百度が年内に自動運転ミニバスの量産を開始しAIハードウェア3機種のリリースを発表

アメリカ・ラスベガス時間1月8日14時56分、百度がCESのプレスカンファレンスで最高潮を迎えた時、その熱気は現地から太平洋を挟んで対岸にある北京からもたらされた。北京時間早朝6時56分、百度のApollo自動運転システムを搭載した自動車が隊列を組み、工業団地内を走行したのだ。

運転席が空っぽのL3(レベル3)セダンは人を乗せてスムーズにUターンを行い、その後無ハンドルのL4(レベル4)ミニバス(今年量産化の見込み)に続いて、昨年9月に北京オリンピック森林公園での使用を開始した自動運転清掃車が続き、さらには人の半分ほどの高さの自動運転宅配車が冷え込んだ早朝に測量技師のもとにネイビーのマフラーを届けに来た。

これは、Apolloシステム搭載の異なる機能を有したさまざまな車種を一堂に会した百度初のショーである。百度の計画によると、2018年に金龍客車(King Long)と共同で自動運転小型循環バスの量産化を実現し、2019年には江淮汽車(JAC)・北京汽車(Beijing Automobile Works)と共同で自動運転車種を発表し、2020年には奇瑞汽車(Chery Automobile)と共同で自動運転車種を発表するそうだ。

「これが我々中国のスピードであり、まだスタート段階に過ぎません。我々のスピードはますます上がり、また未来へ向けて走って行きます。」と、陸奇氏は話した。

また、昨年11月、Apolloが科学技術部初の国家人工知能オープンプラットフォームになって以降、百度は自らを誇り「ナショナルチーム」と称している。

これらは、1年前Microsoftを退社し、最低迷期にあった百度に加わった陸奇氏が抱いていた展望がどのようなものであったのかを、別の側面から説明している。それは「百度は中国のGoogle、DuerOSは中国のAlexa、或いはそれ以上である」というものだ。

AIはアルゴリズム・ソフトウェア・ハードウェア能力が組み合わさり、自動学習機能と問題解決システムを備えているので、膨大なデータさえ揃えば、自動運転システムが構築可能なのだ、と陸奇氏は考えている。中国には4億を超える家庭があり、自動車2億台、スマートフォンユーザー11億人、インターネットユーザー7.5億人が次から次へとデータを送信しており、政府による政策支援と相まって、中国はAI分野においてより多様で高速のイノベーションを展開するだろう。

いわゆる「ALL in AI」戦略は百度の次なる目論見であり、検索や手機百度(百度Mobile)のパーソナライズ情報のプッシュや愛奇芸(Iqiyi)の動画エンターテインメントサービスといった現在のコア事業のAI活用による改革革新だ。しかし当然ながら、基幹はやはりDuerOSマンマシンインタラクティブシステムとApollo自動運転システムの二大エコシステムプラットフォームなのである。

プレスカンファレンスにおける陸奇氏によるスピーチの分量から、明らかに彼はApolloに夢中であることがわかる。百度に多数ある事業部の中で、インテリジェントドライビンググループ(IDG)は陸奇氏が自ら先頭に立ちマネージャーを務める唯一の部門で、度秘(Duer)を含むその他の事業部マネージャーはみな陸奇氏に報告を行う。

自動運転が百度にとって非常に重要であると陸奇氏が考える理由について、以前外国雑誌WIREDのインタビューを受けた時にこう説明している。「もし、知識を獲得し、戦略決定を行える、環境にフィットしたデジタル人工知能を開発しようとするなら、自動車システムを開発する必要があります。自動運転システムにおいて、第一の実用化が自動車なのです。」

百度の内部関係者が36氪に伝えたところによると、陸奇氏が加わって以降の明らかな変化はオープンソース化だ。36氪の把握しているところでは、2017年4月上海モーターショーでのApolloオープンソース化の電撃発表は、陸奇氏がショー開幕1~2日前に急遽決断したのだそうだ。

