アリババ主導のニューリテール2.0時代 次世代スーパー盒馬鮮生が取る今後の戦略は

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アリババ傘下の生鮮食品ECプラットフォーム「盒馬鮮生(Hema Fresh)」の侯毅CEOは6月4日、杭州市で開催された「2020聯商網大会(2020LINKSHOP CONFERENCE)」で行ったスピーチ「ニューリテール2.0:新次元の戦い」の中で、盒馬は正式に「ニューリテール2.0」時代に突入したと語った。侯CEOによると、ニューリテール2.0は一体化したサプライチェーンシステムを中心としており、オンライン・オフラインの全チャネルで運営と販売を行う時代になるという。

「ニューリテール1.0」とはアリババの創業者ジャック・マー氏が提唱したニューリテールの概念「小売においてオンラインとオフラインの区別をなくす」というものだった。現在、盒馬はすでにオンラインとオフラインで統一した会員システム・在庫管理・価格設定・販売・決済を実現している。

1.0時代、盒馬は石橋を叩いて渡るように慎重に、より自社に適した発展の道筋を探っていた。奔走すること3年、盒馬は輝かしい業績を収めたが、消耗も見えてきている。急速な拡大と良好な店舗運営との間で葛藤も顕在化している。盒馬は昨年、過去に自社が取ってきた戦略を振り返り、一連の調整を行った。

この調整後、新型コロナウイルスの流行が盒馬に新しい発展のチャンスをもたらした。侯CEOによると、今回の新型コロナウイルス流行後、オンラインの客単価が50%上昇したという。新型コロナウイルス流行期間には客単価が200%上昇しており、オンライン注文の物流コストをほぼカバーできたとのことだ。

突如流行した新型コロナウイルスは、消費者の購買習慣を大きく変え、その結果盒馬のオンライン/オフラインの売上比率が変化した。盒馬の全店舗では5月以降、オンライン注文の割合が70%を超えている。

新型コロナウイルスがもたらした販売量とユーザー数の明らかな増加は業界の発展を大きく後押しし、盒馬の今回の「ニューリテール2.0」提唱にいたった。世界的に統一したサプライチェーンのもとで、オンラインでは新しい販売経路を開拓し、オフラインでは引き続き新しい利用シーンを模索していく。絶えず規模を拡大し、より多くのユーザーを獲得していくという姿勢の現れだ。

盒馬鮮生(Hema Fresh)の侯毅CEO

侯CEOはまた、世界的なサプライチェーンを構築することを提唱。同社初となる世界的なバイヤーチームを結成するという。侯CEOは「世界で最も優れたサプライチェーンを中国市場に引き込む。それは商品ではない。商品の場合、利益の大半はメーカーのものとなる。盒馬は世界的に優れたサプライチェーンシステムと協業して生産を行いたいと考えている」と語った。

世界的なサプライチェーンの構築に注力すると同時に、盒馬は事業の拡大を継続する。オンラインの販売経路はすでに多様化し、複雑になっている。単一の販売経路では盒馬のオンライン事業を支えられないが、盒馬はすでにオンライン上に多数の販売経路を持っている。

盒馬はECモール「淘宝(タオバオ)」「天猫(Tmall)」、フードデリバリー「餓了麼(Ele.me)」、モバイル決済「支付宝(アリペイ)」のミニプログラムなどアリババグループ内の多くのオンラインチャネルをすでにカバーしている。新型コロナウイルス流行期間には「社区」(中国独自の地域コミュニティ、行政単位)での共同購入やライブコマース、KOL(インフルエンサー)も盒馬が消費者にリーチするオンラインチャネルとなっていた。侯CEOはまた、近い将来、抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)や快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)などのショート動画プラットフォームや会員制ECサイト「雲集(YUNJI)」などでも盒馬を目にすることができるだろうと明かした。

盒馬は2020年、オフラインでもさらに挑戦を続ける。オフラインで集客したユーザーを全てオンラインへ誘導することがオフライン業態発展の最大の鍵となる。さらに異なるシーンごとに最も効率の良い業態を展開することにも力を入れる。2019年にリリースされた小型店舗の「盒馬mini(Hema mini)」は現在売上成長率でトップだ。侯CEOはまた、盒馬miniの新しい出店目標として、今年北京と上海を郊外エリアまで全てカバーすることとしている。

また、新しいオフライン業態が次々と計画されている。侯CEOは今年10月、盒馬が上海で会員向けにワインやコスメ、ベビー・マタニティー商品を販売する国内初となる越境体験センターをオープンする予定だと明らかにした。また、卸売事業の実体店舗「Cash&Carry」やタイの業務用スーパー「makro」を模した店舗、ホテルや団体向けのフードデリバリーサービスなどを提供する予定だという。このほか、盒馬はすでに上海市で朝食市場にも参入しており、テイクアウト専門の朝食店「Pick’n Go」を上海市で100店以上展開していくという。

(翻訳・山口幸子)

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