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テンセントが発行した『2018年中国バスケットボール産業白書』によると、バスケットボールは20~35歳の世代に一番人気のあるスポーツで、2018年時点のコアなバスケットボール人口は約1億4300万人、ライトなバスケットボールファンまで含めると4億8200万人に達した。
大きなくくりで見ればバスケットボールも大衆スポーツだが、バドミントンや卓球のように2人だけで競技することはできず、試合をするには少なくとも6人揃える必要があり、実際に試合の約束を取り付けるとなると手間がかかる。
BallUは2017年に設立された、バスケットボールの試合予約と競技者同士のコミュニケーションに特化したプラットフォームだ。創業者の彭俊氏によると、バスケットボール愛好者が試合をする際には、いつ、どこで、誰と、どのように試合をするかという4つの問題を解決する必要があるとのこと。
個人ランキングによる試合マッチング
BallUのプラットフォーム上には、個人ランキングを利用した3×3(スリーエックススリー)の試合マッチングスキームが設定されている。彭氏によると、テンセントの人気ゲーム「王者荣耀」をプレーする際、一緒に戦うチームメンバーが足りない場合、システムがランダムに割り当てたメンバーと一緒にプレーできる仕組みがあるが、このマッチングスキームはそれと似ている。
同様にBallUはチームを組む際にランダムマッチングの方式を採用している。BallUでは一回の試合に合計20人が参加でき、1ゲーム5分で行われる3×3に6人ずつ参加し、勝ちチームが残る。負けた選手には新しいチームが組みなおされ、再度ゲームを行う仕組みとなっている。
BallUのランダムマッチングの原理は、ユーザーのいる位置、勝率、効率に基づいて計算されており、マッチングの面白みを増す以外にチーム間での実力差が出ないように考えられている。アプリの紹介によると「強いチームと勝てない試合ばかりし続けるのは楽しくない。ランダムマッチングでは、強い選手が自分のチームメートになる可能性もある」としている。
彭氏の説明によるとBallUの3×3の試合は標準化されており、試合ごとに記録係がスコアをつけ、各ユーザーの「戦力」を記録し、その記録に基づいてバックグラウンドのアルゴリズムが、試合回数、勝率と得点、リバウンド、アシストなどを計算している。
ユーザーの「戦力」データは、BallUに多様な新しい可能性を与えている。BallUは3カ月ごとに新シーズンを開催しており、BallUのミニプログラムでは、全ユーザーの戦力ランキングとスコアを見ることができる。
ユーザーは継続的に試合に参加することによって、自分のデータとランキングを更新することができるため、ランキング方式はユーザーの囲い込みに有効だ。これは育成ゲームとよく似ており、自分の実力をアピールし、それを他のユーザーとシェアしたいという、ユーザーの心理的ニーズを満たしている。また大きな面からみると、バスケットボール愛好者が、職業としてバスケットボールへ関わることをサポートすることもできる。BallUの前シーズン・ランキングで1位を獲得したユーザーは、スポーツ用品メーカー「安踏体育(ANTA Sports)」の目に留まり、セミプロとして契約をしている。
ランキングがBallUのユーザー定着率と継続率の向上に有効なのは明らかだ。BallUは現在、華南、華東、西南、華北、東北の5地区、27都市で試合を開催しており、すでに4万回以上の試合を行ってきた。ユーザー数は13万人で、そのうち有料ユーザーは7000人を超え、継続率は90%となっている。
規模拡大への課題は審判と競技施設の確保
試合はBallUのコア・コンピタンスであるが、規模を拡大するには課題もある。
彭氏によるとBallUは現在試合数の拡大ができない状況にある。信頼できるデータを得るには試合をサポートする専門の審判が必要だが、まだ多くの都市で審判が確保できていないからだ。
しかし、この問題にはすでに初歩的な解決策が出ている。彭氏によると、配車アプリ「滴滴出行(DiDi)」やO2Oプラットフォーム「美団(Meituan)」のようなシェアリングエコノミーのコンセプトを採用することだ。高校のスポーツサークルや地域のバスケットボール協会に向けたプラットフォームを構築し、審判業務のオーダーを出し、審判の資格を持っている人がそのオーダーを受けられるようにしていくとのこと。審判資格を持っている人が審査に通るとプラットフォームに登録され、自分のいる場所から近い審判業務のオーダーを受け、業務が完了したら報酬を受け取ることができるようになっている。現在、BallUはすでにいくつかの団体の提携の意向を確認している。
審判以外に競技施設の問題もある。全ての試合はBallUが開催するので、競技施設の予約もBallUを通じて行うが、競技施設の予約方法は統一されておらず、基本的な予約はできるものの大規模な体系化はまだ難しい。
競技施設の運営効率が低いという問題には2つの原因がある。1つめは、電話や微信(WeChat)など予約チャネルが混在している点だ。もう1つは、競技施設とユーザー間で情報が共有されていないため、ユーザーは施設の混雑状況が分からない点だ。このような状況に対し、BallUは最近、SaaSを利用したスマート競技施設システムをリリースした。
このスマート競技施設予約SaaSシステムは、競技施設に管理者権限を与えることにより、競技施設が自らBallUの試合を開催し、利用客を増やすことができるほか、ユーザーは施設の予約状況を確認することもでき、施設を利用しやすくなる。競技施設の予約方法を一元化することで運営コストの低減にもつながる。
新型肺炎の流行期間中、多くの地方政府が競技施設やジムなどに人を密集させないように指示を出してきた。競技施設にとってはSaaSシステムを予約チャネルとして一元化することで、利用者数を定量化できるうえ、規則遵守にも有効となる。
BallUは新型肺炎の流行期間中、スマート競技施設予約SaaSシステムを無料で競技施設に開放しており、現在、20あまりの施設が利用可能となっているほか、70あまりの施設が申請中となっている。このSaaSシステムの利用者拡大はBallUにとって、コストを削減しユーザー認知度を上げるだけではなく、新たな成長を生み出すカギとなる。
競技施設と試合に基づくビジネスモデル
BallUのビジネスモデルは競技施設予約管理と試合に関する収入の2つの側面から成り立っている。競技施設については、SaaSシステムを通じて予約が確定し、ユーザーが施設利用料を支払った場合、その10%を徴収する。試合については、まず、ユーザーがプラットフォーム上で購入するプリペイド式ポイントがあり、このポイントは試合申込料や競技施設の利用料の支払い、バーチャルアイテムの購入などに使用できる。2つ目は広告費で、頻繁に行われる試合と斬新なランキングシステムでプラットフォームのユーザーを増やし、広告収入を伸ばしている。3つ目はプラットフォームから得られる仲介手数料だ。
現在、BallUのコアメンバーは10名程度で、同社はプレシリーズAで800万元(約1億2400万円)規模の出資を求めている。
(翻訳・普洱)
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