音声配信市場にテンセント・バイトダンスなど参入相次ぐ コンテンツ開発が鍵に

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音声配信市場にテンセント・バイトダンスなど参入相次ぐ コンテンツ開発が鍵に

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中国音声配信市場に、インターネット大手が参入し始めた。

4月23日、「騰訊音楽娯楽(テンセントミュージック、以下「TME」)」が戦略発表会を開催し、 「酷我暢聴」というアプリを発表した。このアプリではポッドキャスト、オーディオブック、ライブ配信などが利用できる。

「字節跳動(Bytedance、バイトダンス)」も音声配信にビジネスチャンスを見出し、「番茄暢聴」というアプリをローンチ。このアプリはバイトダンス傘下の小説サイト「番茄小説(www.fqxsw.cc)」の小説をオーディオブックの形式にしたものであり、音声はAIによる合成である。

音声配信にバイトダンスが初参入

番茄暢聴のアプリには書籍、購読、再生、分類、マイページの5つのタブがある。メインの書籍タブではオーディオブックが男性人気ランキング、女性人気ランキング、総合ランキングの3つの欄で表示される。

購読タブには、ユーザーがお気に入りに登録したオーディオブックが保存され、好きな章から聴けるようになっている。再生時の音声は数種類のなかから選択可能だ。また、原文のテキストを読むこともでき、これはテンセントの「酷我暢聴」にはない機能だ。

番茄暢聴の会費は18元(約270円)/月で、番茄小説の会費は11.99元(約180円)/月だ。番茄小説にもオーディオブックがあり、現時点では番茄暢聴との機能の差はほとんどない。そのため有料ユーザーは番茄小説の方を選ぶだろう。番茄暢聴の機能やコンテンツが今後どのように変わるかはまだ不明だ。

音声配信に続々と新規参入

現在、音声配信事業はまだブルーオーシャンだと言える。各プラットフォームともユーザーの獲得と使用時間を伸ばすことに注力している段階だ。

この業界でリードしているのは「喜馬拉雅(Ximalaya)」である。2013年3月にローンチされたこのアプリは、半年でユーザー数が1000万人を超えた。その後も順調に成長を続け、設立から6年間でユーザー数が6億を超えている。

ほかに有力なものとして、「蜻蜓FM(qingting.fm)」と「茘枝FM(lizhi.fm)」がある。前者は2019年11月に月間アクティブユーザー数が1.3億人を超え、後者は今年1月にナスダック上場を果たし、中国の音声配信業界の初の上場企業となった。

インターネット大手からの参入としては上記2社のほか、昨年参入した「網易雲音楽(Netease Cloud Music)」が挙げられる。ほかにコンテンツ配信プラットフォーム「即刻(Jike)」も「小宇宙」という音声配信アプリをローンチした。

インターネット調査会社「艾媒諮詢(iiMedia Research)」の集計によると、2018年時点の中国の音声配信ユーザーは4.16億人であり、動画視聴者や電子書籍の利用者よりも伸び率が高いという。音声配信業界では、2026年に市場規模が1000億元(約1兆5000億円)に上ると予想している。

これだけ大きなポテンシャルを持つ市場を前に、各社はユーザー獲得だけでなく、コンテンツの強化にも乗り出している。

前述のTMEの戦略発表会では、有名IP関連のコンテンツ、著名人による配信、高品質なオリジナルコンテンツを提供するとしており、テンセントの実力からして、他社にとって大きなプレッシャーとなるのは間違いない。

バイトダンスは有名な小説サイトと提携し、オーディオブックを中心に、音声による幅広いエンタメの可能性を模索している。

先行する喜馬拉雅、蜻蜓FMなどもコンテンツ開発や配信者の確保に重心をシフトしつつある。蜻蜓FMは「天声計画」というキャンペーンで一般人のなかからライブ配信者を募集し、育成しようとしている。喜馬拉雅は2019年10月に「エース配信者」計画を発表し、1万人の人気配信者を育成すると意気込んでいる。

音声配信事業の収益は会員料、広告費、ライブ配信収益の手数料からなる。メインターゲットである若年層はこうしたコンテンツの購入に抵抗感がなく、その意味で収益モデルが非常にわかりやすい事業だと言える。さらに、モバイル・インターネットの市場調査を専門とする「易観(Analysys)」が発表した2019年中国音声配信事業発展報告では、ユーザーの有料サービス購入に対する意欲が強まっていることを指摘している。

したがって、収益が見込め、トラフィックが見込まれるこの事業に、今後もインターネット大手が参入し、各社の競争は長期的に続くだろう。誰が抜け出すのか、まだ見えない状態だ。

作者:Tech星球(Wechat ID:tech618)、 陳橋輝

(翻訳:小六)

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