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今年2月、サムスンとファーウェイが相次いで第2世代の折りたたみスマホを発表し、3月に発売すると、ともに即完売となった。これは、折りたたみスマホにはまだ多くの課題があるものの、それを上回るほどの新鮮感があり、ユーザーがいち早く試してみたいと思える製品だということの現れだ。折りたたみスマホが一過性のブームで終わらず、スマートフォン、タブレットのような革命的な製品になる可能性もある。
紆余曲折を経て誕生
サムスンの初代の折りたたみスマホ「Galaxy Fold」は昨年4月に発売する予定だったが、メディアが試用した際にディスプレイの故障が相次いだことを受け、サムスンはすべてのデモ機を回収し、中国での新製品発表会も中止された。そのため、発売は当初の予定より5カ月も遅れた。また、ファーウェイの折りたたみスマホの発表も何度も延期となった。これほどの紆余曲折を経ることになったのは、サムスンやファーウェイの技術力が低いためではなく、折りたたみスマホの技術的課題が多すぎるためだ。
たとえば、ハード面では、ディスプレイとヒンジが大きな課題であり、今も完全に解決されたとは言い難い。ソフトの面でも、これまでのスマホと異なる新鮮さを出すために、大量の改善が必要となる。OS(オペレーションシステム)を折りたたみスマホ用に改良し、専用のアプリも必要になる。
多くの難題をなんとか乗り越えて発売された折りたたみスマホだが、今後の展望はどうだろうか。
折りたたみスマホは前途有望
サムスンとファーウェイの第2世代折りたたみスマホの人気は大きく、サムスンの製品は9分間ですべてのECサイトで完売となり、ファーウェイの製品は10万元(約150万円)で転売されるほどになった。この結果を見る限り、メーカーは折りたたみスマホの未来について一層の自信を持ってよいだろう。
実際に、第2世代の製品は多くの面で改善が見られた。折りたたむことによりディスプレイに残る跡は、より高性能の材料を採用したことにより、両社ともそれほど目立たないレベルになった。ヒンジ部分はこれまで約100個の部品が必要だったが、すでに必要な部品数は大きく減り、今後さらなる改良も行われるという。
今後待たれるのは、ソフト面の改善だ。Android OSを折りたたみスマホに適したものにするには、グーグルによるベース部分の再構築が必要だ。また、Android OSに使用することができない機能があるファーウェイは、折りたたみスマホに自社開発のOS「EMUI」を使用している。
アプリの開発も十分進んでいるとはいい難い。しかし、ファーウェイの関係者は、折りたたみスマホに課題があるとしても、消費者が許容できるレベルの製品を早く発売することが大事だと指摘する。なぜなら、そのほうが外部の開発者によるアプリの開発が早くなり、エコシステムを早期に形成できるためだ。
折りたたみスマホが花開く日
技術的課題がまだ残るため、折りたたみスマホがすぐに普及することは考えられない。しかし、少なくともそのポテンシャルがあることは、2020年中に証明されるだろう。
現在の折りたたみスマホは主に2種類に分けることができる。まず、これまでのスマートフォンより大きなディスプレイを持ち、タブレット同様の使用感をもたらすものだ。サムスンの初代機とファーウェイの初代、第2世代がこのようなタイプであり、目下もっとも広く使われている形態でもある。スマホのように持ち運びがしやすく、かつタブレット同等の画面を持つのが強みで、8インチ前後の小型タブレットの市場を奪う可能性がある。
次に、縦に折りたたむタイプである。サムスンの第2世代機種のZFlip、レノボの「Moto Razr」がこれにあたる。このタイプはこれまでのスマホと同じディスプレイサイズだが、折りたたむことができるためシャツのポケットに入るほどコンパクトになる。
折りたたみスマホは、まだ歩くことすらままならない幼児のような製品だが、前途は非常に有望である。サムスンとファーウェイが先陣を切ったことで、ほかのメーカーの参入が増えるだろう。それは今後折りたたみスマホが普及するために必要なことでもある。より多くのメーカーが参入し、より多くの新製品が開発されれば、エコシステムが広がっていき、ディスプレイやヒンジなどのコストが下がる。そうなれば折りたたみスマホの本体価格も安くなり、顧客層が広がっていくだろう。
アイキャッチ写真はサムスンの公式サイトより
(翻訳:小六)
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