東南アジアのディープテックに期待 デカコーン「Grab」を見出したVC「500 Durians」に独自取材 

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東南アジアのディープテックに期待 デカコーン「Grab」を見出したVC「500 Durians」に独自取材 

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「500 Durians」は、シリコンバレー発祥のベンチャーキャピタル「500 Startups」が2013年に東南アジアに設立した現地ファンドであり、この市場の先駆者といえる。これまで東南アジア配車大手のGrab、インドネシア最大のEC企業「Bukalapak」およびシンガポールの中古品取引企業「Carousell」など数々のユニコーンを見出してきた。

500 Duriansはスタートアップ企業のシードラウンドの段階から投資を行うVCだ。広範な市場から最も価値ある投資案件を選び出すことを目的に、シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイなどに広く投資しており、東南アジア全体では200社以上の企業に対する出資を実施してきた。他社に先んじて東南アジアのディープテックの潜在力に目をつけたほか、マレーシアへの評価が著しく低い点についても早くから指摘している。

36Kr Globalは500 DuriansのゼネラルパートナーであるVishal Harnal氏にインタビューを行い、東南アジアのVCをめぐる環境、シリコンバレーや中国との違い、同市場における独特の投資理論、さらには市場が断片化した東南アジア各国に対する見方について話を聞いた。

東南アジア、シリコンバレー、中国の起業環境

ーー東南アジアの起業環境には、シリコンバレーと比べどのような特徴がありますか。

「起業をめぐる基礎条件が異なる。シリコンバレーにはリソースが集中しているため、スタートアップが受ける恩恵は大きい。企業の設立方法、人材の募集方法、投資家との接触方法、いずれも明確だ。起業環境全体が成熟しており、多くの人々と知り合い、交流や学びを得られる。一方、東南アジアの起業システムは出来上がったばかりで、長年の起業経験がある人は少なく、知識と人材の獲得手段も限られている。ただし現在はこの状況が変わりつつある」

「企業家の特性も異なる。東南アジアの企業家は起業を途中であきらめたり、または廃業したりすることが少ない。たとえ経営が順調でなくても、現在のビジネスモデルを継続させようとする傾向がある。また創業者のバックグラウンドも様々であり、名門校卒とは限らない」

「ビジネスチャンスの多さや競争の激しさは当然ながらシリコンバレーにはかなわない。また投資のイグジットの方法も大きく異なる。シリコンバレーには買収やIPOなど多くの方法があるが、東南アジアはまだその段階に至っていない。今後はM&AやIPOによりイグジットを果たす企業が増えていくだろう」

ーー東南アジアに進出している中国企業についてはどう思われますか。
「東南アジアで見かける中国企業は、アリババ、テンセント、バイトダンス、京東などの大手が多い。東南アジアへの進出を検討するVCや企業は多いが、実際に進出している中国の企業は少ない」

ーー東南アジアに進出している中国のVCについてはどう思われますか。500 Duriansにとってのプレッシャーとなっていますか。
「実のところ、東南アジアのシードラウンドの投資家はそう多くない。VCは我々を含めて1~2社のみだ。シードラウンドの投資は非常に地道な上に、東南アジアにおいて長いスパンで事業を進める必要がある。これまで見てきた比較的多くの中国VCはレイトステージでの投資に従事しており、シードラウンドあるいはシリーズAから投資を始めるVCは少ない。ほとんどがシリーズBまたはシリーズCで、出資額は1000万~3000万ドル(約10億4000万~31億円)と差がある。こうした投資により我々の投資した企業の価値は上がるため、我々にとっても非常に大きなメリットがある。さらに創業者がさらなる資金調達を行う際の選択肢も広がる」

ディープテックに大きな期待

ーー昨年は何社の事業に投資を行いましたか。その投資理論とは。
「50社に投資した。投資分野に大きな偏りはなく、消費・産業インターネット分野からディープテックまで範囲は広いが、投資の重心は市場のチャンスの移り変わりと共に変化している」

「投資先の決定時には、まずそれが他の国での成功実績があるビジネスモデルかどうかを確認する。例えば中国には200社前後のユニコーンが存在し、その一部のビジネスモデルは東南アジアでも成功を収めている。だが他国でのさらなる展開が見込めるビジネスモデルがまだ大量に存在するため、こうした企業は我々が重視する投資先の一つだ」

「ディープテックは我々が注目を寄せる重点領域。シンガポールの大学の研究水準は非常に高く、大学で学ぶ科学者や博士学位保有者は、研究だけにとどまらず技術の商業化や研究成果の応用を実際に目にしたいと考えている。ここに相当大きなポテンシャルがあり、我々もこうした革新的技術が現実世界の限界を打ち破ることに期待している」

「さらに、東南アジア現地の問題を解決できる技術やプラットフォームを有する企業も重視している。例えば過去に出資した「eFishery」は漁場向けのIoT設備を手がける企業だ。インドネシアは最大の漁業輸出国だが、漁業経営は非常に断片化している上に、先進技術により運営プロセスの改善が図られることはほとんどない。現在の漁獲効率は低く、漁業者の収入には限りがある。eFisheryのIoT設備を利用することで、漁業者はコンピュータビジョンなどの技術を通じてプロセス全体を分析・制御できる。例えば餌やりの時間や量、さらに魚の健康状態も効果的に管理できる。こうした技術や設備が漁業者の労働負担を大幅に引き下げ、収入を引き上げることにつながる」

断片化した東南アジアの市場

ーー東南アジアには11の国家が存在し、市場が非常に断片化している上に、各国の発展段階や投資時期も異なります。こうした市場をどのように区分していますか。

「東南アジア全体で市場が最も成熟しているシンガポールは第一ステージに属する。500 DuriansはシンガポールのB2Bやディープテックに注目することが多い。なぜなら同国のマーケットが小さいためだ。創業者が東南アジアへビジネスを展開するか、グローバル化を推進しない限り、市場の拡大は非常に限定的なものになるだろう」

「第二ステージはインドネシアとベトナムだ。経済成長が非常に速く、人口が多く市場も相対的に大きい上に、技術を持つ人材のレベルが高く、ビジネス環境も活発。インドネシアにはすでに成功を収めたユニコーンも登場しており、こうした前例に触発され新たな企業が次々と誕生している」

「マレーシアとタイは第三ステージに属する。両国の創業者の特徴は自国のマーケットをより重視し、海外市場を開拓することが少ない点にある。これが現地に非常に大きなポテンシャルがあることと関係している。フィリピンなどの国は発展までにまだ長い時間を要する。これは不安定な政治あるいはインフラが追い付いていないためと考えられる」

ーーシンガポール、インドネシア、ベトナムは東南アジアでも資本投入が比較的多い市場です。今後のポテンシャルが大きい市場はどこでしょうか。

「マレーシアは過小評価されている市場だと思う。同国には非常に質の高いスタートアップや創業者が存在するほか、マレーシアでの経営コストも低い。インドネシアやベトナムへの投資がピークに達した後は、マレーシアの企業により多く投資する価値がある。我々はすでにマレーシアに進出している」

ーー今後、東南アジアのVC市場はどうなるとお考えですか。

「まずシンガポールやインドネシアなど相対的に成熟した市場では、今後IPOを実施し、上場する企業が増えるだろう。次にベトナムへの投資は増えるだろう。さらにIPOを実施するディープテック分野のスタートアップも増えていくと考えている」
(翻訳・神部明果)

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