスがシャットアウトされる。

多様なシーンに対応可能な同社の製品はすでに、広東省、山西省、山東省、河南省などにある複数のサプライチェーンに導入され、最初の受注額は数百万元(数千万円)に上った。

物縁科技の主要メンバーは13人、うち博士は6人で、中国科学院やファーウェイ、バイドゥ、アリババ、テンセントの出身者がおり、3人が中国コンピューター学会(CCF)と中国通信学会(CIC)のブロックチェーン委員会委員を務めている。

また物縁科技は、テクノロジー専門家組織IEEEのワーキンググループで複数の主要ポストを担当し、IBM、シスコシステムズ、シーメンス、ハイアール、シャオミ(小米科技)などの著名企業と共にブロックチェーンとIoT技術の規格化に取り組んでおり、このニッチ市場において優位性を持っている。なお、物縁科技はすでに「洪泰基金(Hongtai Aplus)」がリード・インベスターを務めたエンジェルラウンドで数百万元(数千万円)を調達している。
(翻訳・神戸三四郎)

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