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中国版ツイッターの「Weibo(微博、ウェイボー)」も人気動画サイトの「ビリビリ動画(Bilibili)」も2009年に創設された。ところが10年にわたる紆余曲折を経て、ビリビリは正に天にも昇る勢いを見せ、一時は栄華の極みに立ったウェイボーは衰退の兆しを呈している。
大いに株を上げるビリビリ
国際児童デーである6月1日、ビリビリ動画は自社の名を冠したリモートセンシング衛星の打ち上げを発表した。昨年の大晦日には「2019年最高の晩」と銘打つ年越しライブ番組を配信して大盛況を博したが、それを受けたためか、配信当日に18.62ドル(約2000円)だった株価が今年の5月29日までに74%も跳ね上がった。
ビリビリは昨年末から絶えず新手を繰り出していた。8億元(約120億円)もの大枚をはたいて人気オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の世界大会「ワールド・チャンピオンシップ」の生中継独占放映権を得たかと思えば、5000万元(約7億5000万元)でトップライバーの馮提莫(Fengtimo)と契約を結んだ。
今年に入ると新型コロナが一層の追い風となった。外に出られない人々はゲームやライブ、動画で暇をつぶすしかなかったため、ビリビリのユーザー数は最高記録を更新した。財務報告書によれば、第1四半期の月間アクティブユーザー(MAU)数は平均1億7200万人に上り、前年同期比70%増という快挙を成し遂げている。
4月、ソニーから4億ドル(約430億円)もの戦略投資を得、二次元カルチャーの世界でさらに地歩を固めた。5月になると、ビリビリのCM動画「後浪」が若い世代に向けて熱いメッセージを送り、中国全土で話題を振りまいた。36Krの統計によれば、5月5日午後1時現在、その動画に関するトピックのウェイボーでの閲覧数は4億回以上にもなっている。
ビリビリは二次元コミュニティに住む若者だけでなく、年長の人々へもアピールしている。
ウェイボーの何がダメだったのか
成功の街道を突き進むビリビリに対し、中国ソーシャルメディアの第一人者たるウェイボーはどうも分がよくない。昨年5月末から今年の5月末までの1年間で株価は25.1%も下がった。2018年2月の最高値(139.74ドル、約1万5000円)からすると、78%もの暴落だ。
新型コロナはウェイボーにとって凶と出た。今年3月のウェイボーのMAUは5億5000万人となり、前年同期比18%増となったものの、Eコマース、自動車、日用消費財などの広告主は、将来を悲観してか軒並み広告の予算を削減した。これは大打撃となった。ウェイボーにとって広告こそが大きなドル箱だったからだ。(2020年第1四半期には広告収入が売上高全体の85%だった。)
競争が激化する中、今年第1四半期に、ビリビリ動画の広告収入は前年同期比90%増だったのに対し、ウェイボーは19%減になった。広告主にとってウェイボーはかつてほど魅力的でなくなっているようだ。
では原因は広告だけなのだろうか。問題はそれほど単純ではない。ビリビリ動画は、ユーザー体験を一層重視している。そのためには広告を出したいという欲望を抑えることも必要だった。そしてこれがウェイボーを打ち負かす大きな要因となった。
ビリビリ動画の董事長兼CEO、陳睿氏も自ら二次元カルチャーの愛好者だが、見たい動画を見る前に15秒、30秒、場合によっては75秒もの広告を見せられるのは『人生の浪費』だと考える。このポリシーに基づきビリビリ動画の再生前には広告を入れない。もっともそれを補うために、ゲーム、ライブ、会員制、Eコマースなどに一層力を入れている。
それに対し、なりふり構わず広告を見させるウェイボーは、かえって広告があだとなってしまった。かつて広告収入によって偉大な帝国を築き上げたウェイボーの企業価値は305億ドル(約3兆3000億円)を超えたこともあったが、収入を上げようと広告を増やし、それが検索ランキングの内容にまで及んだため、コミュニティの雰囲気が壊れてしまった。こうしてユーザーからの信頼が失われ、広告主からも見放され始めた。ビリビリ動画をはじめ、「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」「快手(Kuaishou)」などの参入者も勢力を伸ばす中、ウェイボーがかつての栄光を取り戻すのはますます難しくなっている。
(翻訳・近藤)
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