新型コロナのワクチン開発、中国企業に好機 カナダで治験開始の企業も

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新型コロナウイルスのワクチン開発に関する明るいニュースが続いている。

米バイオテクノロジー企業「モデルナ」は18日、新型コロナウイルスのワクチン「mRNA-1273」の第Ⅰ相治験を行い、前向きな結果が得られたと発表した。被験者全員にウイルスの感染を防ぐ中和抗体が確認できたとしており、治験は順調に第II相へ移るという。

同日、中国のワクチンメーカー「康希諾生物(CanSino Biologics)」からも新たな進展が伝えられた。カナダ当局から治験許可が下り、組み換えウイルスベクター・ワクチン(アデノウイルス5型)の臨床試験に入るという。

モデルナと康希諾の開発スピードは甲乙つけがたい状態だ。また世界的学術誌サイエンスでも中国の研究チームが存在感を見せている。首都医科大学、中国科学院微生物研究所、中国科学院天津工業生物技術研究所、深圳市第三人民医院の研究者らが新型コロナウイルスの感染を阻止する2種類のヒト化モノクローナル抗体を発見し、抗ウイルス薬やワクチンの開発に活用できる可能性があると発表している。サイエンスに掲載されたということは、この発見が高い評価を得たことを意味する。中国系のバイオ企業にとっては一気に世界へ躍り出るチャンスだ。

四大メーカーの寡占市場に中国企業は食い込めるか?

新型コロナウイルスのような突発的な事態と対峙した際、大切になるのはスピード感だ。

現在、全世界で100件以上の新型コロナウイルスのワクチン関連プロジェクトが進行中で、そのうち8件が治験段階に入っている。この8つのプロジェクトのうち、4つは中国の研究チームによるものだ。中国軍事科学院軍事医学研究院の陳薇院士と康希諾による組み換えウイルスベクター・ワクチン(アデノウイルス)の共同開発チーム、バイオ医薬企業「科興中維生物技術(SinoVac Biotech)」、国有医薬品メーカー・中国国薬集団(Sinopharm)傘下の二機関「武漢生物制品研究所」および「北京生物制品研究所」による三つの不活化ワクチンの開発チームだ。

現状では世界のワクチン市場を技術的にけん引しているのは多くが欧米の機関だ。

欧米はワクチン接種への意識が高く、市場シェアの60%以上を占めている。一方の中国はいまだ新興市場で、ワクチンの種類や接種率で全体的に後れており、市場には大きな伸びしろがある。

ワクチンのグローバル市場はこれまで英グラクソ・スミスクライン、仏サノフィパスツール、米メルク・アンド・カンパニー、米ファイザーの四大大手の寡占状態で、四社で90%以上のシェアを握ってきた。しかしこの5年、中国系企業も技術力を爆発的に高めてきている。

2024年の世界のワクチン市場におけるシェア予測

(資料提供:World Preview 2018、Outlook to 2024 画像提供:高特佳投資集団公式サイト)

100年に一度の好機

通常ならば四大メーカーが幅を利かせる市場で新興企業がチャンスをつかむことは難しい。ワクチンは開発から後期臨床試験に至るまで数億ドル(数百億円)単位の多額の資金を必要とする。大手製薬会社であればこれを実現する資金力があるうえ、専門チームが製品化に当たるため、迅速に製造体制を整え、世界の市場を独占できる。

新型コロナウイルスの感染爆発を機に一気に膨らんだ世界的需要は、中国系メーカーにとって100年に一度あるかないかの頭角を現せる機会かもしれない。

ワクチンの開発には「時間がかかる」「お金がかかる」「成功率が低い」という三つの難関がある。医薬品業界では、ワクチンの開発には「20年、20億ドルかかる」という通説もある。

時間的コストについては、可能な限り早期に感染拡大を食い止めるために行政機関が開発期間を短縮できるよう尽力している。通常の医薬品と比較して短期間で実用化できるよう、治験の対象者を減らしたり、コンパッショネート使用(生命に関わる状況にある患者に例外的に未承認薬を投与すること)を認めたり、認可までのスピードを速めたり、条件付き認可を行ったりする。

中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は3月、医薬品登録や製造に関する新たな管理法を公布し、感染症の予防に明らかな効果を示し、なおかつ急激な需要増に応えられるワクチンの申請は優先的に審査に入るとした。無論、新型コロナウイルスのワクチンも含まれる。

中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)の高福主任は、中国国内で感染爆発の第二波が現われた場合、臨床試験の第II~III相にあるワクチンを、医療人員などに対し緊急使用する可能性もあるとしている。米食品医薬品局(FDA)も今月初め、抗ウイルス薬のレムデシビルを新型コロナウイルスの重症患者に対して緊急使用する許可を下している。

研究開発コストについては、具体的な公開データはないものの、CEPI (感染症流行対策イノベーション連合)の調査データからその一端が分かる。CEPIは新型コロナウイルスのワクチン開発を目指す8プロジェクトに出資しており、2021年までに少なくとも三つのワクチンの実用化申請に漕ぎつけようとしている。そのCEPIの試算では、上記の目標達成には20億ドル(約2100億円)の資金が必要だ。

データソース:WHO、広発証券発展研究中心

ワクチンは一旦開発に成功し、市場に流通するようになれば比較的早期にキャッシュフローが生まれ、年ごとに売り上げを上げられるようになる。現在世界で最も売れているワクチン、例えばファイザーの肺炎球菌ワクチン「プレベナー13」は年間売上高50億ドル(約5400億円)、メルク・アンド・カンパニーの子宮頸がん(HPV)ワクチン「ガーダシル」は年間25億ドル(約2700億円)、サノフィパスツールのインフルエンザワクチンは年間20億ドル(約2100億円)に迫る。

ワクチンは技術革新のペースが緩やかで、ライフサイクルが長く、市場競争も少なく、商用化価値の高い製品として投資家からの評価も高い。新型コロナウイルスのワクチンは伸びしろの大きい市場で、巨大な需要があり、中国産ワクチンにもビッグチャンスをもたらす可能性がある。
(翻訳・愛玉)

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