ビリビリ動画など ゲームライブ配信に注力 先行する「虎牙」「闘魚」の2強に脅威

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ゲーム実況配信プラットフォームの「虎牙(HUYA)」と「闘魚(DOUYU)」が過去2年間にともに上場を果たしたため、中国のゲームライブ配信業界ではこの2社による寡占状態が暫く続くと見られていた。2020年第1四半期までの業績を見る限り、虎牙は10四半期連続の黒字、闘魚は5四半期連続の黒字と2社ともに好調である。

しかし、ショート動画プラットフォームの「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」とサブカルコンテンツに強い動画サイト「ビリビリ動画(bilibili)」の参入により、ゲームライブ配信の競争に変化が見られた。新規参入の両者はゲーム動画でユーザーを獲得し、巨額な予算を投下している。ゲームライブ配信で先行する2社は一刻も気を緩めることができない状態だ。

猛追する新規参入者

2019年11月、快手はDAU(日間アクティブユーザー数)1億強のうち、ゲームライブ配信動画を視聴しているユーザーが5100万人、ゲーム関連のショート動画を視聴しているユーザーが7700万人に達したと発表した。

ビリビリ動画はゲームライブ配信を強化しようと、8億元(約120億円)で人気ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の今後3年間の世界大会決勝戦の中国エリア独占配信権を取得した。さらにEスポーツ動画のMCN(マルチチャンネルネットワーク)として有名な「大鵝文化」社の元CEO王宇陽氏、元COO王智開氏を自社のライブ配信事業部に招聘した。

こうした動向を受け、虎牙と闘魚の業績発表会の場では、アナリストが快手とビリビリ動画について質問することが頻繁になってきた。これに対し虎牙と闘魚はともに、ゲームライブ配信業界の構造は変わっておらず、むしろ新規参入者によって注目度とトラフィックが増え、業界全体の市場規模がさらに拡大したとの認識を示している。

快手とビリビリ動画が持つライブ配信以外の通常の動画コンテンツは、より視聴しやすいよう編集されているため、ゲームのライトユーザーにとって親しみやすく、その意味では確かに市場規模を拡大させる効果が期待できる。しかし、そうだとしても、虎牙と闘魚は安泰なのだろうか。

Bilibiliのゲーム実況

先行する企業の悩み

虎牙と闘魚には、ユーザー獲得と配信者の確保両面で課題が生じている。

インターネット調査会社の「艾瑞数拠(iResearch)」によると、中国のゲームライブ配信の視聴者は2019年時点で約2.92億人だ。快手の2019年11月時点のゲームライブ配信の視聴者が5100万人であるため、すでに17%のシェアを占めていることになる。

ユーザー数で強いのはビリビリ動画も同じだ。2020年第1四半期、ビリビリ動画のMAU(月間アクティブユーザー数)は前年同期比70%増の1.72億人となり、年間目標の1.8億人に迫る勢いである。そのなかには、ゲームライブ配信の新規視聴者も相当数含まれているだろう。

一方の虎牙と闘魚を見ると、2社ともゲームのヘビーユーザーがメインターゲットなため、MAUの伸びが鈍化している。今年の第1四半期、闘魚のMAUは1.58億人と、前年同期比で1%減少した。虎牙のMAUは1.51億人と前年同期比で22%増えたが、伸び率は4四半期連続の鈍化となった。

虎牙と闘魚の財務レポートをもとに36Krが画像を作成(2020年5月29日時点)

配信者やマネジメント会社を囲い込むための競争も激化している。虎牙と闘魚はライブ配信の売り上げの約50%を配信のマネジメント会社に分配しているが、快手は60%である。ビリビリ動画は固定配分に加え歩合配分制を採用しており、分配率は最高で70%に達する。

ライブ配信専門の調査会社「小葫蘆(xiaohulu)」の集計によると、2020年4月時点で、快手のアクティブ配信者は182万人であり、虎牙と闘魚の合計よりも多い。ビリビリ動画のアクティブ配信者は42万人で、現在も急速に増えている。

小葫蘆のデータをもとに36Krが画像を作成(2020年5月29日時点)
小葫蘆のデータをもとに36Krが画像を作成(2020年5月29日時点)

虎牙と闘魚は配信者、マネジメント会社との付き合いにおいて一日の長があり、これまで安定した協力関係を築いてきた。たとえば闘魚は第1四半期の業績発表会において、人気ランキングトップ100の配信者と3〜5年の長期契約を結んだと発表し、新規参入者の影響はそれほど大きくないことを強調した。

しかし、快手とビリビリ動画がこの分野の産業全体へ投資を広げていることは脅威である。この2社はヘビーユーザーを獲得しようと、Eスポーツ大会を主催したり、Eスポーツチームを新設したりしている。こうした投資が数年続けば、業界の地殻変動が起きる可能性がある。

黒字が続いている虎牙と闘魚だが、まだまだ一息つくことができない状態である。ゲームライブ配信の競争は、これから佳境に入るだろう。

(翻訳:小六)

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