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中国の大手スマートフォンメーカーOPPOは単なるスマホメーカーからの脱却を図っているようだ。
OPPOの創業者・陳明永氏は昨年12月、今後3年にわたってIoTや5G関連の技術開発に500億元(約7600億円)を投じると発表。今年に入り、IoT関連製品にその一端が現われはじめている。3月には初のスマートウォッチを発表した。
競合企業もこうした動きに追随している。ファーウェイのサブブランドHonorは昨年末、オールシナリオのIoT戦略「1+8+N」の一環として利益度外視の格安スマートテレビを発表した。さらに射程範囲の広いシャオミ(Xiaomi、小米科技)はヒット商品に事欠かない。さらに現在では粗利率のより高い大型家電製品にシフトしている。
OPPOは目下、IoT戦略としてウエアラブルデバイスを切り口としている。その後徐々にハブ機能を持つ製品(ルーターやテレビなど)へ移行していく予定だ。OPPOをはじめとする大多数のスマホメーカーは、将来的にIoT事業の比重を増やしていくだろう。
価格競争力に優れたOPPOのワイヤレスイヤホン
OPPOは6月初週に最新のワイヤレスイヤホン「Enco W51」を発表した。先代モデルと比較すると最大のセールスポイントは、アクティブノイズキャンセリング機能を備えながならもコストパフォーマンスに優れていることだ。製品の詳細を以下に簡単に解説する。
ノイズキャンセリング機能と操作性
Enco W51の最大のウリはアクティブノイズキャンセリング機能で、遮音性能を示すNRR(ノイズ・リダクション・レイティング)は35dBに達する。NRRが6dB上がれば遮音性能は倍増するので、35dBは周辺環境の雑音を56分の1にまでカットする計算になる。
アクティブノイズキャンセリングの利点は没入感が得られる点にある。昨年あたりからワイヤレスヘッドセットおよびイヤホンの新たなアピールポイントとなっており、付加価値の礎にもなっている。
36Krの記者が職場で実際に製品を使ってみたところ、ノイズキャンセリング機能をオンにすると同僚の話し声が遠のき、ランチタイムや仕事に集中したい時には効果を発揮すると感じた。ただ、長時間使っていると耳に圧迫感がある。そのため、ノイズキャンセリング機能は任意でオン・オフができるようになっている。
操作に関しては、アップルの「Airpods Pro」が、イヤホンをタップする回数と強さでコントロールするのに対し、Enco W51はタップする回数とタップする場所(右か左か)でコントロールする。右のイヤホンを2回タップすると次の曲を再生する、あるいは電話を受ける・切る。左のイヤホンを2回タップするとノイズキャンセリング機能をオン・オフする。左か右のイヤホンを3回タップするとスマートフォンの音声アシスタントを起動する。
通信に関しては、OPPOのスマートフォンに速やかに接続する。近距離にあるスマートフォンを自動的に検出するほか、OPPO以外のスマートフォンに対してはBluetoothをオンにすることでペアリングが可能だ。Airpods Proと比較すると、OPPOは他社ブランド製品との互換性に優れており、36Krの記者もファーウェイのスマートフォンとEnco W51をペアリングしたが正常に機能し、ファーウェイの音声アシスタントともスムーズに連動した。
連続使用時間と価格
Enco W51は1回の充電で3時間半~4時間連続再生できる。Airpods Proの4時間半~5時間にはやや劣る。充電方式は通常のケーブル充電以外にワイヤレス充電、ワイヤレスリバース充電にも対応している。
Enco W51の価格は 499元(約7600円)だが、ファーウェイのFreebudsシリーズやソニーのWFシリーズなどの同等製品は1000元(約1万5000円)前後だ。Airpods Proに至っては2000元(約3万円)台となっており、Enco W51はアクティブノイズキャンセリング機能を有する製品としてはかなり廉価といえる。
IoTの目玉製品が欲しいOPPO
スマホ市場が飽和状態に近づく中、OPPOのようにウエアラブルデバイスも手がけるようになったメーカーは少なくない。ウエアラブル製品は製造における難易度が比較的低く、スマホとの親和性が高く、使用頻度も高い。また製品そのものは小型で、初期設定やアフターサービスに係る負荷が少ない。
IT専門調査会社IDCによると、世界の各大手メーカーは昨年、前年比89%増となる総計3億3650万台のウエアラブルデバイスを出荷した。米アップルにとってはスマートフォン以外の大きな成長事業となっている。AirPodsの昨年の出荷台数は市場シェアの半分を占める6000万台となり、シェア10%に満たない2位のサムスン、3位のシャオミ(Xiaomi)を大きく引き離している。
ウエアラブルデバイスはヘルスケア分野も網羅できる。OPPOの創業者・陳明永氏は将来的に家庭やモビリティ、オフィスなどのシーンにも着手することを想定しているという。
今年上半期、OPPOはスマートウォッチ、スマートブレスレット、ワイヤレスイヤホン2種、5Gモバイルルーターと5種類のIoT製品を発表した。後にはスマートテレビとARグラスが控えている。
OPPOは同質化した他社製品が溢れかえる中、自社製品に独自のセールスポイントを打ち出すのが上手い。今回発表したワイヤレスイヤホンも同様だ。
しかし、IoT事業で高評価を得るならやはり目玉製品が必要だ。OPPOのVP劉波氏はメディア取材に対し、今後は3~4級の地方都市で体験型店舗を増設していくとともに、1級都市のモールへの出店を加速させるとした。オフライン販路を開拓およびグレードアップし、SKU(品目)をさらに拡張する計画だ。OPPOのIoT製品が増えるに従い、製品体系がさらに充実し、ブランドとしての地歩を固めることになるだろう。
(翻訳・愛玉)
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