インドネシアのECユニコーン「Bukalapak」、急成長の秘密は「小店舗による大きなビジネス」

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インドネシアのECユニコーン「Bukalapak」、急成長の秘密は「小店舗による大きなビジネス」

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中国の電子商取引(EC)二大大手アリババと「京東(JD.com)」の陣地をかいくぐるようにして突如現れ出た「拼多多(Pinduoduo)」は、共同購入者を募って購入する形式のソーシャルECで、中国の地方都市の潜在力を十分に証明してみせた。アリババは共同購入サービス「聚劃算(juhuasuan)」を再ローンチ、「百億補貼(1500億円値引きキャンペーン)」と銘打った大規模な値引きキャンペーンで拼多多としのぎを削る。さらに京東も共同購入サービスアプリ「京喜(Jingxi)」をローンチ、地方都市市場で三つ巴の戦いが始まった。

一方、東南アジアではインドネシアで地方戦の火ぶたが切って落とされた。先陣を切ったのは地元のユニコーン「Bukalapak(ブカラパック)」だ。最高戦略責任者(CSO)Teddy Oetomo氏は海外進出も口にする。消費者間取引(C2C)から始まったBukalapakは、大都市圏以外での業務が全体の70%を占める。昨年末時点でアクティブユーザーは7000万人以上、出店数は400万店以上だ。

インドネシアではEC企業が林立しているように見えるが、大手は東南アジア全体を席巻しているシンガポールの「Shopee(ショッピー)」とアリババ傘下の同「Lazada(ラザダ)」、インドネシアのECランキングで常にBukalapakの前を走る「Tokopedia(トコペディア)」だ。京東がインドネシア事業のために立ち上げた「JD.ID」も先月、評価額10億ドル(約1100億円)を超え、インドネシアで6番目のユニコーン企業となっている。

BukalapakのユーザーはShopeeやLazadaとは15%しか重複しておらず、熾烈な競争になるとは考えていない、とOetomo氏は語る。

Bukalapakには独自のターゲットがあるのだ。同社のモットーは、「小さな店による大きなビジネス」だ。 家族経営のパパママストアを通して、広大な農村地域に散在する、電子決済に通じていないユーザーを獲得する。

インドネシアの5人に3人は非都市部(農村部)に住んでいるといわれる。こうした人々は普段、大型スーパーではなく近所の雑貨店や売店で物を買う。インドネシアでは小売業全体に占めるECの割合は4%未満だ。現金払いがほとんどで、銀行口座を持っている人は40%以下、クレジットカード普及率は3%に満たないというデータもある。

Bukalapakが取り組むのはECビジネスだけではない。こうした小規模店の売り手と買い手の利便性を促進する一連のフィンテック業務も立ち上げている。今ではBukalapakを通じてキャッシングやクレジットカード申請、金取引さえできるのだ。Bukalapakの株主にはアリババ傘下のフィンテック大手「アント・フィナンシャル(螞蟻金服)」も名を連ねており、その手引きを享受しているのかもしれない。

地方都市市場、金融サービス、これは中国のEC大手が掘り起こしてきた道だ。ただアリババや京東が配送システムまで自社構築するのに対し、1万7000以上の島が点在するインドネシアで展開するBukalapakは、各地の配送業者と提携している点が異なり、その提携先は16社に及ぶ。

現在、Bukalapakは10事業以上で収益を得ており、昨年の総利益は前年比300%増だったという。

小さな店で大きなビジネス

Bukalapakが2018年にインドネシアのユニコーンになれたのは「Mitra Bukalapak」戦略が功を奏したと思われる。

Mitraとはインドネシア語で「提携者」という意味で、Mitra Bukalapakはネット環境のないユーザーを取り込むために作られた専用アプリだ。2017年後半から、農村地帯に散在する売店やパパママストアなどを販売網のメンバーに加え、Mitra Bukalpak戦略を立ち上げている。

メンバーは現金取引しかできない顧客に替わってBukalapakのプラットホームに接続し、通話料のチャージや列車の乗車券購入などができる。1つの取引が完了するたびに、店主はBukalapakから手数料を受け取る仕組みだ。

Mitra Bukalapakは商品の仕入れにも使える。アプリを経由すれば何層も重なる中間業者にマージンを取られずに済み、インスタントラーメンやタバコなどの消耗品も、大幅な低価格で仕入れができる。午前中に注文して当日夜までに納品がない場合は、返品も可能だ。

