高級生鮮食品スーパーの「T11」が数十億円を調達、多業態展開でニューリテール戦略を推進

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ニューリテールを推し進める新興生鮮食品スーパーマーケット「T11」が、シリーズAで「和玉資本(MSA Capital)」から数千万ドル(数十億円)を調達した。同社創業者兼CEOの杜勇氏によれば、資金は店舗ネットワークの構築、サプライチェーンと物流開発の強化、リテールテクノロジーの研究開発などに充てられるという。

2018年に設立されたT11は、中国一級都市での消費のアップグレードに対応すべく、世界の厳選された食品を販売する。T11は設立後間もなくエンジェルラウンドで1億元(約15億円)を調達している。リードインベスターは「光大控股(EverBright)新経済基金」と「IDG資本」、コ・インベスターは「国美資本(GOME Capital)」「遠望資本(iVision Ventures)」「壹叁創投(Yisan Venture Capital)」が務めた。

杜氏によれば、現在、T11の業務は大きく以下の3つに分けられる。

(1)分散型ECネットワーク:T11店舗やアプリ、ミニプログラムを通して、世界各国のこだわり食材を提供する

(2)サプライチェーンの最適化:生鮮スーパー業界におけるトップ争いでT11の競争力を強化する

(3)リテールテクノロジーの研究開発:業務のデータ化並びにモデルの継続的な最適化により、高効率でインテリジェント化された小売販売を目指す

ワンランク上を満喫できる北京1号店、会員は15万人

T11は2019年に北京朝陽公園前に1号店をオープンさせた。15万人近い会員は店舗から半径3 km以内に集中しており、客単価は180元(約2700円)以上だ。世界中から集めたこだわり食材をSKUにして約7000種類販売し、そのうち生鮮食品が65%以上を占めている。

売場面積が同じくらいのスーパーでは、SKUは倍の1万4000種くらい扱っているものなのだが、T11は食材を厳選しており、商品の入れ替えを頻繁に行っているという。春夏、秋冬の2シーズンで全体を入れ替えるほか、毎月更新している商品もある。

「まず考えなければならないのは、創成期は集客に相当力を入れなければならず、新規顧客にアプリ登録してもらうことがユーザーエクスペリエンスに影響する点だ。ミニプログラムによるプロモーションで速やかに認知度を上げ、それからアプリで会員を繋ぎ止め、きめ細かなサービス提供に生かしていく」と杜氏は語る。

T11アプリは「ネット通販と実店舗販売」「計画購買と衝動買い(非計画購買)」「ショートコンテンツと商品棚」「イートインとテイクアウト」など生鮮食品スーパーに関わる多くのシーンを統合しており、いわばワンランク上の生活パビリオン、飲食体験のショッピングモールとなっているのだ。

T11の生鮮魚介類コーナー

杜氏によれば、T11は世界各地から厳選してきたこだわりの青果、精肉、鮮魚などの食材を販売するだけでなく、こうした食材を使った惣菜や食事をも提供しており、新しい都市住民の「見たものをすぐ買いたい」という消費ニーズに対応しているのだという。しかもメニューは3カ月ごとに大幅見直すので、今のメニューの90%は、コロナ禍収束後に一新させたものだというのだ。

リテール界の製品会社として業態を広げていきたい

杜氏によるとT11の経営プロジェクトは現状すべて自前で行っており、「我々は自らをリテール界の製品会社と位置付けている」と語る。細分化した各カテゴリーにおいて、その分野で最高の企業をベンチマークとし、製品に磨きをかけ、経営管理と品質基準で小売業界の限界に挑戦するというのだ。

T11は、小売オペレーティングシステム「S11」も自社開発している。このシステムは60以上のサブシステムから成り、2019年半ばから運用しているという。「S11は、徹底的に無駄を省いた方式により生鮮EC、プロセス、自社開発のすべてをカバーできる」と研究開発チームは紹介する。

さらに、T11が自社開発した「普恵(一般に行きわたる恩恵)小売ソリューション」はPaaS(Platform as a Service)とSaaS(Software as a Service)の両方で提供され、リテールテクノロジーの製品研究開発を支援し、システム、決済、マーケティング、運営、サプライチェーン、倉庫保管、配送などの統合デジタルソリューションを小売業者に提供するということだ。

オンラインでの売上高が全体に占める割合は当初10%ほどだったが、今では約35%にまで伸びており、今まさに急速な成長期にある。杜氏は、今後オンライン業務の開拓にいっそう力を入れるので、この割合は今年末には40%に達すると見込んでいる。

T11は地域密着も進めている。2019年末にはT11のミニ版「T便利(Tコンビニ)」1号店をオープンした。杜氏は、Tコンビニは独立したコンビニチェーンではなく、むしろ、スーパーマーケットの商圏拡張、サプライチェーンの有効活用が目的だと述べる。コンビニという小さな業態を消費者の近くに置きつつ、スーパーマーケットという大きな業態をバックに付けることで在庫管理に融通を利かせ、サプライチェーン全体の効率を向上させるのだ。

さらに、若い女性を主なターゲットにした化粧品体験店舗も近々テストオープンする予定だという。今後は飲食店などの新しい業態の模索も進めていくとのこと。しかしながら、杜氏は、T11の事業拡大の軸足はスーパーマーケットであると強調する。T11は朝陽、海淀などの主要商圏で多くの店舗で準備が進められており、今年中に北京で1号店と同じスーパーマーケットを5〜7店オープンする計画だという。
(翻訳・永野倫子)

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