アリババが住宅地での食料品共同購入事業に参戦、美団と正面対決に

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

アリババが住宅地での食料品共同購入事業に参戦、美団と正面対決に

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

アリババの、個人商店に対する仕入れ、物流、販促プラットフォームを管轄する「零售通(LST)」事業部が、住宅地の共同購入事業担当部署を新設することが、このほどわかった。生活関連サービス大手の「美団点評(Meituan Dianping)」は、7月初めに「美団優選」事業部で同じく住宅地の団体購入事業に参入しており、アリババと美団という巨大インターネット企業2社がここで正面対決することになる。

取材に対し、アリババ零售通事業部はこの件について認めたうえで、次のように話してくれた。「住宅地の団体購入は商品力とサプライチェーンマネジメント競争であり、各地にある個人商店が重要なハブになり得る。そこで、もともと個人商店向けに商品とサプライチェーンのサービスを行ってきた零售通が、新たに団体購入を始めるのは自然なことだ」。

住宅地の団体購入は、住宅地ごとに住民の中から「団長」と呼ばれる購入担当者を募集し、団長が各エリアのSNSグループで商品情報を発信し、注文を取りまとめるという方法で行われる。商品は各住宅地の団長のところまたは個人商店まで配送され、そこまで購入者自身が取りに行く形だ。新型コロナ禍で外出が制限されていた時期、こうしたビジネスモデルは特に生鮮食品EC大手が対応していない地域で売り上げを急拡大させた。たとえば団体購入専門の「十荟団(NiceTuan)」は新型コロナ禍で売上高が倍増し、武漢では5倍に増えたのがその好例だ。

そのため、住宅地の共同購入は、少なくとも特定のエリアでは黒字化が見込めると考えられ、インターネット大手からの参入が相次ぐことになった。同分野は、既存のスタートアップへの出資から自社運営まで、活況を呈している。

インターネット大手による出資では、アリババが上記の十荟団に2019年と2020年初めに2回出資したこと、テンセントが「興盛優選(Xingsheng Youxuan)」に2019年5月と2020年に2回出資したことが有名であり、出資された2社の事業は今のところ順調である。

自社運営では、アリババの零售通事業部と美団の動きが注目されている。特に零售通は、2020年5月時点で、全国の130万以上の個人商店が利用しているとされ、日用消耗品のB2B事業で中国最大のプラットフォームに成長している。アリババは130万の個人商店をすべて団体購入の団長に就任させ、既存のサプライチェーンを利用し生鮮食品の団体購入を増やしたいと考えているはずだ。

アリババ・グループ傘下の他の事業も団体購入を試みている。物流プラットフォームの「菜鳥(Cainiao)」は今年6月、各地に設置された菜鳥の集配所である「菜鳥駅站」で、宅配以外に団体購入、クリーニング、不用品回収サービスを始めると発表した。団体購入では集配所の担当者が団長となる。すでに団長たちは宅配を通して当該エリアの住民と良好な関係を築き上げ、住民は商品を集配所で受け取ることに慣れているため、ほぼノーコストで始められるのが利点だ。盒馬も新型コロナ禍の最中に配達員不足に悩まされた時期があり、そのときに団体購入を試験的にはじめたことがある。

共同購入の参入ハードルは低いが、その分競争は熾烈だ。特にアリババ、美団のような大手が参入したことで、競争は新たな局面に突入するだろう。

(翻訳:小六)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録