電子決済を地方にも浸透させるべく、Bukalapakはeウォレットを利用する店主に対してインセンティブを付与している。各店舗が電子決済を請け負うことにより、電子決済ができない顧客でも加盟店舗に来ればオンラインショッピングを楽しめるのだ。

こうした取り組みはユーザーに利便性をもたらし、Bukalapakの地方進出をも加速させる。CSOのOetomo氏によれば、Bukalapakには現在350万のパートナーがいる。インドネシアで最大の銀行でさえ支店数1万、ATM設置数4万程度であることと比較すると、相当の数字だ。

「成功は、最も単純なビジネスロジックに基づいている。市場を理解し、消費者のニーズを了解し、彼らにソリューションを提供すればいい」。

Bukalapakは現在、地元のユーザーにとって安く大量に買い物ができる拠点になっている。

ECの成長にはフィンテックが不可欠

Bukalapakは中国の大手EC企業を模して、EC事業からフィンテック事業を派生させた。もちろん、中国最大手の決済プラットフォーム「支付宝(Alipay)」が単純な支払いツールからフィンテックプラットフォーム、さらにデジタルライフサービスプラットフォームへと進化していったことに比べれば、Bukalapakはまだ支払いツールという最初のステージから一歩踏み出したばかりに過ぎない。

金融分野は初心者のBukalapakにとって、第三者との提携は最善の解決策である。営業許可証の審査に時間のかかるインドネシア中央銀行に業を煮やしたブカラパックは、自前でデジタルウォレットをローンチすることは断念し、インドネシア地元の電子決済会社「DANA」と共同で電子決済システム「Buka DANA」を始動した。

零細店舗をサポートするアリペイと同様、Bukalapakは「Investree」「Modalku」「KoinWorks」などのP2Pレンディング企業と提携し、事業拡大を目指すMitra Bukalapakのメンバー店へ融資する「BukaModal」サービスを開始した。融資額は70~700ドル(約7500~7万5000円)の少額で返済期間は 6カ月、最低毎週6ドル(約650円)ずつ返済していけば良い。サービスの狙いはインドネシアにある無数の零細企業を中規模企業へと成長させることだ。

買い手に対しては、分割払い用アプリを開発する「Akulaku」と共同で分割決済業務を開始し、買い物の利便性を高めている。さらにシンガポールのインシュアテック大手「Axinan」と提携し、同サイトで販売する電化製品の運送保険を提供する。

Bukalapakにとってのフィンテック業務は、プラットフォームの活用シーンを広げ、収益化を進め、ユーザーの定着率を高める手段である。さらに金取引、ミューチュアルファンド、クレジットカード申請業務などにも手を広げ、これらの事業が新たなユーザーを呼び込んでくれると期待している。昨年第3四半期にフィンテックの地場企業「Cermati」と共同でオンライン・クレジットカード申請サービスを開始した時には、新規客5000人増を見込んだという。

Oetomo氏は、インドネシアでのBukalapakの成功は、適切なタイミングで適切なパートナーと提携し、適切に戦った結果であると分析する。

東南アジア戦および中東進出

過去1年、Bukalapakが歩んできた道は決して平坦ではなかった。

東南アジアのEC市場を巡っては、シンガポール発のShopeeとLazadaが絶対優位を確立している。アリババが株主になっているイTokopediaもBukalapakと類似したサービスを展開しており、電子決済のユニコーン「OVO」と提携してOVOの生態圏を利用した一連のフィンテックサービスをローンチした。

TokopediaとBukalapakが合併するとの噂もあったが、その後はうやむやになっている。Bukalapakには海外進出というもっと大きな野望がある。海外向けプラットフォーム「BukaGlobal」を通じてシンガポール、マレーシア、ブルネイ、香港、台湾の人々がインドネシアの商品を簡単に購入できるようにした。次に目指すのはイスラム教徒が多くいる中東だ。

インドネシアは世界最多のイスラム教徒を擁するが、Global Islamic Economy Indicator(世界イスラム経済指標)ランキングでは、マレーシアやアラブ首長国連邦よりも下の第10位だ。インドネシアのシャリア金融国家委員会(KNKS)は昨年、eコマースとフィンテックを筆頭とするデジタル経済の発展を目玉に据えた5カ年計画を発表している。

Oetomo氏は、中東での具体的な戦略については多くを語らなかった。ただ、東南アジアであれ中東であれ、勝つのは容易ではない。
(翻訳・永野倫子)

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