バイトダンス、AI英会話教育アプリをリリース 急成長の中国オンライン教育市場奪う

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バイトダンス、AI英会話教育アプリをリリース 急成長の中国オンライン教育市場奪う

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ショート動画投稿アプリ「抖音(Douyin、海外ではTikTok)」で知られるバイトダンス(字節跳動)が幼児向けAI英会話教育アプリ「瓜瓜竜英語(Guagualong English)」をローンチした。

アプリストアで公開されている情報では、瓜瓜竜英語の開発者は「北京未来志学教育技術(Beijing Future Smart Learning Technology)」とされているが、中国企業情報サイト「企査査」は同社の法定代表者がバイトダンスUED(User Experience Design)部門の責任者、丁華勇氏であることを明らかにしている。

バイトダンスは教育分野への参入を積極的に進めており、「清北網校(Qingbei)」「極課大数拠(FCLASSROOM)」「開言英語(OpenLanguage)」などの教育系アプリの運営会社と資本業務提携を行っている。業界関係者によると、同社は20種以上の教育アプリの自社開発も進めており、法人向けにスマートデスクライトや教育用ロボットを開発する一方、一般ユーザー向けに就学前の幼児やK12(幼稚園年長から高校卒業までの13年間)の生徒、職業教育などに向けて、「独白背単詞」や「好好学習」などをローンチしている。

バイトダンス傘下のニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」がこれまでローンチしてきた教育アプリは成人やK12向けが中心で、幼児向けアプリは瓜瓜竜英語が初めてだ。瓜瓜竜英語を実際に使ってみると、同商品はオンライン学習サービス「猿輔導(Yuanfudao)」の英語・算数学習アプリ「斑馬AI課」をベンチマークにしているように感じられる。

ここまで断言できるのは、瓜瓜竜英語が商品形態から使用プロセス、価格設定まで斑馬AI課とそっくりだからだ。両者とも人工知能(AI)による対話型レッスンと教員による発音指導を組み合わせており、レッスン内容には単語、ロールプレイ、シャドーイング、練習問題、レポート提出などが含まれる。価格は両社ともに月額289元(約4400円)。1年契約の場合も斑馬AI課がクラス登録時割引で2600 元(約4万円)、瓜瓜竜英語が2680元(約4万1000円)で、ほぼ同額である。

斑馬AI課の公式サイトより

猿輔導はこのほど、10億ドル(約1100億円)の資金調達を完了したが、その際に李勇CEOは内部書簡で、斑馬AI課には正規価格での長期受講者が50万人いると述べている。斑馬AI課の3月単月の売上高は3億元(約46億円)を超え、うち英語カテゴリーは1億5000万元(約23億円)以上だった。教育業界に根を下ろそうとしているバイトダンスが注目するのも当然だろう。

猿輔導関係者も、バイトダンスが教育業界で最大のライバルになる可能性があるとしている。その理由としてアクセス数、技術、資金に加え、教育業界参入への揺るぎない決意まで併せ持つ企業は少ないことを挙げている。

バイトダンスからすれば、商品のコピー自体は難しくない。たとえ今日頭条が今まで2歳から8歳の子どもをユーザー対象にしたことがなく、子どもの声での音声検索、評価システム、ナレッジグラフをゼロから立ち上げる必要があるとしてもだ。議論すべきポイントは、瓜瓜竜英語にチャンスがあるかどうかだ。

考えられるチャンスは幼児教育だ。幼児教育はK12よりも業界トップへの集中度が弱いため、後発者にもまだチャンスが残されている可能性がある。

ただ、トップブランドの斑馬AI課はすでに2年半運営され、50万人の正規価格ユーザーを抱えている。AIを活用した教育アプリの開発に最適な時期はとっくに過ぎている。「藍象資本(Blue Elephant Capital)」の投資副総裁、邱彦峰氏は「幼児教育に参入するのは簡単だが、規模を大きくするとなるとハードルはぐんと上がる」と述べている。

幼児教育に進出するメリットを挙げるとすれば、幼稚園児や低学年児童のユーザーを囲い込めば、他の科目や商品へ誘導することが容易になり、K12対象のオンライン塾への誘導やマンツーマンレッスンの顧客獲得コストを削減できる可能性もある点だろう。

実際、瓜瓜竜はつい最近、英語アプリ瓜瓜竜英語に続いて幼児向け算数アプリ「瓜瓜竜思惟」もローンチした。

前述の藍象資本の邱氏は、瓜瓜竜の商品以外に「今日頭条の教育方針にも好奇心をそそられる」と語る。今日頭条は今のところ他社商品の模倣ばかりをしているが、「今日頭条はこのやり方を続けるのではなく、独自の教育イノベーションを見つけ出すべきだ」という。

バイトダンスの張一鳴CEOはかつて「教育事業にはもっと根本的なイノベーションが必要だ。もちろん、私たちが認識をより深めることが前提だが」と述べていた。教育分野で実績のないバイトダンスが、投資と他社の模倣から教育業界への参入を始めるとしても驚くにはあたらない。バイトダンスには教育分野に精力と根気を費やす意欲があり、イノベーションをもたらす可能性もあるため、長期的に観察する価値は充分にある。
(翻訳・永野倫子)

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