「昨日の恩人は今日の敵」Googleから締め出された中国のアプリ開発者とその自助努力

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2月20日、グーグルはユーザーの動作を妨害するポップアップ広告などの表示を理由に600近くのAndroidアプリを「Google Playストア」から削除、それらの開発者が広告収益化プラットフォーム「Google AdMob」や「Google Ad Manager」を利用することも禁止した。

これはまるで無差別攻撃だ。非常に多くの開発者、特に中国企業が被害を受けている。「Cheetah Mobile(チーターモバイル、獵豹移動)」の45製品は全削除され、その影響で同社の株価は翌日16%も下落した。

グーグルの今回の措置は大規模だっただけでなく、開発者への事前通告なしに突然執行されたため、開発者に大きな不満を引き起こした。

グーグルと海外進出中国企業、恩人から仇敵へ

OSであるAndroidのエコシステムを構築していく過程で、グーグルと海外進出した中国企業とは蜜月を過ごしたことがあった。

Androidの登場により、インターネットの利用はパソコンからモバイル端末へと徐々に移行してきた。特に開発初期段階では、いずれの国や地域においてもローカル化されたアプリが十分にはなかったので、多くの開発者、特に中国の開発者がAndroidアプリの開発に参入、ユーザーのニーズを満たすアプリを豊富に提供し、グーグルが商業面で基盤を固めるのを助けてきた。

同時に、Androidを取り巻く環境は、海外に進出した中国のインターネット企業の台頭も促す。Androidアプリを開発する猟豹移動、「APUS」、「iHandy」などはその代表例だ。

グーグルはかつて中国の開発者を引き付けるため、年次開発者会議など公の場で頻繁に彼らと交流し、収益性のあるアプリを開発できるよう多くの専門家を中国に派遣していた。

しかし、グーグルとこれらの企業との蜜月関係はここ数年で陰りを見せ始める。

最初に衝突したのはAPUSだ。 2018年9月、APUSのグーグル広告アカウントが徐々に凍結措置となったされる。

アプリの削除は、Androidエコシステムからの完全追放と同義である。業界関係者は、グーグルがここ数年、中国の開発者に直接課した罰金は莫大な額に上り、間接的にもたらされた収入への打撃はさらに大きいと見る。 グーグルが自社のエコシステムを整備するのは責められないが、開発者が不満を抱いたのは、そのオペレーション過程におけるグーグルのやり方と態度だ。

多くの人が、グーグルはすべてにおいてダブルスタンダードだと考えている。ある業界関係者によると、もしグーグルの広告主が「Google AdMob」を利用しない場合、たとえば外部のアライアンスを通じて配信すると、開発者は異なる扱いを受けると言う。仮にAdMob経由の配信がコンプライアンスに抵触しても警告を受けるだけだが、サードパーティー経由で配信してコンプライアンスに抵触した場合は、修正の余地なく即座に削除されるというわけだ。さらに、グーグル内部でも判断基準に齟齬があり、開発者が自分で判断しようにも明確な基準がない。

中国の開発者による自助努力とは?

直接的かつ巨額な経済的損失を被った中国企業にしても、座して死を待つというわけにはいかない。

昨年、ファーウェイはグーグルからサービス提供を中止され、同年5月以降に製造されたスマートフォンは、グーグル系アプリやAPIを集積した「Googleモバイルサービス」(GMS)を利用できなくなった。ファーウェイはこれに対抗し、すぐに「ファーウェイモバイルサービス」(HMS)を立ち上げる。

最近、開催されたファーウェイのサブブランドHonorの新製品発表会では、公式アプリストア「HUAWEI AppGallery」とAIアシスタント「Huawei Assistant」をプリインストールした「Honor V30 PRO」と「Honor 9X PRO」を海外でも間もなくリリースすると発表している。 ファーウェイの最新データによると、HMSエコシステムに関心を寄せる開発者は以前の91万人から130万人に増え、HUAWEI AppGalleryの月間アクティブユーザー数(MAU)は4億を超え、5万5000ものアプリがリリースされているという。

ロイター通信によると、シャオミ(Xiaomi、小米科技)、ファーウェイ、OPPO、およびvivoは協力して「Global Developer Service Alliance(GDSA)」と呼ばれるプラットフォームを結成し、中国以外の開発者が同4社のアプリストアへアプリを同時にリリースできるようにするという。今年リリース予定の同アプリストアはサービス対象をインド、インドネシア、ロシアなど9エリアまで広げるということだ。

過去にグーグルに試し斬りされたAPUSは現在、海外進出済みのインターネット企業の中でHMSエコシステムを全面的にサポートするトップバッターとなった。HMSパートナーの典型的な事例として世界に紹介された企業の一つでもある。

中国から海外進出していった企業が紛糾に巻き込まれた際、対応する法律によって中国企業の利益が保障されるよう、中国ではデジタル経済やデジタル貿易に関連する国内法を整備し直すべきである。

インターネットはいわば草原であり、すべての企業がこの草原に生息し、繁殖することができる。グーグルやフェイスブックに代表される米企業はいち早くこの草原に入り、支配的地位を確立した。参入が遅れた新興市場国の開発者が生き残るには、今のところ規定のルールを遵守するしかない。
(翻訳・永野倫子)

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