オープンソース化こそがApolloプラットフォームの迅速なイテレーションを促し、デベロッパーを大量流入させるのだと、陸奇氏は考えている。

2017年4月19日、百度は上海モーターショーでProject Apolloを発表し、正式にオープンソース化した。

2017年7月5日、Apolloオープンソース化の詳細なロードマップを示し、Apollo1.0の実力を披露した。

2017年9月20日、障害物感知・運転路線決定・クラウドシミュレーション・高精度かつ広範囲の地図サービス・エンドツーエンドのディープラーニングなど5大コアコンピタンスを含むApollo1.5を公開し、固定車線の昼夜不問の自動運転機能も提供した。

2017年11月16日、百度ワールドコングレスで、Apollo小度車載システム及びApollo Pilotを発表し、奇瑞汽車・金龍客車・北京汽車・江淮汽車などの提携パートナーと共同の量産スケジュールを公表した。

2018年1月8日、CESでApollo2.0をリリースした。

以前のバージョン1.5と比較すると、1月8日に新たにリリースしたApollo2.0は各種モジュールを全面的に公開し、単純な都市道路での自動運転に適し、信号識別や障害物回避が可能だ。

Apolloプラットフォームの研究開発責任者である王京傲氏は、Apollo2.0はより正確かつ迅速な方向転換・障害物回避が可能で、クラウドシミュレーションや運転路線決定などのコンピタンスを向上させたと述べた。カメラとレーダーをベースにしたセンサーソリューションが加わり、Apollo2.0の障害物感知距離はApollo1.5の30mから500m以上へアップし、99%以上の精度を誇る。新たなサービスのもと、シミュレーションスクリーニングのインストール時間は以前の30分から30秒へ短縮した。

百度によると、Apolloのエコシステムパートナーの数は90を超えており、それには自動車及び部品製造の北京汽車・第一汽車(FAW Group)・奇瑞汽車・金龍客車・Robert Bosch・Continental・ZF Friedrichshafen、センサー及びチップ製造のVelodyne・Intel・NVIDIA、サービスプロバイダーのMicrosoft、輸送サービスプロバイダーの首汽約車、自動運転システムプロバイダーの智行者・Momentaなどが含まれている。

陸奇氏はApolloがグローバル化されたシステムになることを望んでおり、そのため現在の海外提携パートナーは全体の30%を占め、それには今回のCESで発表したいくつかの巨大提携も含まれている。Googleの無人運転車の父Sebastian Thrunが創設したUdacityと提携し設置したApollo自動運転のオンラインコースは、百度総裁の張亜勤氏が主導してシンガポールのスマート輸送企業AMIと提携し、Access LAと共に2018年末までロサンゼルスで現地の障害のある人々に自動運転の共有モビリティサービスを試験提供する。

「以前は大学院レベルの机上の空論止まりだったが、Apolloをオープンソース化して以降は多くの自動車メーカーが急に訪ねてくるようになりました。」、と百度インテリジェントドライビンググループマネージャーである李震宇氏述べている。

同じように、マンマシンインタラクティブプラットフォームDuerOSにも注目すべきだ。

百度はCESでDuerOSシステム搭載のインテリジェントハードウェア3機種、小魚在家(Little Fish)VS1スマートスピーカー・Sengledスマートスピーカー内蔵電球・Popin Aladdinスマートプロジェクター内蔵シーリングライトを発表した。

昨年の今時分、百度はやはりCESでDuerOSを発表したが、その時搭載していたハードウェアが前の世代の小魚在家AI音声アシスタントロボットなのだ。

過去を振り返ると、支配的立場にあったハードウェアはいずれも共通して、その当時最も合理的なインタラクティブモデルを抑えていた。例えばAppleのiPhoneはタッチパネルを定義づけ、スマートフォンの覇者となった。AIの波の到来により、音声はより自然なインタラクティブモデルになったのである。

IDC(インターネットデータセンター)の報告書によれば、2020年までにスマートホームの27%が音声認識デバイスを持ち、スマートカーの50%とスマートフォン・スマートウェアラブルデバイスの68%が音声会話機能を持つようになるだろう。

