中国CATL、 テスラと車載電池の新技術を共同開発 海外事業でも提携強化へ

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中国車載電池最大手の「寧徳時代新能源科技(CATL)」(以下、寧徳時代)は米電気自動車(EV)大手テスラにリチウムイオン電池の供給を始め、テスラの「パートナーの輪」の新メンバーとなった。

寧徳時代は5月11日、2019年度業績説明会をオンラインで開催。同社の曽毓群董事長をはじめ幹部多数が、電池技術に関する今後の方針やテスラとの提携の詳細などについて、投資家からの質問に回答した。

寧徳時代は今年2月、テスラとリチウムイオン電池供給に関する提携を結んでいる。テスラが調達するのはリチウムイオンだけなのかとの質問を受け、寧徳時代の副総経理兼董事長秘書、蒋理氏は、契約期間は2020年7月1日から22年6月30日までで、供給する製品はリン酸鉄リチウム(LFP)電池や三元系(NMC)電池に限らず、具体的な供給状況はテスラの需要に基づいて決まると述べた。

蒋氏はまた、テスラと寧徳時代の提携事業は中国国内にとどまらず、テスラの独ベルリン工場でも寧徳時代の電池が使われる可能性を示唆し、投資家を沸き立たせた。テスラが現在ベルリンで建設中のメガファクトリーでは、主に電池やバッテリーパック、パワートレインを供給し、将来的にはSUV(多目的スポーツ車)タイプの「Model Y」を生産する可能性もある。一方、寧徳時代も初の海外工場を独チューリンゲンで建設中だ。

韓国のバッテリー業界専門市場調査機関「SNE Research」のリポートによると、寧徳時代の駆動用バッテリーの出荷量は今年4月末時点では依然として中国でも全世界でも第1位で、中国市場におけるシェアは51%を超えていた。だが5月7日には世界出荷量で韓国LG化学(LG Chem)に抜かれ、市場シェアは昨年同期の23.4%から17.4%に下落している。

「テスラにも電池を自社開発する計画がある。これにより、寧徳時代はさらなる打撃を受ける可能性があるのではないだろうか」との問いに対し、曽氏は「マスク氏からはテスラが電池を自社開発するつもりだと聞いている。私はテスラの技術開発の方針が当社に影響を及ぼすとは考えていない。より良い電池の開発を共同で模索していくつもりだ」と表明した。

台湾の企業が全固体電池を量産化したことについても、曽氏は「全固体電池は本来、リチウム金属を負極とする必要がある。また、そうしなければエネルギー密度を向上させることはできない。自動車部品の安全基準を満たす全固体電池のエネルギー密度は、まだリチウムイオン電池に及ばない。台湾の企業はさらに努力し、当社が現在開発を進めている全固体電池の良き競争相手を作ってほしい」と自信を見せた。

テスラは5月下旬に開催するイベント「バッテリーデー」で、コバルトを使用しない電池を発表すると予告している。また、この電池がエネルギー密度の低いリン酸鉄リチウムイオン電池ではないことも明らかにしている。これを受け、一部の投資家が寧徳時代の技術的蓄積に不安感を示したことに対し、曽氏は「当社にはコバルト不使用の電池に関する技術的蓄積がある。開発は現在順調に進んでおり、サプライチェーンを構築する方法を検討しているところだ」と明言した。

注目すべきなのは、寧徳時代が2019年通年で株主が納得できるような財務報告を上げられたことだ。通年の売上高は前年比54.63%増の457億8000万元(約6870億円)、純利益は同34.64%増の45億6000万元(約684億円)だった。また、中国の新エネルギー車全体の売上高が2.3%減、純利益が4%減となった一方で、同社の動力電池生産能力は90.04%増加した。

バッテリーデーに先立つ5月15日、曽氏の発言を後押しするようなニュースをロイターが報じた。テスラはバッテリーデーの席上、新たなバッテリーシステム「100万マイル」の開発を寧徳時代と共同で進め、中国で生産される「Model 3」に先行導入することを発表する見通しだという。

テスラが発明した電極技術により、新たなバッテリーは走行距離100万マイル(約160万キロ)の使用に耐えることができる上、コストも1キロワットあたり100ドル(約108円)以下と低いため、テスラはEVの価格をガソリン車より低く抑えることが可能になる。(翻訳・田村広子)

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