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スマートフォン製造各社は「5G元年」となる2020年を、出足をくじかれる形で迎えている。新型コロナウィルス流行のあおりを受け、製造現場は操業停止、オフライン販路は狭められた。製造、新製品発表、販売計画もすべて狂った。
しかし新製品発表は各社とも予定通りに敢行している。どのメーカーにとっても今年が重要な1年であることは明らかだ。今年に入りわずか3カ月の間に、シャオミ(Xiaomi)は「Mi 10」「Mi 10 Pro」、OPPOは「Find X2」「Find X2 Pro」、vivoは「NEX 3S」、シャオミのサブブランド Redmiは「K30 Pro」、 ファーウェイは「P40」「P40 Pro」「P40 Pro+」を発表している。
各社の意図は理解に難くない。5Gサービスにとってカギとなる今年中にユーザーを囲い込み、来たる競争に備えて足固めをしたいということだ。
5G初年度の成長は4G初年度の10倍以上の勢いがある。5Gがもたらすチャンスは巨大なのだ。チャンスとリスクが共存する中、中国四大メーカーのファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivoはどのように機会を捉え、どのように危険を回避するのだろうか?
ますます高価格化するフラッグシップ機種
中国国内メーカーが発表する5G対応フラッグシップ機を論じる際、最も大きな話題となるのが「高価格化」だ。かつては低価格帯市場でつばぜり合いを繰り広げた中国メーカーも、今はこぞって高価格のフラッグシップ機を発売するようになった。今年に入って発表された四大メーカーの新機種は最高で8800元(約13万7000円)に迫る値をつけている。
もちろん、価格にはそれなりの理由がある。中国では5Gインフラの敷設が世界に先んじて進んではいるものの、昨年末時点で設置済みの基地局は13万カ所にとどまっている。中国通信大手3社は年内にこれを60万カ所まで増やす予定だ。
「60万カ所の5G基地局」といっても、中国国内に設置された4G基地局の総数が2019年時点で544万カ所というから、まだ4Gには遠く及ばない。つまり、5Gが一般に普及するにはある程度の時間がかかるということだ。普及はまず大都市圏から始まるだろう。現在発表されている5G対応モデルが高価格なのはそれが理由の一つだ。さらに、4G対応機と比べ、5G対応機は部品コストが大幅にかかることも挙げられる。
ライバル少なく利幅は大きい
現在の中国の携帯電話産業やメーカーは世界のインダストリアルチェーンにおける位置付けが、4G普及初期とは違う。
中国四大メーカーは世界的にも無視できないほどの力をつけ、出荷台数でも世界トップクラスを誇るようになった。「コストパフォーマンス」を唯一の武器に長い道のりを歩んできた各社は現在、さらなるステップアップのために高価格帯市場をターゲットとしている。
中国情報通信院(CAICT)のデータによると、中国市場で4000元(約6万1000円)以上の価格をつけたスマートフォンのうち国産ブランドが占める割合は、2016年の5%から18年には33%へ伸びている。中国四大メーカーは中~高価格帯の製品ラインナップをすでに固めており、ファーウェイはPシリーズとMateシリーズ、OPPOはFindシリーズ、vivoはXシリーズおよびNEXシリーズを打ち出している。
世界の高価格帯スマートフォン市場の4分の3はアップルとサムスンが握っている。同市場はそもそも参入するプレイヤーが少なく、利幅も大きい。また市場全体が依然として成長を続けている。その最大の受益者は高価格帯市場の覇者アップルだ。香港の市場調査会社カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチによると、昨年第3四半期、アップルの出荷台数はスマートフォン市場全体の13%に過ぎなかったが、利益は市場全体の66%に上っている。なおサムスンは17%を占め、残りを中国四大メーカーが分け合う形となっている。
一方の低価格帯市場は利幅も狭く、競争も激烈だ。サプライチェーンが成熟したため、雨後の筍のように新たなブランドが誕生し、同質化も深刻になっている。中国四大メーカーがこの競争から抜け出すためには、高価格帯市場に乗り換えるよりほかなかった。
より保険の利く「ダブル戦略」
中国四大メーカーは華々しくフラッグシップモデルを発表し、高価格帯市場への参入を明らかにする一方、実際には各社ともサブブランドを押し出し、中~低価格市場の強化もぬかりなく行っている。VivoのiQOO、シャオミのRedmiなどがそれに当たる。
高価格帯製品でブランド戦略を行い、リーズナブルな中~低価格製品で販売台数を押さえるというダブル戦略が各社共通の選択だ。中~低価格市場という基盤の安定を守り抜くことが最重要戦略であり、この基盤があってこそ存分に高価格帯市場を開拓することができる。
中国四大メーカーが高価格帯市場で成功するには、製品そのものの力が物を言う。競争力があり、イノベーションに富み、ユーザーに新たな体験をもたらせる製品を生み出せるか否かだ。最終的にはメーカーがこれまでに蓄積してきた基盤技術や、長期戦への覚悟が問われることになるだろう。
作者:「深響」(ID:deep-echo)、鴻鍵
(翻訳・愛玉)
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