送配電線の保守点検にドローンと画像認識を活用、不具合検知精度80%以上

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送配電線の保守点検にドローンと画像認識を活用、不具合検知精度80%以上

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送配電線の点検に関するAI技術を手掛ける「南京土星信息科技(Nanjing Saturn Information Technology)(以下「土星科技」)」がこのほど、プレシリーズAで1000万元(約1億5000万円)以上の資金を調達したことがわかった。「邦盛資本(Bondshine Capital)」がリード・インベスターをつとめ「凱風創投(Co-Win Ventures)」がコ・インベスターとなった。土星科技は送配電線に関連するAIソリューションを提供しており、不具合を高精度で検知できる。同社は昨年4月にも凱風創投からエンジェルラウンドで資金を調達している。

送配電線の点検とメンテナンスは大手電力企業にとって重要な業務の一つだ。従来の点検・メンテナンス作業には以下のような問題があった。まず中国の送配電網は規模が大きく、作業員が点検を行うには仕事量が多くて負担が大きく、コストもかさんでいた。また送配電網の多くは山奥など人里離れたところにあり、悪天候に見舞われた場合、長距離にわたる大規模な点検作業には多くの危険がともなう。そして従来の点検方法では大量の画像から目視で数十~百種類にのぼる問題を読み取る必要があり、大きなタイムラグが発生するほか、多くの異常を見落とす危険性もあった。

土星科技は2017年の設立以来、上記の問題の解決のため尽力している。同社は電力企業にアルゴリズム、ソフトウエアプラットフォーム、データ分析、スマート検査デバイスからスマート端末までの一連の設備、ソフトウエア・ハードウエアが一体になったソリューションを提供。AIによる送配電網の異常モニタリングや電力会社従業員の行動に対するスマート分析、送配電網のスマートセキュリティモニタリングなどを実現している。

同社のソリューションは大きく2種類に分けられる。一つ目は送配電線のセキュリティ問題に対するソリューションで、高電圧線の鉄塔にあるカメラが撮影した画像の視覚認識と分析を通して送配電網の可視化を実現。24時間周辺環境をモニタリングし、異常があれば適宜警告を発する。

二つ目は鉄塔の欠陥に対するソリューションだ。ドローンの巡回で撮影した写真をクラウドサーバーにアップロードし、サーバーで視覚認識およびデータ分析をする。目視で写真を識別していた従来の精度が70%であるのに対し、同社のAIスマートアルゴリズムでは80%以上の精度を実現。問題になっていた割りピンの脱落も検知できる。

上述のAIソリューションの中核は視覚認識とAIアルゴリズム分析の精度だ。画像が大きく、対象は小さく、ノイズも多い。ピンやケーブル、ナット、碍子(がいし)など識別の対象は小さいが、安全上非常に重要な部品を識別するには高度のアルゴリズムが必要とされる。そのため十分なデータ量で訓練する必要があるが、セキュリティや無人運転などの分野とは異なり、送配電網に関連する有効なデータは多くない。

同社の創業者である陳双輝氏によると、土星科技は設立以来、電力部門やドローン開発企業と提携しており、データに関しては先発優位性がある。業務が成熟してから特別に構築したディープニューラルネットワークとAIソリューションはすでに商業利用が可能だという。

現時点で同社のソリューションは多くの電力関連企業やドローン企業に採用されている。同社の共同創業者である張飛飛博士によると、顧客からのフィードバックで不具合検知の識別精度が50%以上ならば実用化できるという。しかし多くのメーカーの小さい金具に対する問題検知の精度は20~30%にとどまっている。このような状況下で同社の製品が安定して80%以上の精度を発揮できる強みは大きい。

同社は今年下半期、コンピューティング能力を持つカメラと性能をアップグレードした不具合検知デバイスをリリースし、送配電網の安全管理という新しい分野に参入する計画だ。

(翻訳・山口幸子)

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