これこそ百度が見定めたチャンスであり、AIプラットフォーム主導のエントリーレベルのインテリジェントハードウェアとして、百度のために低迷し失ったエントリーレベルにおける支配的立場をモバイル時代に取り戻していくだろう。

エントリーレベルを把握・制御するAIプラットフォームの形態どのようなものなのか、百度はCESのプレスカンファレンスにおいて一般家庭ユーザーの生活シーンを述べていった。食卓に座り、スマートスピーカーに今日のニュースや道路状況を尋ね、スマートスピーカーを通じてあらかじめ自動車のエンジンを掛け、お昼にはスピーカーに食事を注文させる……

AIプラットフォームのクオリティは、接続しているスマートハウスの数と情報及びプロバイダーの規模次第だということができる。この1年でDuerOSは高速成長した、と景鯤氏は述べている。提携パートナーレベルでは音声アシスタントをVivo・華為・小米など一流ブランドの携帯電話に送り、TCL・創維とはテレビのカテゴリーで提携し、また音声アシスタントをHarman・SONOS・ハイアール・美的(Midea Group)などのブランドのハードウェア製品に搭載した。

「DuerOSのデバイスのインストールベースは、毎月の前年同期比の成長率が148%で、毎月のアクティブデバイスの前年同期比の成長率は127%です。DuerOSは現在、中国で最もアクティブな会話式AIエコシステムで、デバイスのアライアンス先だけでなく、チップメーカー・システムインテグレーター・コンテンツデベロッパー・デベロッパープラットフォームなどを擁しています。」、と景鯤氏は語った。

昨年1年間、百度と科大訊飛(iFlytek)はAI音声プラットフォームの最大のシェアを基本的に占めており、プラットフォーム競争はスマートスピーカーの市場に対する啓発に伴い徐々に激しくなっている。しかしアクセスする提携パートナー数をプラットフォームが全力で競っているにも関わらず、家電メーカーがコンセプト追求のために大挙して一気にプラットフォームにアクセスすれば、プラットフォームのAI基礎技術とソフト-ハード融合能力がハードウェアを硬直的需要製品にするにはまだ力不足なので、インテリジェントハードウェアは再び2年前のように低迷するのではないかという懸念がIoTにはある。

従って少なくとも現在、本当に重要なのはプラットフォームの提携パートナーの数ではなく、どれだけのハードウェアメーカーと徹底した製品提携・共同研究開発ができるかということなのである。天猫精霊(Tmall Genie)が99元で切り込み、巨大企業のリソースにより大規模に市場展開したのとは異なり、百度の戦法は自ら各カテゴリーで徹底的な提携を模索し、彼らに触手となってもらって自らのために争奪戦を仕掛けさせ、ひとたび大ヒット商品が生まれれば、その勢いに乗じて各カテゴリーのメーカーのアクセスを誘うというものである。

昨年買収した渡鴉(Raven Tech)は現在百度のスピーカーカテゴリーのベンチマークになり、小魚在家はスクリーンデバイスの模索をその課題としている。今回のCES新製品の照明器具及びプロジェクターメーカーの提携先は、いずれもそのカテゴリーの独占企業だ。

百度は、これらのベンチマーク企業を把握したいと考えている。それは、小魚在家の現在のウェイクアップワードが「小度小度」であることからも伺い知ることができる。

他のスマートスピーカーのプラットフォームと比較すると、検索業界出身の百度は自然形成された知識マップを持っていることが強みで、また百度は音楽・動画などのエコシステムのコンテンツリソースも持っている。フロントエンドのインテリジェントハードウェアが大ヒット商品になった場合、百度はエントリーレベルのハードウェアによってバックエンドの愛奇芸・百度音楽・百度クラウドストレージなど百度系の製品とリンクさせ、これまで定着しなかった個人アカウントシステムを活性化させることができるのである。もしかするといつの日か、消費チェーンの最終段階まで広がれば、百度はBAT(百度・アリババ・テンセント)の中で遅れをとっていた金融決済業務でも新たなチャンスを見いだし、クローズドループを形成するかもしれない。

前途は有望ですが、現在はまだ全て始まったばかりである。

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