ビリビリ動画の2019年第4Q決算 過去最高の新規ユーザー数でMAU1億3000万突破、「ゲーム頼み」も脱却

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業編集部お勧め記事注目記事

ビリビリ動画の2019年第4Q決算 過去最高の新規ユーザー数でMAU1億3000万突破、「ゲーム頼み」も脱却

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国の動画共有サイト「ビリビリ動画(Bilibili)」が17日、2019年第4四半期(10~12月)および通期決算(1~12月)を発表した。今四半期は収益構造の改善が一層進み、モバイルゲーム事業による収益の割合が下がり、それ以外の事業による収益が全体の57%に達した。「ゲーム頼み」からの脱却に成功した形だ。また、新規ユーザーの増加数が設立以来最多となり、コミュニティの活況度合を示す月あたりの動画投稿件数、ユーザー同士の交流回数は前年同期比で増加、前四半期比で減少した。

2019年通期の総売上高は前年比64%増の67億8000万元(約1000億円)で、第4四半期の売上高は前年同期比74%増の20億1000万元(約300億円)。第4四半期の純損失は前年同期の1億9080万元(約30億円)から102.9%増、前四半期の4億600万元(約62億円)から微減の3億8720万元(約60億円)だった。

ビリビリ動画の公式データをもとに36Krが作表

17日の取引終了後に、ビリビリ動画の株価は3.86%下落した。

画像は中国の金融情報サイト「東方財富(East Money Information)」より

今四半期は新規ユーザー数が最高記録を更新し、月間アクティブユーザー(MAU)は前年同期比40%増の1億3000万人に達した。うち、モバイル利用者は同46%増の1億1600万人。デイリーアクティブユーザー(DAU)は同41%増の3800万人だった。

ビリビリ動画は年末に初めて年越し特番「二零一九最美的夜bilibili晩会」を放送した。同番組はサイト内で9000万人が視聴し、弾幕コメントの投稿件数は300万件に上っている。若いユーザーのみならず、1970~1980年代生まれまで幅広い年齢層から好評だったという。これは新たな突破を目指す同社の取り組みの一環といえる。

コミュニティの活性度を支える動画投稿者については、MAUが100万人、月あたりの投稿件数は280万件。動画再生回数は1日平均7億1000万回、コメント投稿などユーザー同士の交流回数は月平均24億回で、いずれも前四半期から減少傾向だ。ただし、厳しい入会条件を課される「正会員」は前四半期の6000万人から6800万人に増加している。上記のような新たな取り組みが新しいユーザーの呼び込みにつながっているが、これまで特定のコアなユーザーに愛されてきたビリビリ動画の持つ独特のコミュニティが、こうした「外来者」によって毛色が変わってきているのも事実だ。

ビリビリ動画の董事長兼CEOの陳睿氏は「2019年は我々にとって重要な意義を持つ1年だった」とし、2020年については「コンテンツエコシステムの強化と収益化システムの構築に引き続き取り組み、効果が実証されたユーザー獲得策を継続し、コミュニティの持つポテンシャルをさらに引き出す」としている。

第4四半期の事業別の売上高については、主力事業であるモバイルゲーム事業が前年同期比22%増の8億7000万元(約130億円)だったが、前四半期の9億3000万元(約140億円)と比較して伸びは減速している。中国での配信権を有する「Fate/Grand Order」がけん引役となっているほか、2019年に他社との共同配信をスタートした複数タイトルが売り上げに貢献している。さらに独占配信権を有する30タイトルが後に控えているという。

モバイルゲーム以外の事業も伸びており、同157%増の11億4000万元(約170億円)に達し、売上高全体の57%を占めている。

ライブ配信と付加価値サービス(VAS)事業は前年同期比183%増の5億7000万元(約90億円)だった。ライブ配信は同社のコンテンツエコシステムにおける重要な要素で、Eスポーツやエンターテイメントなどのカテゴリが活況に寄与している。

アニメやドキュメンタリーなど映像作品の共同プロデュースや製作にも力を入れており、昨年11月には世界的なベストセラー小説「三体」を筆頭に40本のアニメ作品を手がけると発表している。なお、ビリビリ動画のサイトにおけるアニメカテゴリのMAUは、2019年に「国産アニメ」が「(日本の作品を中心とした)アニメシリーズ」を初めて上回り、最も人気のあるカテゴリとなった。

ドキュメンタリーやバラエティでは政治、食、自然などを題材とした作品をプロデュースしており(単独、共同プロデュースを含む)、多彩なコンテンツで有料会員や広告事業の伸びに貢献している。ビリビリ動画の「大会員(有料会員)」は昨年末時点で前年同期比111%増の760万人に達した。

広告事業の第4四半期の売上高は前年同期比81%増の2億9000万元(約45億円)で、前四半期の2億5000万元(約40億円)からも伸びており、広告収入は安定して成長しているといえる。昨年11月よりアリババグループとの協業も進んでおり、アリババ傘下の共同購入プラットフォーム「聚劃算(juhuasuan)」はビリビリの年末特番でタイトルスポンサーを務めている。

また、自社ECプラットフォーム「会員購」の業績も急速に伸びており、ECその他の事業の売上高は同241%増の2億8000万元(約40億円)となった。

決算書では2020年第1四半期(1~3月)の売上高について、21億5000万~22億元(約330億~335億円)と予想している。

※画像はビリビリ動画より
(翻訳・愛玉)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録