アップルの新型「iPad Pro」、控えめでも着実な進化 新型コロナ禍による遠隔授業で需要拡大へ

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アップルは18日夜(日本時間)、公式サイトでひっそりと新製品を発表した。タブレット「iPad Pro」、ノートブック「Macbook Air」、小型デスクトップPC「Mac mini」の三つだ。

新型コロナウィルスの感染が世界的に拡大する現在、新製品の発表としてはふさわしいタイミングではないかもしれない。しかし危機と商機はつねに隣りあわせだ。各国で休校措置が講じられる中、iPadにとってはオンライン授業に移行する教育市場やライブ配信市場を開拓する機会が訪れている。最新版iPad Proは学生や教職員向けの特別価格も設定している。

進化は控えめだが実用的

Mac miniはストレージが従来の倍となった反面、最低価格は値下げした。しかしそれ以外に特筆すべきポイントは多くない。Macbook AirおよびiPad Proに関しては、ユーザーにとって比較的うれしいアップグレードが行われている。Macbook Airのキーボードは旧来のシザー構造を再設計して復刻し、iPad Proはトラックパッドに対応し、3D情報を計測するToFカメラ(LiDARスキャナ)も実装した。

画像は「CINO PARTS」提供

iPad が最も利用されるのはエンターテイメント用途で、主にディスプレイをタッチして操作する。しかし最近ではビジネス用途への対応も強化しており、iPadを用いてより複雑なタスクをこなすユーザーも多くなってきている。そのためApple Pencilも発売されたが、従来はキーボードにトラックパッドが実装されていなかったため、複雑な作業ではカーソル操作が困難だった。

iPad ProにとりつけられるMagic Keyboard(画像はアップル公式サイトより)

こうした変化はiPadに最適化したOS「iPadOS」が発表してからもたらされたものだ。昨年9月にiPadOS 13が発表されると、Bluetooth、USB Type-C、Lightningポートを通じてマウスやトラックパッドに接続できるようになった。最新版のiPad Proに対応する別売りのMagic Keyboardは5月の発売を予定している。

最新のiPad Proには初めてToFカメラも搭載されている。これにより撮影機能も向上するが、最も重要なのはAR機能の強化だ。米テック系ニュースサイトthe Vergeによると、アップルのゲームプラットフォーム「Apple Arcade」が独占配信するARゲーム「Hot Lava」では、プレーヤーはToFカメラのサポートによってリビングに居ながらにして寝室をマグマで溢れさせることも可能だ。

iPad ProでプレイするARゲーム(画像はthe Vergeより)

ただしARの実用化はまだ始まったばかりであるのに加え、タブレットで写真撮影をするユーザーはごくわずかだ。ToFカメラの実用性が存分に発揮されるとはいえないだろう。

学生ユーザー取り込みの好機

アジア地区でサプライチェーンが非常事態を来している。アップルの直営店「Apple Store」は大中華圏を除いた世界全体で休業となり、新型コロナウィルスがもたらす不確実性は増している。複数の投資銀行はアップルの目標株価を引き下げた。

米デジタル市場調査会社eMarketerの小売市場アナリストAndrew Lipsman氏によると、アップルの実店舗からの収入は収入全体の20~30%を占めており、店舗の休業が同社の小売事業に短期的な影響を及ぼすのは明らかだという。一部の顧客はオンラインに移行するだろうが、「アップルはこれまで実店舗を通じて顧客の問い合わせに対応したり、メンテナンスサービスを提供したりしてきた。店舗の目的は製品を売ることではない」と同氏は指摘している。一方で今年2月、中国では全42店のApple Storeが臨時休業していた期間中、アリババのECサイト天猫(Tmall)に開設されたアップル公式ストアは取引額が前年同期比70%も増加したという。

中でもiPadの売れ行きが好調だ。多くの人が外出もままならず、オンラインで授業を受けたり動画を視聴したりしているためだ。2019年版のiPadはどこも欠品状態で、公式旗艦店に在庫が残るのみだという。

中国で新型コロナウィルスの感染が最も深刻だったのが2月だが、天猫によると同月に天猫を通じてiPadを購入した消費者の6割が教育目的で購入したという。iPadが教育市場に照準を当てているのはここ最近の話ではない。2018年にはiPadの新作発表会の場を米シカゴのある高校に選んでおり、プレゼンの内容は7割が教職員や学生に向けたものだった。より多くの教職関係者や学生に使ってもらうため、iPadは価格を下げ、オフィスツール「iWork」をアップデートしてApple Pencilに対応させ、教育市場向けにはクラウドサービス「iCloud」の無料ストレージ枠を拡張した。

新型コロナウィルスの感染は欧米に広まり、オンライン授業への需要はますます増している。iPadに対する教育需要も中国と同様に拡大する可能性がある。ニューヨーク市政府の調査によると、同市ではおよそ30万人の学生が自宅にインターネットに接続できる端末を持っていない。同市はそのために2万5000台のiPadを購入したという。

新型コロナ禍はアップル製品の販売数にも影響するだろう。しかし、これは低コストで市場を開拓しユーザーを育成する機会でもある。最新版のiPad Proはビジネス用途を強化したこともあり、リモート講義でも優れた使い勝手を発揮するだろう。
※アイキャッチ画像はアップル公式サイトより
(翻訳・愛玉)

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